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デジモンアドベンチャー Miracle Light

作者:setuna
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第60話:反撃のタイミング

大輔達選ばれし子供達は再び集まった。

そして大輔はヒカリから1枚の写真を受け取ると全員に見えるようにした。

【 こ れ は ひ ど い 】

写真を見た第一声がこれである。

大輔が子供達に見せたのはデジモンカイザーこと一乗寺治の痴態写真であり、中学生としてはあまりにも痛々しい姿に太一達は思わず目を閉じた。

写真でですら視界的ダメージが深刻なので生で見た光子郎と空達のダメージは計り知れず、そして兄のそんな姿を見た賢は情けないやら恥ずかしいやらで自分に自己暗示をかけている。

「僕に兄はいない。兄さんは2年前に死んだ。僕に兄はいない。兄さんは2年前に死んだ。僕に兄はいない。兄さんは2年前に死んだ。僕に兄はいない。兄さんは2年前に死んだ。僕に兄はいない。兄さんは2年前に死んだ。僕に兄はいない。兄さんは2年前に死んだ。僕に兄はいない。兄さんは2年前に死んだ。僕に兄はいない。兄さんは2年前に死んだ。僕に兄はいない。兄さんは2年前に死んだ。僕に兄はいない。兄さんは2年前に死んだ。僕に兄はいない。兄さんは2年前に死んだ。僕に兄はいない。兄さんは2年前に死んだ。」

「ちょっと賢君、しっかり!!確かにお兄さんかもしれないけどお兄さんと賢君は全然違うわ!!」

京が自己暗示をして自分の精神を保とうとしている賢を止めようとする。

「これじゃあ兄弟の縁切りたくなるのも無理ないな」

幼い頃に離れ離れになったせいか弟のタケルに対して過保護ではあるが、家族の絆を大切にするヤマトですらもドン引きしてしまっている。

「うーん、正直目が痛いね」

丈も引き攣り笑いを浮かべている。

「でも見た目は間抜けですけどやってることかなりえげつないですよ。大人しいデジモンまで輪で操られてるようですし。」

「確かにな、見た目の間抜けさに騙されそうになるけど、やってることは胸糞悪いぜ!!」

太一も見た目に騙されそうになったが、やってること最悪なので怒りを露わにする。

「すみません、あんな兄で…身内の恥もいいとこですよ…」

賢の今にも倒れそうな声に太一は同情の視線を向けた。

「そういや、2年間行方不明だったよな?家族から何か言われてないか?」

「家に帰ってきてくれと言われてますけど冗談じゃない。兄さんをあんな悪趣味に育てるような親の元に帰りたいわけないでしょ。無視を決め込んでます。お祖母さんも僕の意志を尊重してくれてますから」

「そうか…まあ、俺達選ばれし子供としての立場を考えてもそっちの方が助かるな」

現時点ではD-3を持つ選ばれし子供は数が日本のみ、しかも大輔達だけと限られている。

正直、今の時点で賢を戻したらあまり自由を得られないのは間違いないだろう。

「とにかく、あの人達は気にしない方向で。僕達がしなければならないのはアレの駆除です。一応人間だから見殺しは出来ませんし」

「え?見殺し?」

丈が何のことだろうかと疑問符を浮かべる。

「前の冒険の時に残ろうとして駄目だったのを忘れましたか?デジタルワールドがその気になれば兄さんなんて異物としてデリートされてしまうことになるかもしれませんよ」

【あ~…】

「確かになあ、流石に見殺しはまずいし仕方ない。程良くボコボコにして現実世界にお帰り願うしかないな」

ブイモンが頭痛そうに呟く。

賢はあまりの居たたまれなさに溜め息を吐いた。

「よし、みんな。明日俺達がやるべきことは一乗寺治をボコってデジタルワールドから叩き出す。以上!!」

【了解!!】

大輔の言葉に全員が力強く頷いた。

そして今日は解散、そして翌日の放課後。

「さて、今から馬鹿イザーをぶっ飛ばしに行くぞ」

【おう!!】

駄菓子屋とコンビニで購入したお菓子等で腹を膨らませたデジモン達は気合い充分だ。

因みに一乗寺治の家族がニュースに出ていたが…。

「治ちゃんはとても優しくて利口な子なんです!!」

「無事であることを今でも祈っています。」

「あんたらの教育に問題があるからあんなおめでたい奴になったんだろ…」

ブイモンがうまい棒(チョコ)を片手に呆れたように呟いた。

まず行方不明の息子の心配をする前に自分達の教育法を省みて欲しい。

一同はデジタルワールドに向かうと、デジタルワールドに到着するのと同時に幼年期だったウパモンとポロモンが成長期に進化していた。

「コロコロ忙しいなお前らは、成長期になったり幼年期になったり。まあ、経験の問題か。」

「確かにね、私達は長い間成長期か成熟期だったから世界の行き来で退化や進化はしないようだわ」

自身の体を見る先輩デジモン達。

パタモンもワームモンも成長期の姿が基本となっていたから世界の変化による進化や退化はないようだ。

それから幾ばくも経たない内に、大輔達のD-3に点滅する4つの点が現れた。

「これはデジメンタルか?」

「む?むむ?この感じ…これは俺が使っていた神聖…もとい希望のデジメンタルだ!間違いない!!お?希望のデジメンタルが2つ…誰だ?」

「1つは俺。残りの3つはタケルとヒカリちゃん、賢の可能性が高いな。」

「そうかな?」

「少なくてもD-3を持つ俺達には1つの共通点があるそれは古代種かそれの因子を持つことだ。だからテイルモン達もアーマー進化出来るはずだ。」

「アーマー進化か…成熟期の私がアーマー進化すれば…」

「大して変わらないんじゃないか?下手したら見た目が更に酷くなったりしてな」

「何だと!?そんなはずはない。私がアーマー進化すれば神秘的な何かになるはずだ!!」

「その根拠のない自信はどこから沸いてくるんだよお前…?」

古代種であるが故にテイルモンのアーマー体はある程度知っているが、テイルモンのアーマー体の中で比較的神秘的っぽい見た目は希望のデジメンタルのアーマー体だったはず。

光のデジメンタル?

あれは神秘的…か?

「何をしている!!」

「きゃあ!?変質者!?」

「出やがったな、変態仮面!!」

突如現れた治に全員が構えた。

やはりあの見た目で急な登場はびっくりするらしい。

ブイモンと京は思わず本音が出たようだ。

「君達のような愚かな人間達が、どうして自由にこの世界に出入り出来るんだい?」

「まずあなたの愚かな見た目をどうにかしてから言って下さい。目に痛いです」

伊織が嫌そうに治を見つめて言うが、治はやれやれと言わんばかりに首を振る。

「やれやれ、やはり愚かな凡人には僕の崇高なセンスは理解出来ないようだね」

【理解したくもない】

「だが、仕方のないことさ。僕は特別な存在。愚かな凡人に僕の崇高な考えを理解出来る存在はいないのだから」

「おいこらナルシスト。お前本当に賢の兄貴か?後、自分で崇高とか言ってて恥ずかしくないのか?」

「だからこそ君達の存在は僕を不愉快にさせる。偉大な天才たる僕を差し置いてデジタルワールドに行き来していた君達の存在はね」

「デジタルワールドに来たいならその自己中を直してから言ったら?そしてD-3やデジヴァイスもないのにどうしてデジタルワールドに?」

治の発言にタケルは思わずツッコんだ。

しかしゲンナイからはこんなのが選ばれし子供になったとは聞いていない。

「ふふふ、天才たる僕に不可能はない。そんな玩具に頼らなくてもデジタルワールドに行く方法を僕は知ったのさ」

「じゃあ不法侵入じゃねえか。賢の兄貴だから見逃されてんのかこれ?」

データが近いから賢だと誤認されている可能性もあるが。

「愚かな凡人達、僕の世界に無断で入った罪を贖ってもらおうか」

「いや、私達は不法侵入のあんたと違って正規の方法(?)で来たんだけど?」

治の言葉にツッコミ所がありすぎて京も思わずツッコんだ。

少なくても能力的に劣ろうが犯罪者のあんたよりマシだと言うことだ。

「選ばれし子供とは、僕みたいな完璧な人間の事を言うんだ!君達じゃない」

【………………】

立体映像が消えるとティラノモンに騎乗した本物の治が、地響きと共に現れる。

「完璧な人間は中学生でそんな格好をする痛い存在じゃないよ兄さん」

【うん】

賢の呟きに全員が頷いた。

もう全員が可哀想な子供に対応するような表情である。

「この世界は僕の物だ!早く出て行け!!」

【はいはい、良い子だからさっさとお家に帰りなさい】

相手にするのも馬鹿らしくなってきたのかもう声にやる気が感じられない。

「僕のゲームを邪魔する奴は、それ相応の仕打ちをせざるを得ないな……やれ!ティラノモン!!」

治の命令を受け、ティラノモンが火炎弾を吐き出す。

「よし、逃げるぞ」

「ええ、何で?」

「こいつを相手にするなら戦力を強化してからだ。それからでも充分」

「でもやられっぱなしでいるなんて…」

「じゃあ京だけでも頑張れ」

「逃げます逃げます!!」

「よし、それじゃあ…デジメンタルアップ!!」

「「デジメンタルアップ!!」」

大輔がブイモンをアーマー進化させると、京と伊織もそれぞれのパートナーをアーマー進化させる。

「ブイモンアーマー進化、ライドラモン!!」

「ホークモンアーマー進化、ホルスモン!!」

「アルマジモンアーマー進化、ディグモン!!」

3体のアーマー体を見た治は鼻を鳴らした。

「同じ手が何度も通用すると思うのか?これだから頭の悪い奴は嫌なんだ…何!?」

進化した瞬間、ライドラモンは大輔とヒカリ達を乗せ、ディグモンはタケルと伊織達と共に地中に潜り、ホルスモンは京と賢達を乗せて一目散に逃げた。

「貴様ら逃げるのか!?」

「逃げる?生憎俺達はお前みたいなお子ちゃまと遊んでやる程暇じゃないんだ。だ・か・ら、バイバ~イ」

ライドラモンが治に痛烈な嫌味を叩き付けてデジメンタルポイントに向かうのであった。

「追え、追うんだティラノモン!!」

嫌味を言われた仕返しのようにティラノモンを数体引き連れて追い掛ける。

「ははははは!!見たか、あの変態仮面の顔!!屈辱だって顔!!」

デジメンタルポイントに到着し、爆笑しながらライドラモンから退化したブイモンは大輔達と共に洞窟を歩く。

「あんたって本当に性格悪いわね」

「ククク…さあて、カイザーが来るまでにデジメンタル回収しようぜ」

「そうだな。あ、あった…光に優しさ…そして希望が2つ」

大輔が4つのデジメンタルを発見。

まずブイモンが自分が使っていた希望のデジメンタルを回収。

次は刻まれた紋章の所有者達が試してみて見事に持ち上がる。

「…来たな…よし、返り討ちにしてやるか?」

ブイモンの言葉に全員がニヤリと笑った。

外では治が待ち構えている。

「出て来ないならいい。ティラノモン、奴らを蒸し焼きに…」

「ジャッジメントアロー!!」

洞窟を粉砕し、ティラノモンの真横を通り抜ける閃光に治が気を取られた瞬間。

「メテオギャロップ!!」

「うわあああ!?」

治が騎乗していたティラノモンがサジタリモンに吹き飛ばされ、治は盛大に落下した。

治が起き上がってから見た物は、テイルモンが光のデジメンタルでアーマー進化したネフェルティモンとパタモンが希望のデジメンタルでアーマー進化したペガスモンが連携技のサンクチュアリバインドでティラノモン達を拘束、一斉攻撃であっさりと沈められるティラノモン達の姿だった。

「終わりだな、一乗寺治。世界征服ごっこは終わりだ」

退化したブイモンが治に敗北を告げる。

「終わりだと!?笑わせるな、僕はデジモンカイザーだ。特別な存在である僕がお前達凡人に負けるはずがない。常に1番だった僕が…」

「ふん…弱い犬ほど…良く吠えるもんだな…」

テイルモンで培った嫌味スキルが火を噴き、ブイモンは治ににじり寄る。

「さあ、覚悟しろこの野郎!!」

ブイモンが治に飛びかかるが、治は跳躍してかわしてエアドラモンを呼ぶとエアドラモンに飛び乗り、逃げ出した。

【あー!?】

「この野郎逃げるなーっ!!」

怒り狂ったブイモンの叫びが響き渡るのであった。 
 

 
後書き
完全体相当のサジタリモン。何?序盤にしては過剰戦力?相手も完全体序盤で使うしモーマンタイ。 
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