異世界転移した最強の俺、追放されたSSS級冒険者(美少女)を拾う
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エリカの口添えのおかげか、俺は結界を張る許可を簡単に手に入れた。
そして町から俺達は移動していくが、その道中でアイル神官長が、
「防げなければ、どこに逃げても同じ……そういった理由で、町の人達には今回の件を伝えていませんでした。予定では武力で圧倒してどうにかできる、そう我々は自分の力を過信していたのです。まさかこんな状況になるとは……」
そう言ってアイル神官長は周りを見回す。
人があまり通らない裏道。
そこで小声で話しているので周りには聞こえることはないのだろうが……そこで再びアイル神官長は深く息を吐き、
「それで、キャサリンは何かが“見えました”か?」
「……いえ、もうすべてが混とんとしていて、複数の映像がまじりあって溶けていくようで……見ているだけで気分が悪くなります」
「そうですか、力は使えないと……ですが、すでに敵の居場所は分かっています。そこを我々は叩けばいい」
キャサリンにアイル神官長がそう答えている。
そんな様子を見ながら俺は、
「そういえばアイル神官長は“指揮官”に当たると思うのですが、前線に出てきてしまってもいいのですか?」
「こう見えても私は戦闘能力に自信があるのです。昔は友人とよく手合わせをしていました。最近もそうですね……“彼”も一週間前にお会いしましたから、手伝ってもらえればよかった」
アイル神官長は嘆くように言う。
だが自ら指揮を執って一緒に戦闘をするというのは、それだけ危険なことだ。
物語のポジションでは何となく裏切っていたりしている、というのもありそうだが、アイル神官長のこの様子ではなさそうだ。
やはり現実はもっと現実的に物事が起こって行くのだろう、と俺は思いつつ……手合わせの類があの人物に似ていて何となく嫌だなと思った。
などと俺が考えているうちに城壁の……裏口のような場所にやってくる。
そこを守る兵士に話を通して、そこからすぐ外に出て、
「おそらくはここ周辺が一番被害が出るでしょう」
「わかりました。じゃあこのあたりをさらに強化しておきますね」
俺はアイル神官長に答えて、その城壁に外から触れる。
“強化”を目的とするならばまずは分析を行いそれから、
「さらに何重にも魔法の結界を張って、更に結界に攻撃された場合、壊れそうになったら威力を減衰させるための拡散の構造を……こうしてこうして分散させて……後は複数の属性に呪いなどの瘴気を含む特殊攻撃への対抗措置……これで、完成」
一分もかからずに俺はそれらを行った。
ここまでやっておけば何とかなるだろう、そう俺が思って振り向くと、ルーシーが楽しそうに笑っていてエリカが頭を抱えていて、アイル神官長とキャサリンが無表情で俺を見ていた。
いったいどうしたというのか、そう俺が思っていると、そこでアイル神官長が、
「……こんな結界魔法を短時間で作れてしまうのですか?」
「え? あ、はい」
「……いえ、緊急事態ですから、私は何も見なかった、で行きましょう。キャサリンもいいですね」
それにキャサリンははいと頷く。
どうやら、また俺はやりすぎてしまったらしい。
だが、もしもの事を考えるとこれくらいがいい。
そう思っていると、集合場所に向かいましょうとアイル神官長が言って……そして、俺達はとんでもない光景を目にしたのだった。
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