異世界転移した最強の俺、追放されたSSS級冒険者(美少女)を拾う
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現実的な可能性
倒れていた人物達は全員、ルーシーの力によって全員県全体にまで回復した。
さすが女神様である。
しかも使っていた技が、“女神の祝福(ミラクル・レイ)”という女神を冠する魔法なあたりが、面白いと思う。
そこまで考えた俺は、そろそろちょっとやらかしたかな~、と思う現実に薄目を開けて対峙することにした。
まずはそれらの目撃者であるキャサリンとアイル神官長である。
二人は凍り付いたように動かず、ルーシーの方をみている。
と、そこでキャサリンがぽつりと、
「……女神様」
「びくっ」
ルーシーがその言葉に笑顔のままに氷ついた。
もうすでに色々とバレバレな気がした俺は、話を逸らすことにする。
それにそらした方が合理的なのだ。何しろ、
「アイル神官長。とりあえずこれで回復はしたと思うのですが、どうでしょうか?」
「え、ええ……そうですね、とりあえずは元の戦力に……ええ、そうですとも。いえ、それよりも何があったのかを聞かなければ……」
すぐに事態の把握といったようにアイル神官長は周りの冒険者たちの方向に向かっていく。
キャサリンは俺達の方を何か聞きたそうに見るも、既にそれどころではないと悟ったのだろう。
アイル神官長のお手伝いもあるのか、そちらの方に向かって行ってしまう。
どうにかちょっとした危機は去ったな、と俺が思っているとエリカが俺の前にやってきて真剣な表情で、
「一つ聞いていいかしら」
「な、何でしょうか」
「その力、隠す気あるの?」
そう怒ったように顔を近づけてきてエリカが俺に言う。
美人が怒ると迫力があり、そしてその……顔が少し近づきすぎる気がする。
やけに目の前にあるエリカの唇などに気がとられてしまう気がする、そもそもこんな近くに女の子がいるというご褒美は今まで経験したことがない。
エリカが起こっているということよりもそちらの方が気になってしまう。と、
「聞いているの!」
「は、は……うぎゃああああ」
「きゃああああ」
そこで返事をしようとした俺は、更に顔を近づけてきたエリカから慌てて後ろに後ずさろうとする。
だがバランスを崩してそのまま後ろに倒れた俺に、エリカが覆いかぶさるように倒れてきて、そのまま俺は俺の顔面に二つの柔らかいものを感じた。
軟らかい。
そんな弾力性のある何か。
俺はその心地よさに一瞬意識が持っていかれそうになって……、
「ちょ、ユウスケ、下敷きにしてというか……ど、どこに顔をうずめているのよ!」
エリカがそこで別な意味で怒りながらに俺の上から退いた。
流石はSSS級冒険者、退くさまも一瞬である、などと俺が感心しているとそこでアイル神官長が俺達の方に戻ってきて、
「皆さんから話を聞いてきました。……どうされたのですか?」
そこで俺とエリカの様子を見ていぶかしげにアイル神官長が聞いてくるが、俺は話をうやむやにするため……ではなく、進めるために話を振るとアイル神官長が、
「どうやら敵はこの場所を知っていたようです。ですがこの仲間の中にいるものが敵に回った様子はありませんでした」
「ということは内部の情報が漏洩?」
「それが……現状では少し考えにくいのです」
「というと?」
「実は幾人か、この集団の中でもさらにパーティを組んでいただいているのですが、そのリーダーの方たちが全員独断で、本日のこの場所を他の人間に教えたのが数時間ほど前なのです」
「……そのリーダーの方々が裏切りを?」
「それはあり得ません。神殿のものが常に監視をつけていましたから。もちろん同意上ですが」
アイル神官長が答える。
つまり誰かが裏切ったのでもなければ、内部にいる誰かが操られたわけではなく、この居場所がばれたらしい。
もしその話が正しいとしたら、物語だとこのアイル神官長も怪しい裏切り者の一人に数えられそうだが……。
この真面目そうな感じは違う気がする。
そしてこれは物語ではなく現実だ。
ならばもっと現実的で確実な方法でこの場所を見つけるのかもしれない。
となるとどんな方法があるだろう? そんな俺の視界にたまたま青ざめたキャサリンが映る。
我慢しているがこの奇怪な状況が彼女には、怖いものなのかもしれない。
そういえば“予知の巫女”はどれくらい魔法を使えるのだろうか? と俺が思った所で、俺は気づいた。
アイル神官長の言う条件で、アイル神官長が裏切り者にならず、敵にこちらの居場所が知られる、“方法”。
「予知の“魔法”にその……敵側が“接触”して“読み込んだ”可能性はないのか?」
俺の言葉にルーシーがはっとしたような顔になったのだった。
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