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麗しのヴァンパイア

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第八十四話

               第八十四話  日本のチーズ
 朝食の用意が出来た、カーミラは食堂からベルが鳴ったのを受けて食堂に入った。そうしてテーブルに座ると。
 もうテーブルの前には朝食が用意されていた、そして既にビニールから出された端が丸い三角に切られたチーズを見て微笑んで言った。
「このチーズがね」
「美味しい」
「ご主人様のお気に入りになっていますね」
「そうよ。このチーズはね」
 そのプロセスチーズはというのだ。
「普通に売られているものだけれど」
「スーパーに行けば何処でもあります」
「安価に手に入ります」
「高級チーズとは比べものになりません」
「そうだけれどね」
 安い、日本で言うと庶民的だがというのだ。
「その味はね」
「違う」
「欧州の高級チーズに負けない美味しさがある」
「そうでありますね」
「ええ。若し馬鹿にする人がいれば」
 日本のそのチーズをというのだ。
「チーズの味がわかっていないわ」
「そう言っていいですね」
「そこまでの味ですね」
「日本のチーズは」
「このスライスチーズは」
「これが高級チーズでないことは不思議よ」
 カーミラからしてみればだ。
「まことにね。ではね」
「これからですね」
「そのチーズを召し上がられ」
「そしてですね」
「パンもワインもですね」
「無花果もまた」
「食べさせてもらうわ」
 見ればパンは食パンで既に苺のジャムがたっぷりと塗られている、そして無花果は四個新鮮なものがある。
 それを食べてだ、そのうえで。
 赤ワインを飲む、すると今度はこう言った。
「ワイン、特に赤ワインは私にとってはね」
「血と同じですね」
「それだけの栄養がありますね」
「だからいつも飲まれていますね」
「そうよ。今朝も一本飲んで」
 そしてというのだ。
「また一日を楽しむわ」
「ではそうされて下さい」
「是非」
「ええ、これからね」
 オーストリアから持って来た年代もののグラスで赤ワインを飲んだ、イタリア産のその赤ワインもまた美味くチーズもそれと共に食べた。


第八十四話   完


                2018・8・29 
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