戦国異伝供書
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第二十一話 天下布武を固めその十一
「そうせよ、さすればな」
「その話を聞いてですな」
「それで、ですな」
「兵達もそれならと思いますな」
「これまで通り」
「そもそもわしは勝つ戦しかせぬ」
これが信長の戦の仕方なのだ。
「勝てる風に整えてそうしてじゃ」
「戦われ」
「そうして勝たれますな」
「それが殿ですな」
「だからじゃ」
それ故にというのだ。
「この度も同じじゃ」
「既にその用意は整えている」
「そして川中島で戦い」
「そのうえで」
「勝つのじゃ」
上杉謙信、彼にというのだ。
「そうするだけじゃ、そして今不安な兵達はな」
「勝ち鬨を挙げますな」
「これまでの戦通り」
「そうなりますな」
「そうなる、如何に上杉謙信といえど」
軍神とまで言われる彼でもというのだ。
「わしに降るのじゃ」
「では今より」
「川中島にさらにですな」
「進んでいきますな」
「そうする、それと兵糧じゃが」
信長は戦において最も重要なこれの話もした。
「これからは美濃からもじゃ」
「木曽路を使ってですな」
「そうしてですな」
「そちらからも兵糧を運ぶ」
「そうしますな」
「そうじゃ、三河や遠江からも運んでおるが」
それだけでなくというのだ。
「木曽路も使ってな」
「兵糧を運び」
「そのうえで」
「戦う」
こう言うのだった。
「よいな」
「わかり申した」
「ではです」
「すぐに美濃に使者を送り」
「平手殿にお伝えしましょう」
「そうせよ、飯も武具もなくてはな」
それこそというのだ。
「戦にならぬ、特に織田の軍勢はじゃ」
「長槍に鉄砲」
「それに弓矢もですな」
「そうしたものを使って戦うので」
「ものがないと戦えませぬな」
「そうじゃ、飯も欠かせぬが」
それと同じだけというのだ。
「武具も必要じゃからな」
「美濃からもですな」
「木曽路からものを送って」
「そうして戦いまするな」
「上杉の軍勢を破っても戦は続く」
信長はそこから先も既に考えているのだ、それは関東の北条との戦だ。
「ならばな」
「東海道、そして中山道ですな」
羽柴がすぐに応えた。
「この二つの道からものを運び」
「北条と戦うのじゃ」
「やはりそうしますな」
「箱根で防がれるかも知れぬ」
東海道の方はというのだ。
「あの場所は険しいというからな」
「だからですな」
「北条もあの地を守りの要に考えておる」
「では東海道が使いにくい時は」
「中山道となる、ならばな」
「余計にですな」
「美濃から木曽路を通ることになる」
木曽路も中山道にある、それでそうなるのだ。
「だからな」
「今からですな」
「木曽路を使うぞ、そして信濃の城に兵糧等を集め」
「上杉家との戦が終われば」
「すぐに甲斐に入り」
川中島から信濃の南に戻ってというのだ。
「そうしてじゃ」
「東国に入りますか」
「そうなる、それでじゃが」
まさにと言うのだった。
「今からな」
「木曽路からですな」
「ものを送るのじゃ」
こう話して実際にだった、信長は美濃の岐阜城にいる平手に文をやり信濃にものを送る様に伝えた。平手もその命を受けてだった。木曽路から信濃の南に多くのものを送ってきた。信長もそれを受けて上杉家との戦に向かうのだった。
第二十一話 完
2018・10・8
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