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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

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第百五十四話

「はぁ━━━━━━━」

「幸せが逃げるわよー」

「だって俺主人公だぜ?」

「良いではないか。お前以外に適任は居まい」

「そうだぞ。お前以外が主人公をやったら他のクラスから『もっと美しい奴が居るだろ!』ってブーイングだぜ?
箒ちゃんと鈴もそう思うだろ?」

弾の問いかけに二人がうなずく。

「いや、確かに俺の顔立ちは整ってるとは思うよ?」

「嫌味か」

「嫌みね」

「嫌みだな」

「いや、そうじゃなくてさ…。おれ男じゃん?」

「「「だから?」」」

何時もの帰り道、一夏は劇の主人公にさせられた事を愚痴っていた。

「なぁ、俺ってそんなに可愛いか?」

一夏はむにむにと自分の頬を弄っていた。

「婉曲な自慢か?」

「そうじゃなくてさ。可愛い可愛い言うけど、少なくとも俺より姉さんとか円香の方が可愛いだろ?」

「「「………………」」」

「なんか言えよ」

「なんだ? 理論立てて似た顔立ちのお前と千冬さんと円香の方向性の違いを論じればいいのか?」

「できるのなら」

「ふむ…。まず千冬さんは『可愛い』より『カッコいい』もしくは『美しい』だな。
あのつり目がちな瞳は男より男らしい」

「そうね、なんせブリュンヒルデだもの」

「ああ、あの人さぞや女子にモテるだろうな」

一夏がふむふむと頷く。

「次に円香だが、年相応の可愛らしさがある。
それにあの優しげなタレ目は周りの者を癒す」

「うーん…円香とはあんまり話したこと無いのよね…」

「俺もだ」

「今度会うか? 円香はな、めちゃくちゃ可愛いぞ」

「はいはい…シスコン乙」

鈴が一夏の頭を撫でると、気持ちよさそうに目を細める。

「次に一夏、お前の可愛らしさだが…。うむ……何というか…一言で言えばギャップ萌えだな」

「ギャップ? 俺の何と何のギャップだ?」

「まず容姿と中身だ。かわいらしい容姿に頼りがいのある中身。
次にそんな頼れる奴が時折見せる見た目相応の無邪気さ」

「………///」

「そうそう、こういう所が可愛いのよねぇ」

弾に顎を撫でられ、猫化していないにも関わらずうっとりした顔を見せる。

「あとは、この見た目で警戒心ゼロな所だな。
俺がガードしてなかったらどうなってた事か」

「ふみゅ…? にゃー…にゃー」

「なぁ箒ちゃん、こいつトランスするの早くなってないか?」

「みゃふぅー?」

「可愛いから良いではないか。そら、帰るぞ一夏」

「みゃう」

ばふっ、と箒のお腹に抱きついた。

「一夏は転生したせいで肉体と魂が完全に一致していない。
こうやって簡単に『幼さ』が露出する」

「みゃぅみゃぅ……すーはー…」

「おいバカ何処を嗅いでいる」

箒が一夏の後ろ襟を猫のように摘まむ。

ぷらーんと宙に浮く一夏。

「後で好きなだけ嗅いでいいから、往来ではやるな」

「みゃう」

「「嗅ぐのはいいのかよ!?」」

「私も一夏も式神を憑けるせいでどうも匂いフェチ的な所があってな…」

「いやアンタ達の性癖とかどうでもいいのよ」

「私は鈴の匂いは好きだぞ」

「黙りなさい変態」

「なお一夏以外の男の匂いは基本苦手だ」

「え…俺そんなに匂う?」

「いや、五反田は蘭の影響かそういった所は気を付けているようだが…
テニス部連中など最悪だな」

「あー…。あの爽やかイケメン擬き共ね。
見た目芋臭い野球部の方がそういうところ気を使ってるわよね」

「臭い云々以前に俺はアイツら嫌いだぜ。
校内カーストの上位だと思い込んでやがる」

「まぁ、それは置いておくとしてだ…」

箒は片手でぷらーんとしている一夏を見る。

「にゃぅ?」

「少しは自分の容姿を認識して欲しい物だな…」













side in

「あっるぇー? 気づいたら家のソファーの上なんだけど?」

マジで気づいたらソファーの上だ。

正確にはソファーの上の妹の膝の上だ。

「五反田に顎を撫でられて猫になっていたようだぞ」

テーブルを挟んで正面に座る箒がニヤニヤとわらっている。

「マジかよ……」

「ねぇ、お兄ちゃん」

「なんだー…猫耳なら出さんぞー」

「えい」

カプッと首に噛みつかれた。

あ……やばい……おちる……


あたまが……くらくら……する……

みゃふぅ……


「お兄ちゃん?」

あ、まどかだー

「にゃにー?」

「お兄ちゃん、しっぽ出して」

しっぽ…? しっぽ……ちぇん…よろしく。

『はいはい』

ちぇんがなかにはいってくる。

ひとつになって、とけていく。

ちぇんがおれをおおって、かたちになる。

みみと、しっぽができた。

さわられたら、とってもきもちい。

「みゃー。にゃー」

「ありがとう、お兄ちゃん」

まどかがしっぽをすりすりしてくれる。

ふわっとして、きもちい…。

くるっ、てからだをまわされた。

まどかがちゅーしてくれた。

まえよりもずっとずっとじょうずになっている。

おれもまけないように、したをからめる。

ふわふわして、ねむたくなる。

「にゃー…」

「お兄ちゃん、きもちい?」

ふにふにってみみをさわられた。

「みゃー」

「そう。よかった…」

にこってまどかがわらってる。

かわいいなぁ。

まどかのくびをなめるとくすぐったそうにする。

さっきのしかえし、だよ。

「むー……。えい」

「みゃぅっ!」

あっ…みみペロペロしちゃだめっ…

まどかのしたのおとで、せなかにぞくぞくってかんかくがくる。

「みゃぅー❤」

のうみそをなめられてるみたいな、そんなかんしょく。

あ…みゃぅ……にゃぉー…ふみゃぁ………

side out








一夏が円香の膝の上で寝転がり、仰向けになる。

「みゃぉん…みゃぅ…みゃふぅ…」

「?」

円香がすりすりと腹を撫でると一夏はみゃぁみゃぁと鳴く。

「みゃー…❤」

「おー…すべすべ…ぷにぷに…」

円香が一夏のお腹を堪能していると、リビングに束が入ってきた。

「あれー? 帰ってたの二人とも?」

その服装は何時ものドレスではなく、機能的な作業服のような物だ。

そして所々に汚れがついている。

「ああ、さっきな。一夏が猫化していたから円香に愛でさせていた所だ」

「みゃぅぅん…❤」

「お腹見せてるし……スッゴいなついてるね…」

「最近”なり馴れて”いるようだな」

「『ご褒美』で週一くらいは猫化してるもんねー」

猫化すると3日程は猫のままなので、実質週の半分程は猫化している。

「…にゃう?」

寝転んだまま首を傾げる姿は、庇護欲と嗜虐心という相反する感情を掻き立てる。

しれはもしかすると『支配欲』なのかもしれない。

「私も久々にやってみるか…稲荷」

『はいはーい』

箒の頭に三角の耳が、制服のスカートの下からもふもふの尻尾が現れる。

「稲荷、<朝焼け>を頼む」

『朝焼けワンピースだね?』

箒の服が光に包まれ、形を変える。

「うむ…やはりこちらの方がいいな…」

箒は円香の隣に座ると、一夏に尻尾を差し出した。

「うみゃぉん❤」

一夏がもふもふの狐尻尾を両手で抱き締める。

「なーご❤」

「いっ君って本当箒ちゃんの尻尾好きだね」

「役得だな」

しばらくすると、一夏は箒の尻尾を抱き枕にして眠り始めた。

ズシッとサイコシャード製の義手が結合を解き、重さがダイレクトにかかる。

人工皮膜の肘ではない場所が不自然に曲がる。

「あれ…? 形がなくなったのにサイコシャードがアクティブのまま…?」

「箒お姉ちゃんのしっぽをさわってたいんじゃない?」

「なるほど…。うん、晩御飯は私が作って来るよ」

「すまないな姉さん」

「それはいいけどさ、箒ちゃん家には帰らないの?」

「?」

「いや…もう三週間くらいここに居るけど…」

箒は一夏の介護という名目で二十日近く織斑家で生活しているのだった。

「……ダメか?」

「うーん…一回くらい帰ったら?」

「うむ………明日辺り帰るとしよう…」

「まー、気持ちはわかるけどねー」

束は気持ち良さそうに寝息をたてる一夏に視線を向ける。

「ここ四ヶ月、寂しかったんでしょ?」

「さぁ…、何の事だろうな…」

「もう、素直じゃないなぁ…」

箒がフイッと顔を背ける。

年相応の態度に束がクスクスと笑う。

「じゃぁ晩御飯作ってくるね」




















織斑家の地下、そこには一夏が拵えたラボが存在する。

地上の敷地よりも遥かに広いスペースが広がっている。

そしてそのスペースには、現在2つの大きな物体が鎮座していた。

片方は金色に輝き、もう片方は紫を基調とした毒々しい色だ。

形はどちらも円盤状だが、金色の方は流線形で紫の方は角ばっている。

そしてその二機にはそれぞれこう刻印がされていた。

ALVATORE、そしてAGRISSA。 
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