麗しのヴァンパイア
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第九十三話
第九十三話 両親に聞いても
華奈子と美奈子は日曜日の昼に両親と一緒に昼食を食べている時に三銃士に出て来た鉄仮面について尋ねた。
「ねえ、鉄仮面っていたわよね」
「昔のフランスに」
「三銃士にも出て来たっていうけれど」
「あの人誰だったの?」
「鉄仮面か」
まずは父が二人に怪訝な顔で答えた。
「あの人の正体か」
「うん、誰だったの?」
「一体どんな人だったの?」
「わかっていないんだ」
父は母が焼いてくれたトーストにマーガリンをたっぷりと塗りつつ答えた、食事は他にはソーセージの盛り合わせとポタージュそしてトマトが沢山入っているサラダだ。
「今もな」
「そうなの?」
「まだわかっていないの?」
「色々言われてるけれどな」
「王様の兄弟じゃないかって言われてるけれど」
母も二人に話してきた。
「けれど確かなことはね」
「ううん、本当にわかってないのね」
「鉄仮面のことは」
「ええ、ただね」
母は娘達にこうも話した。
「王様、ルイ十四世の兄弟じゃないかっていうのは」
「可能性高いの?」
「そうなの?」
「そうみたいよ」
「ただな、証拠がないんだ」
父はまた話した。
「一切な」
「ないの?証拠は」
「残っていないの」
「それは全部消されたんだ」
鉄仮面にまつわるそれはというのだ。
「本当にな、手紙を窓から落としたら」
「どうなったの?」
「そのお手紙は」
「拾った人にすぐに偉い人が来て手紙の中を読んだのか聞かれてな」
「まさか」
「まさかと思うけれど」
「拾った人が字が読めなかったから助かった」
現実にあった話だという。
「幸いな」
「その人運がよかったわね」
「若し読めていたら」
「殺されていただろうな」
そうなっていたというのだ。
だが両親も鉄仮面の正体については知らなかった、華奈子と美奈子は二人共鉄仮面の正体がわからないまま両親とお昼御飯を楽しんだ。
第九十三話 完
2018・10・3
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