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永遠の謎

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487部分:第二十九話 人も羨む剣その九


第二十九話 人も羨む剣その九

「しかしだ。今ミュンヘンにはだ」
「おられたくないのですね」
「どうしてもだ」
 王の心はだ。ミュンヘンから離れてきていた。
「最早この町には」
「ですが陛下」
「王としてか」
「はい、王都にいるのは」
「わかっている。だが」
「だが?」
「せめて観劇の間でも」
 王はぽつりと。己の願いを口にした。
「一人でいたいのだが」
「観劇の、ですか」
「ワーグナーを観ていても。人は私を見る」
 ワーグナーの芸術ではなくだ。王その人をだというのである。
 それがだ。王にとってはだった。
「視線は矢だ」
「その矢が陛下をですか」
「私に突き刺さりだ」
 視線という弓矢がだ。そうしているというのである。
「離れない。それが辛い」
「御一人で、観られることは」
 その王にだ。ホルニヒはだ。
 少し考えてからだ。こう提案したのだった。
「それはどうでしょうか」
「一人で観劇か」
「それはできるでしょうか」
「それは」
 どうかとだ。彼の言葉にだ。
 王は今は考える顔になった。そうしてだ。
 そのうえでだ。まずはこう述べた。
「無理ではないだろうか」
「できませんか」
「考えてはみるが」
 それができるかどうかはだ。王も確かなことは言えなかった。
 しかしそれでもだ。彼の提案にだ。
 考える顔をしてだ。言葉は出した。
「ミュンヘンの喧騒も視線も耐えられない」
「ならばですか」
「せめて観劇だけは静かにしたい」
 つまりだ。孤独はだ。
 今の王にとっては切望するものだった。そしてその孤独は。
 どういったものかもだ。王にとっては。
「籠の中の鳥は外に出たい」
「籠の中の」
「その鳥は外に出たい。一人で出たい」
 そうだと。話していってだ。
 そうしてであった。王は。
 今はその孤独でいられる場所に向かう。そうしてだった。 
 その別邸に辿り着くとだ。王の前にだ。
 何やら厳しい顔立ちの男達が来てだ。そのうえでだ。
 王に対してだ。何枚かの設計図を広げてだ。
 王に見せてだ。話すのだった。
「これがワルトブルク城です」
「こちらはニュルンブルクです」
 実際にある城の設計図が広げられる。
 それを見てだ。王は話した。
「そしてその城を合わせたものは」
「はい、こちらです」
「こうなります」
 また一枚の設計図が王の前に出される。それは。
 白く優美な外見だった。その設計図を見てだ。
 王はだ。少し考える顔になりだ。彼等に述べた。
「それよりもだ」
「違いますか」
「この城では」
「シンメトリカルな様式美よりも」
 王はそれを否定してだ。そうしてだ。
 次にだ。こう述べたのだった。
 
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