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前世の知識があるベル君が竜具で頑張る話

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おいわい

「うにぃ……」

ぷにぷに…ぷにぷに……。

「うにぁ…?」

ふにふに…。

「うみゅぅ………」

ぷにぷに…ぷにぷに…。

「ロキ様この子欲しいです!」

「やー…シルちゃんのお願いでもさすがにそれは聞けへんなぁ…。あとが怖すぎる」

時は少々遡る。









side in

「ここってロキのお気に入りなんですか?」

リヴェリアさんに手を引かれて来たのは『豊饒の女主人』だ。

「そうだな…。ロキが面食いなのはわかるな?」

「はい」

「そしてこの店は若い女が給侍をしてくれる」

なるほど…。エルフ、ヒューマン、キャットピープル、シアンスロープ、パルゥム…。

たしかに此処には全種族の綺麗所が集められているようだ。

ふと、銀髪のヒューマンと目があった。

「?」

コテンと首を傾げる銀髪の人。

とても可愛らしい仕草だけど、何かが引っかかる。

「どうしたベル?」

「あ、いえ、なんでもないです」

店に入ると、案の定リヴェリアさんの膝に乗せられた。

右隣にアイズさん、左隣にベートさん。

対面にロキ、その左隣にガレスさん右隣に団長、その横にティオネさんティオナさんと続く。

「リヴェリアのおきにの人形みたいやな」

「うるさいですよロキ」

「や、自分の格好見てみぃ」

むぅ…。しょうがないじゃないか、リヴェリアさんのチョイスなんだから。

「その黒ロリとウサミミ・カチューシャ似合っとるで。ベルの髪がよく映えとるわ」

うん。黒ロリはまぁ…仕方無いとしよう。

でもね、ウサミミ・カチューシャはどうなのさ?

「リヴェリアさん…コレとっても…」

「ダメだ」

「リヴェリアさんが食べる時邪魔になりません?」

「ふむ…そうだな…」

するとリヴェリアさんはウサミミ・カチューシャを弄りだした。

「これで問題あるまい」

触ってみるとウサミミ・カチューシャがへにゃっと曲がっていた。

どうやら中の針金を曲げたみたいだ。

「おっほぉ! 垂れ耳もええなぁ!」

そこまでして僕にコレを着けさせたいんですかリヴェリアさん…。

暫くすると、エルフの人が注文を取りに来た。

「ベル、何か食うか?」

「えと……」

ベートさんからメニューを渡された。

「えーと……サンドイッチを」

一番安いのはそれだ。

「シケた物食うなよ。ステーキ二つ」

ベートさんにメニューを取られた。

「儂も貰おうか。三つじゃ」

「かしこまりました」

無表情でエルフのウェイトレスが注文を持っていった。

「ベル、どうせ金は公庫から出る。値段なんぞ気にしてんじゃねぇ」

「どうして一番安いメニューを選んだってわかったんですかベートさん?」

「視線の動きくらいわかるっつーの」

視線って…。わかるんだ…。

「これくらいは冒険者じゃなくてもわかるよ。ベルは分かりやすいからね。メニューの名前ではなく値段の欄をつまりページの右側を見ていたのは一目瞭然だったよ」

団長まで…。

「ベルよ。ロキのこじつけとはいえ今日はお主が主賓だ。遠慮などせんでよいわ!」

「わかりました、ガレスさん」

先に出てきたのは、ドリンクだった。

僕とアイズさんはクヴァース(果実水)、リヴェリアさんと団長とティオネさんはヴィノー(葡萄酒)、その他は火酒(ウォトカ)とかの強いお酒だった。

「アイズさんって飲めないんですか?」

「…………………のめなくはないよ?」

「「「「「「やめろ!」」」」」」

何故か幹部全員が止めた。

「ベル。アイズには酒だけは飲ませるなよ」

「アイズさんって弱いんですか?」

「弱くはないが悪酔いする質だ。一度ロキが天界に送り返される寸前までいった」

アイズさん何したの!?

「アイズがファミリアに入ってすぐやったかな…。アイズに『強くなれる』言うて酒飲ませたアホンダラがおってな。
で、酔っ払ったアイズが剣抜いてこの店メチャクチャにしたんや」

はぇー………。

「いやあん時はすごかったわ…」

見ればアイズさんが顔を赤くしていた。

うん……ものすごく可愛い。

「それこそウォーゲームの攻城戦で敵陣に突っ込ませるとかせんかぎり、飲ませたらアカンよ」

えー…まさかの戦略級…。

「ま、それはおいといてや…」

ロキが杯を手に取る。

どうやら我慢できないらしい。

「ベルの全快とランクアップをいわってぇ…かんぱぁぁい!」

乾杯、と唱和して、皆が杯をぶつけ合う。

クヴァースはよく冷えていて、とても美味しい。

そこで、ドン! と目の前に肉塊が置かれた。

「へ?」

「お、きたな。では食べるとするか」

見ればガレスさんとベートさんの前にも同じもの。

注文したステーキだ。

え…? ステーキって『枚』だよね? これ既に長方形なんだけど…。

「えっと…これっていったい何グラムですか?」

「ん? 900グラムちょいじゃな」

「きゅひゃっ!?」

まさかの2ポンドステーキ!?

「なぁに、安心しろ。冒険者なら女でも6~800は余裕で食べられる。のう、アイズ?」

「わたし600までしか食べられないけど…」

アイズさんでも600食べられるのか…。

やっぱ恩恵を刻まれても食べないとエネルギーは持ってこれない…いやもしかしたらハイレベルになるとエネルギーを取る量も増えるのかな…?

ざっとファミリアの女性を見渡すと、それなりに食べているようだが太っている人はいない。

「安心せぇベル。余ったらウチらで分ける」

「そう…だね」

ナイフで切ると、ジュワッと肉汁が溢れてくる。

っていうか切っても口に入りそうにない…ちょっと行儀悪いけど、しかたないよね。

フォークにさした肉を食いちぎる。

赤身で歯応えがある肉だ。

「ベル、旨いか?」

「ふぁい、おいひいれす」

「そいつぁよかった」

side out









「けふ……うぷ…」

「おいおい…私のひざの上で戻すなよ…」

なんとかステーキを完食したベルは、少し気分が悪そうだった。

「ちょっと外いってきます…」

とてとて、と外に出たベルは、入り口の階段に腰かけた。

「ふぅ……やっぱり多かった……『俺』ですら食べきれそうにないのに『僕』の体で入っちゃうのは……ファルナのおかげかな…」

ふと、ベルは『自分』の記憶の中から一冊の本を思い出した。

「ああ…そうだ…。アイソレーターのジェットとルビー…。
人に過ぎた力の代償…ってことか」

突然、ベルの視界が暗くなった。

「だ~れだ?」

「生憎僕は貴方の名前を知りませんよ。銀髪のウェイトレスさん」

「ふふ、だーいせーいかーい!」

彼女が、ベルの隣に腰をおろす。

「私はシル・フローヴァといいます」

「僕はベル・クラネルです」

「えっと…ベルさんはおいくつで…?」

「あはは…僕はこんなナリですけど14のヒューマンですよ。あと、男です」

「まぁ! かわいらしい!」

「カッコいいっていわれたいんですけどね」

「うふふ、ベルさんはカッコいいですよ。
だって、貴方は私達の英雄ですもの。
そうでしょう? ダークヒーローさん?」

「?」

ベルが不思議そうに首を傾げる。

「ご存知ないんですか? 先日ダイダロス通りのシルバーバックを倒した冒険者の呼び名です」

「へ、へー…」

「つまり、貴方の事ですよ、ベルさん」

「う……///」

「私ダイダロス通りに住んでいて、あの時も遠目に見ていたんですよ?」

「それは…なんていうか…その…恥ずかしいですね」

「いいえ、あの時のベルさんは格好よかったです。
貴方はあの通りの住人を救ったヒーローなんですよ」

「て、照れますね…」

シルの指が、ベルの頬に沈む。

「なんれすか…」

「うふふ…なんでしょうね~?」

シルは立ち上がると、一度店の中に戻った。

そして、一分もせずに戻ってくる。

「はい、お口直しにいかがですか? すっきりしますよ?」

シルが差し出したカップを、受け取ったベルは、怪訝な顔をした。

「大丈夫です、サービスですよ。純然たる善意です」

「…そうですか」

ベルは渡されたカップに口をつけた。

「おいしい…。クヴァースですか?」

「そんな所です」

こく…こく…とベルの喉が動く。

「ぷはぁ…………………………」

「うふふふ……」

シルが空のカップを取り上げる。

「ベルさん?」

「ぅゆー………?」

「うふ…」

シルはカップを近くに置くと、ベルの頬をつつきだした。

「もちもちですねー…。しっとしちゃいそうです」

「みゃぅみゃぅ……」

ベルの目はトロンとしている。

「ここに居るのが私でよかったですね、ベルさん。
場合によっては貴方は一生慰み者ですよ?」

「ゅー?」

「もう…男のくせにこんなに可愛いなんて反則ですよ」

「みゅー……」

カツ…カツ…と足音がした。

「はぁ……。シル、何をしているんですか?」

「あ、リュー、見てみて、この人すっごく可愛いんですよ」

「あんまり客に迷惑をかけるのはどうかと思いますよシル」

「あくまでサービスですよー」

「はやくその方をリヴェリア様の下へ返してきなさい。
あとで怒られてしまう」

「もう…リューは硬いですね…」

シルがベルの方を叩く。

「たてますか?」

「んゆぅ…」

ノロノロとベルが立ち上がる。

シルに手をひかれたベルはが、テーブルに戻る。

「お? ベルに呑ませたんか?」

「はい、先日のお礼にカクテルを」

「ああ…そっか…シルちゃん彼処に住んどったな」

ベルは眠そうなベルを再び膝の上に乗せた。

膝の上で、ベルは船をこぐ。

「どうやらベルは酔うと眠くなるタイプのようだね」

「うーん…無害そうだしいいんじゃないかな?
まんま兎君だね。人畜無害で可愛くてすばしっこい」

シルがリヴェリアの膝の上のベルの頬をつつく。

むにぃ…と指が沈む。

「うにぃ……」

ぷにぷに…ぷにぷに……。

「うにぁ…?」

ふにふに…。

「うみゅぅ………」

ぷにぷに…ぷにぷに…。

「ロキ様この子欲しいです!」

「やー…シルちゃんのお願いでもさすがにそれは聞けへんなぁ…。あとが怖すぎる」

ロキが視線でリヴェリアとアイズを示す。

「なるほどなるほど」

むにむに…ぷにぷに…

「うなぁ………」

「ふぅ……この人本当に男ですか?
お風呂で確認してきていいですか?」

「あーん…? そやったら試しに服の間から腹筋触ってみぃ。
ちゃーんと男の子の筋肉しとるで」

シルがリヴェリアに視線で許可を取ると、リヴェリアはため息をついて、ベルの服のボタンを一つ外した。

「それじゃ失礼して…」

シルがスーっと手を入れた。

「お…おぉ……カチカチ……コレは確かに男の子ですね」

シルの手が徐々に下に下がっていき…

「待ちなさいシル。何をしているのですか」

それをリューが止めた。

「えー……ケチぃー」



その後、黒ロリとウサミミ・カチューシャのベルはファミリアの団員とウェイトレス達のおもちゃにされるのだった。 
 

 
後書き
暁でオリジナル小説『もふ徳』を連載中です。
可愛い男の子が大好きな同士の方はそちらも是非。 
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