永遠の謎
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441部分:第二十七話 愛を呪うその十一
第二十七話 愛を呪うその十一
「永遠の謎であり永遠に考えられそして」
「永遠に理解されるのか」
「理解できなくとも誰もが慈しみます」
王をだというのだ。その全てを。
「陛下はそうした方になられるのです」
「では私がこれから築くものは」
「陛下は消そうとされますが」
「どうしてもな。そうしたい」
「しかしそれは残り」
そしてだ。どうなるかというと。
「後世の者達が陛下を愛される指標になります」
「私は。死ねばもう忘れられてしまいたい」
ここではサド侯爵の様なことも口にした。
「永遠に。誰からも」
「理解されないのなら」
「そして私の愛が認められないのなら」
「しかし。そうはならないのです」
騎士にはもう見えていた。その未来が。
そしてその未来をだ。今話すのだった。
「陛下は後世においてこそです」
「そうなる筈がないが」
「今はわからないことです」
「そうだろうか」
王は今はわからなかった。そのことはだ。
王は人であり未来を見ることができない。予測はできるがそれは悲観的なものでしかなかった。自分自身が理解されるとは思えなかった。
それでなのだ。騎士の世界であり自分自身の夢をだ。この世に残そうとは思えなかった。それでまたその言葉を出すのだった。
「私は。結局のところは」
「この世ではわからないことです」
「あちらでわかることか」
「はい、そうです」
また言う騎士だった。
「陛下があの世界に行かれてからです」
「ならいいが。ではだ」
「はい。それでは」
「やはり結婚はできない」
王はまずはだ。このことについて結論を出した。
「私にはそれはできない」
「そのことは残念ですが」
「そうだ。結婚すればゾフィーを不幸にしてしまう」
王が女性を愛せないからだ。だからだ。
それでだ。それはできないというのだった。
そのことを言ってだ。騎士を見てだった。
「私は生涯に渡って」
「そうです。この世においては」
「女性とは結ばれない」
それはできないことだった。王はだ。
そのことへの結論は出た。そしてだった。
王はだ。このことも決めたのだった。
「築く」
「陛下が築かれるべきものを」
「卿の世界、そして私の夢を」
「このドイツにおいて」
「ドイツもまた芸術の中心であるべきだ」
今もドイツへの愛情自体は衰えていない。そうした意味で王もまたドイツの者だ。
しかしだった。それと共にだった。
「だが。バイエルンはそのドイツの中心にはなれない」
「今はそうですね」
「ドイツはプロイセンにより統一される」
現実の政治の動きはだ。見えていた。
「バイエルンはその中に組み込まれていき」
「プロイセン王、いえドイツ皇帝に敬礼されるでしょう」
「臣下だな」
「王が礼をする存在は」
それは何か。これは何処でも変わらない。欧州、そしてドイツでも。
「神、教皇、そして」
「皇帝の三つだけなのだから」
「だからです」
騎士もこのことを言う。
「それは避けられません」
「プロイセンの勢いは止まらない」
王にはわかっていた。現実の世のことも。
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