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ダグラス君

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第五章

「私の魂はこの厚木の私自身への銅像に入っていたのだからな」
「神様の配剤ですか、キリスト教の」
「そうかも知れないな、とにかくだ」
「はい、今こうして私が寝ることを邪魔しに来ているんですね」
「邪魔とは心外だな、私は挨拶に来たのだ」
 銅像はそこは断った。
「君にな」
「私が当直でここにいるからですか」
「厚木にいる者には必ずそうしている」
「挨拶に来られていますか」
「そうしたことはしっかりしないとな」
 こう考えてというのだ。
「だから訪問したのだ」
「礼儀ですか」
「そうだ、君達日本人は昔から礼儀を大事にしているな」
「それはそうですけれど」
「それで来たが元気そうだな」
「ええ、突然の事態に何それって思ってますけれど」
「ははは、言うな。では君がこの厚木にいる間だ」
 その間と言うのだった。
「宜しく頼む」
「嫌だとはですね」
「私は厚木では今も司令より偉いのだ」
「元帥だからですか」
「君達の司令官は一佐だな」
「アメリカ軍で言うと大佐ですね」
「そうだな、しかし私は元帥だ」
 この階級にあったからだというのだ。
「一佐とどちらが階級は上だ」
「元帥は最高の階級ですよね」
 勝手は軍隊の階級の話に応えた。
「将軍の上にある」
「そうだ、アメリカ軍の司令よりも偉いのだ」
「階級の力って偉大ですね」
「私が銅像になってもな」
「それで、ですか」
「君に断る権利はない」
 自分が元帥だからだと言うのだった。
「いいな」
「凄く嫌な現実だけれど認識しました」
「その様にな、ではだ」
 ここまで話してだ、銅像は勝手に告げた。
「私は別の場所に行く、ジープがある」
「車で移動されるんですか」
「私自身が運転してな」
「元帥でもご自身で」
「昔は運転させていたが」
 それがと言うのだ。
「私は今は自分で運転するのが好きでな」
「だからですか」
「それで今は自分で運転してだ」
「基地の中を運転されていますか」
「そうだ、ではな」
「はい、じゃあ私これで寝ますんで」
「また会おう」
「いや、出来るなら夜遅くには来ないで下さい」 
 そこはしっかりと言ってだった、勝手は銅像が事務所を出るのを見送ってから眠りに入った。そして翌日の朝事務所に来た坪川達にこのことを話すと。
 するとだ、坪川は勝手にこう言った。
「ああ、昨日来たか」
「厚木の人ならだれでも知ってるって言ったましたけれど」
「有名な話だよ」 
 それこそという返事だった。
「俺が当直の時も時々来てな」
「そうしてですか」
「ああ、そしてな」
「事務所の中で色々話してきてですか」
「帰ってるんだよ、それでな」
「厚木のあちこち巡ってるそうですね」
「そうだよ、自分でジープを運転してな」
 そうしてというのだ。 
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