デジモンアドベンチャー Miracle Light
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第72話:変態仮面追跡作戦始動
前書き
序盤はタケル視点です
えーっと皆さんおはようございます。
…いやこんにちは?こんばんはかな…?
まあいいや、僕は高石タケルです。
ただいま僕は暴走中の京さんの奇行を見守っています。
え?止めろって?無茶言わないで下さい。
暴走中の京さんのパワーは人間を大きく凌駕するから手が出せないんです。
え?希望?……希望を信じるだけじゃどうにもならないこともあるんですよ。
ほら、勇気と無謀は別物だって言うじゃないですか?
弱虫?何とでも。
まあ、こうやって超暴走した京さんを見ると、アグモンが変態仮面に連れ去られた時にブイモンが言った…。
※第66話 メタルグレイモンのブイモンの台詞参照。
“さて、京。お前の今までのトラブルメーカーとしての仕事っぷりは見事だった。ああ、実に見事過ぎるくらいに見事だったとも!!お前がやらかしたドジやヘマのせいで危険度やら難易度やらが馬鹿みたいに上がったりしたこともあったからな。まあ、それでもある程度の挽回はしてたけど今回の騒動に限ってはお前の存在は邪魔でしかないのだよ。思い出してみるといい!お前のドジとヘマが無ければ今までの戦いの危険度や難易度がどれほど下がったと思う?今回は下手をすれば太一のアグモンが一生変態仮面の奴隷にされてしまうかもしれない事態だ。苦楽を共にした仲間がそうなるのは困るんでね。だからトラブルメーカーのお前にはここに残っていてもらいたいんだよ”
短く簡潔に言うと“おめえがいると邪魔だからここに残ってろ”と言うことだけど、最初は酷いなと思ったけど、こうして京さんの暴走を見ると、あの時のブイモンの判断は正に“英断”だったんだなあと思いました。
取り敢えず昨日の出来事。
デジタルワールドを探索して戻ってきた伊織達から事情を全て聞いて、時間経過ごとに状況が悪化していくことに大輔は1つの決意をした。
『みんな、こうして分かるように。あの変態仮面は着々とデジタルワールドを侵食している……』
『うん』
大輔の言葉にヒカリが頷いた。
『俺達も……本気で迎え撃つ必要がある。幸い、こっちの戦力も充実してきた。これなら向こうがイービルスパイラルで操った完全体を出してきても充分対応出来る。俺達も向こうと同じ条件で戦うんだ』
『同じ条件ですか?』
『ああ、変態仮面・一乗寺治はずっとデジタルワールドにいる、でも俺達はいちいち時間を気にしている。向こうに比べて余裕が全くない。俺達が帰っている間の時間も使い、向こうは更に侵略を続けている。』
『だね、僕達と変態仮面は時間的な理由でかなり不利だ。僕達には限られた時間しかない、けど…向こうは時間制限がないからね……』
『今は運良く夏休みだ。それを利用して長期間、デジタルワールドに滞在するんだ。』
賢の呟きに大輔は笑みを浮かべて言う。
『長期間のデジタルワールド滞在…確かに今まで通りって訳にもいかないわよね……』
『そうだね。これまで通り、日帰りって訳にもいかないし、確かに今は夏休みだから丁度良いかもしれない』
京は少し驚いた様子で、大輔達の顔を見てから俯いた。
『そ、そうよね…帰りの時間なんて気にしてたら、基地なんて叩けないわよね』
『うん、カイザーの基地を倒すまでは帰らない…そのくらいの覚悟が必要だわ』
『うん、変態仮面がダークタワーを建て続けていることを考えると1日はあまりにも短すぎる。大きな敵を倒すためには、それくらいはしないといけない』
『お前もう兄とさえ言わねえのかよ』
『おや、申し訳ないけど僕に兄は存在しないよ?』
『覚悟なら出来ていますが、夕ご飯までには帰らないとお母さんが心配します』
『まあ、伊織と京は別に日帰りでも構わねえぞ。別に無理して滞在する必要ねえし』
伊織の言葉に大輔は優しく笑うとヒカリはクスッと微笑んだ。
こういう気配りが出来るのも大輔の良い所だ。
『……いいえ、やっぱり僕も一緒に行きます。皆さんがデジタルワールドに滞在するのに僕が安全な場所にいるなんて嫌です』
大輔の言葉に少し悩んだ末、伊織は意を決した。
大輔達はデジタルワールドで過ごすのに自分は家族の元で過ごすのはどうかと思う。
それに自分は勇敢な浩樹の息子なのだから。
『そっか、よく言ったぞ伊織!!逞しくなったな』
大輔が満足そうに笑うと伊織の頭を撫でた。
京はそんな大輔達をどこか遠くを見るような目で見つめていたことに誰も気付かなかった。
そして及川宅からデジタルワールドに向かい、ハニービーモンの喫茶店(何故か何処にでも現れる)を拠点にして行動していたのだが。
京の暴走に全員に今唖然…つまり冒頭。
「京さん、疲れちゃったのかな?」
「疲れたと言うよりも気合い入れすぎて暴走してる感じだけど?」
賢とタケルがダークタワーの天辺にいる京を見つめながら呟く。
そして何を考えているのか降りてきたのかと思ったら共に行動していたテントモンに詰め寄る始末。
「ネタは上がってんのよ、正直に白状なさい!カイザーの基地はどこ!?」
「おいこら馬鹿京。いい加減にしろこら」
京を止めようと勇敢にも歩み寄る大輔。
しかし暴走した京はキッと大輔を睨む。
「むむ!?さては大輔も何か隠してるわね…!?」
「はあ?」
何言ってんだこいつ?と言わんばかりに京を見つめる大輔。
「さあ、大輔!白状なさい!!ヒカリちゃんの舌と胃袋を掌握しただけでは飽きたらず、次は誰の胃袋と舌を掌握するつもり!?」
「…ブチッ………ヒカリちゃん」
「はい( ・ω・)っハリセン」
「ハリセン_(・ω・ )ありがとう」
ヒカリからハリセンを受け取るとビュンビュンとハリセンを振る大輔。
ギラリと妖しい輝きを放つ紙製ハリセン。
それは全てのアホを下す神の武具。
それを見て京の顔が青ざめた。
「さて京、頭を冷やすために向こうで2人っきりで仲良くO☆HA☆NA☆SHIしようか?幼馴染みなんだしさ」
「い、いやあ…出来れば遠慮したいかなーって…みんなも何か言って…」
【…………】
京がヒカリ達に救援を求めるが、ヒカリ達は京と視線を合わせないように明後日の方角を見つめていた。
「HAHAHAHA!!幼馴染ミナンダシ遠慮スンナヨー」
「嫌ああああああ!!みんな助けてーーーー!!痛だだだだだ!!」
大輔に片耳を引っ張られて森の奥に消えていく京。
数分後。
「そぎゃああああああああ!!!?」
京の断末魔の叫び声が森の中に響き渡った。
「さてと、京さんも落ち着いたことだし。これからどうしよう?」
「そうだな、この穴を見ると潜った訳でもなさそうだし」
タケルの呟きに大輔は答えながら頭に幾つものタンコブを作った京を引き摺って戻ってきた。
「ということはさっき京さんが“空高くボーンって飛んでっちゃった”って言っていたように空かな?」
「空ですか?」
「変態仮面はあんなでも用心深い性格だったからね。基地を特定の場所に置いたままなんてことはしないはずだよ。」
実際一緒に暮らしてた時も嫌がらせをする際は証拠を残さなかった。
あんな性悪変態仮面のことなんか今すぐにでも忘れ去りたいものだが。
「賢さんの言葉なら信用出来ますね。空を探してみましょう!!」
こうして空を探すことに。因みに大輔はヒカリ、賢は京(復活した)、伊織はタケルと組んで空中探索した。
「それにしても災難でしたね?頭冷えました?」
ホルスモンに乗っている賢が共に乗っている京に尋ねる。
「叩かれ過ぎて逆に熱くなっちゃったけどね…まあ、大輔には言いたくないけど今回はそれで良かったかも…」
「そうですか」
スッと京の頭に触れる。
賢は体温が低いので心地いい感じがする。
代わりに心の方は少しヤバいが。
「ま、まあ、あいつには言いたくないけど今回止められて良かったかもね。私、いよいよ最終決戦だって思ったら、何だかとっても緊張しちゃって耐えられなくなって……それで、とっちらかっちゃったみたい。私、一度スイッチ入っちゃうと止まらなくなっちゃうのよね……」
「まあ、それは京さん特有の欠点ではありませんし、逆に僕みたいに冷静になりすぎて冷たく見えるというのもあります。正直難しいんですよね。まあ、少しずつ時間をかけて直していくしかないんでしょうね」
「そうですよ京さん。誰にでも欠点はあります。そういう良し悪しも含めて京さんなんですから。きっと私は当然として皆さんも…あの大輔さんだってそんな京さんが好きなんだと思います」
「ホルスモン、ありがとう」
捜索は長時間に渡り、一度戻るかと思い始めた時、飛行機が飛ぶ時と同じエンジン音に似たものが耳に入って来て、音のする方向に向かうと向こうからやって来る謎の飛行船を見つけた。
「何あれ!?」
「変態仮面の基地ですね多分。京さん、ビンゴですね」
「うん」
ホルスモンの呟きに京が頷いた。
一乗寺治との決戦が始まる。
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