繰リ返ス世界デ最高ノ結末ヲ
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10.魔法学院(別世界)から魔王と魔女がやってきました。
stage3
前書き
琴葉視点
暫くぼーっと突っ立っていると、ピリッと何かが走った。電気のような何か。
バチッと眩い光が目の前で炸裂し、何人もの人影が現れる。それは少女から立派な女性、少年から立派な男性までの七人だ。
「大丈夫ですか? 琴葉さん」
「この辺は片付いたっぽいな」
「怪我は無いですね。良かったです」
「コトー! 今日も早く魔法教えてー!」
「リサ、無理言っちゃ駄目だよ。コトだって忙しい」
「帰ってアイス食べよー!」
「早く帰るぞ」
順番に、レン、涙、宙、アリサ、ユリア、輝、紫苑だ。
全員がレンと同じ白いローブを羽織っていて、その中にそれぞれ違う服を着ている。前の世界とは矢張りデザインが違うな。
深い緑のベストの下に、緑のライン入りのシャツを着ているのは全員統一。が、男性―――に当てはまるのは涙だけなので、"男子"でも良いかもしれない―――は緑のライン入りのスラックスに、白いブーツ。女性―――此方も当てはまるのは宙だけなので、"女子"でも良いかもしれない―――は緑のライン入りの膝上数センチのプリーツスカートに、白いハイソックス、白いブーツという格好だ。
どちらも、緑のラインが発光している気がして、其処に魔力でも流れるのだろうと推測する。
―――だが、何処かがおかしい気がする。
私の意識が此の体に乗り移ってから、涙達とは初めましてだ。だからおかしいと感じるのは当たり前だ。
だが、レンとは先程会った。その時と、今では何処かが違うと思ったのだ。
「うん。そうだね」
でも、今言うべきじゃ無いだろう。もっと考えを固めてからでも、遅くないはずだ。
でもなぁ……何かあってからでは遅いしなぁ。
「……でも、私は少し此処に残るよ。いいね?」苦笑を浮かべながら言う。
「…………もう、仕方ないなぁ!」すると、少し躊躇いつつリサが言う。
「あはは、ごめんごめん。じゃあ」
これで分かった。
"此奴等は敵だ"。
◆ ◆ ◆
敵だと思う理由。
一つ目は、レンの雰囲気が変わったこと。一度目の時は、他の世界と変わらない雰囲気を纏っていたが、二度目になって、少し"嘘"の感情が増えた。そこで、何かを偽っていると考えた。
二つ目は、リサの少しの躊躇い。彼女は感情が表に出やすい。一瞬唇を噛むような動きもあったため、目的通りに上手く事が進まなくて、苛ついたのだろう。
彼等はまた転移魔法らしきモノで去っていった。なので、現在廃墟の街に一人。
「てっきり、戦闘が止まない世界だと思っていたけど……」
どうやらそんな事な―――
「《爆裂魔法》!!」
嘘やん……。
後方で爆風が吹き荒れ、衝撃波に因り体が宙に浮く。僅かな浮遊感の後、半回転して尻餅を付く。
と、飛んできたのは其れだけじゃ無かったようだ。
「…………ッて」
「涙、どっから飛んできたし」
「あ"?」
涙が物凄いスピードで飛んできて、地面を抉って私の横で止まる。
矢張り、戦闘は絶えないらいい。
トンデモナイ世界だよ、こりゃ。
「爆裂魔法好きが多すぎないかな?」
「何言ってんだ。爆裂魔法は最強の攻撃魔法と言われてるんだぞ? まぁ極致級魔法には劣るが、普通のヤツには極致級魔法は使えないからな」
おう……極致級魔法とはなんぞ?
口には出さない。出してはいけない。
「お前は極致級魔法、使えんだよな。じゃねぇと、そんな侵略者に狙われることだってねぇからなぁ」
…………そんな事があるのに、如何為て私が潜入捜査をしていたんだい?
そう問いたくなるが、それも飲み込む。
前の世界で、異世界の私が使っていた《黒波乱舞》や、【消滅】の能力が極致級魔法だ。其処までは既に理解した。その継承者的な存在が少ないことも。
「あのさ、涙と宙ってさ、最近如何?」
我ながら、良い言葉のチョイスだ。
世界に因って、皆性格も少しずつ変わる。例として、涙と宙が付き合っていたり、逆にお互いを若干嫌ってたりとする。
「相変わらず、仲は悪いままだっつーの。彼奴は優しすぎんのが悪ィんだ」
今回は嫌っているパターンらしいな。否、貴重な涙のツンデレ回かもしれない。涙と宙は前まで付き合っていて、「もうそんなに重い愛は要らないのっ!」とかなったかもしれない! ややや、自分の気持ちに素直になれず、告白できない青春してるのかもしれない!! それとも、涙が嫉妬してるとか!!? 私に話すのが恥ずかしいだけとか!!!! お互いの距離感がわか(以下略)
こほん。兎に角、涙が演技している可能性も捨てきれない。警戒してい―――
「…………………………………………何してるの?」
いきなり押し倒された件について。
「否、今日はガードが緩いから、警戒しろってな。直ぐにその首、持ってがれるぞ」
「……どうも」
吹っ飛ばされてきたヤツが何やってんだボケ。何が警戒だ、私。違うことに気を付けとけ、私。
―――気抜いた瞬間殺される。
「…………ねぇ、此の態勢のままで良いから聞いてくれるかな?」
「何だ?」
首を少し横に動かす。すると、首にひんやりとしたモノが"突き刺さる"感覚があり、涙が目を見開いている。
「残念だけど、そう簡単に殺されてあげないからね?」
後書き
ん?
何か物語のペース、早くない?
まぁ、全部琴葉がキレるのが悪いんだ!
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