転生とらぶる
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機動戦士ガンダム
2218話
ある意味では予想通りだったが、シーマの部下達を見た被験者の子供達はその強面に悲鳴を上げたり、怖がったりもした。
だが、俺としてはまさか被験者の子供達を連れて移動出来る筈もないし、結局のところはシーマの部下に任せるしかない訳で……シーマの部下の3人のうちの1人は、その外見とは違って繊細な心を持っていたのか、微妙にショックを受けた様子だった。
ニュータイプ研究所の被検者だけに、シーマの部下達が害意のある人物ではないと判断されることを祈ろう。
ともあれ、そんな感じで海兵隊に被験者の子供達を預けた後で、俺は他の場所に向かう。
通信で他に突入している部隊に聞いてみたが、クスコとマリオンという2人の被検者はまだ見つかっていないらしい。
こういう時に連れて行かれたのは、運が悪いとしか言いようがないな。
詳しく話を聞いてみたところ、その2人は毎日のように連れ出されていたので、別に今日だけが特別という訳でもないらしいのだが。
「さて、そんな訳で……どこに行ったらいいものやら。いっそスライムで探すか?」
呟きながら研究所の中を進むも、特に誰かがそれに反応する様子はない。
クスコとマリオン。一体どんな奴なのかは分からないが、あれだけ子供達に慕われているというのを考えると、多分面倒見が良かったりはするんだろう。
そんな風に考えながら、適当に研究所の中を歩き回ること十数分……不意に、男の怒鳴り声が聞こえてくる。
「ほら、急げ! 早くこの研究所から逃げるんだ!」
「いやっ! ちょっと、引っ張らないでよ! マリオン、大丈夫!? きゃあっ!」
女の悲鳴と同時に、殴る音が周囲に響く。
同時に、人の身体が地面に倒れる音も。
「止めて下さい!」
「うるせえっ! くそっ、一体何だってこの場所の件がルナ・ジオンに知られたんだ。くそっ、くそっ、くそっ! だが、サイド3に戻れば、まだ俺は終わりじゃない筈だ。絶対にこのままでは……!」
恐らくこの研究所の研究者なのだろうが、完全にパニクってるな。
とはいえ、研究所に突入した連中から無事に逃げ延びてここまでやって来た点を考えれば、運が良いのか、それとも何気に鋭いのか。
その辺りの事情は俺には分からなかったが……いや、俺に見つかった時点で運が良いとは言えないか。
そんな風に思いつつ、俺は足を進め……やがて、廊下を曲がったところで5人の人間を目にする。
1人は研究者で、2人は警備兵、そして残る2人は女。
2人の女という事は、もしかしてこの2人がクスコとマリオンなのか? マリオンって名前が出てたし、恐らく間違いないだろう。
どっちがどっちなのかは分からないが、桃色の髪の女は床に倒れており、青い髪のショートカットの女は地面に倒れた桃色の髪の女に駆け寄ろうとしつつも、警備兵に腕を掴まれた状態でそのような行為が出来ずにいた。
ここで俺が迂闊に名乗り出るような真似をすれば、女2人が人質にされそうだな。
そう判断し、向こうがこっちに気が付くよりも前に瞬動を使って一気に近づいていく。
地面に倒れている桃色の髪の女はそのままに、青い髪の女の腕を掴んでいる警備兵の腕を蹴り、強引に外す。
……警備兵の手首の骨が砕ける感触が足にあったが、この状況を考えれば俺がそれを気にするような事はない。
「……ぎゃあああ!」
手首の骨を砕かれた警備兵は、一瞬自分が何をされたのか分からなかったのだろう。
数秒の沈黙の後で、悲鳴を上げる。
当然そのような真似をすれば、もう1人の警備兵はこちらに拳銃を向けてくるが……それは、俺の影から伸びた影槍が拳銃を持っている手首を切断する。
「あああああああああああああああああああっ! 俺の手、手、手、手がぁっ!」
腕の傷口から激しく血を吹き出しながら叫ぶ警備兵。
そして、警備兵2人が瞬く間に無力化された事により、20代後半程に見える研究者の男は腰を抜かして地面に尻餅をつく。
そんな研究者の身体を影槍で貫く……のではなく、先端が尖っていない影槍。影のロープとでも呼ぶべきもので縛って動けないようにして、ついでに騒いでいる警備兵の意識を奪ってから、改めて2人の女に視線を向け、尋ねる。
「さて、まずはこれから聞かせて貰おうか。お前達2人は、クスコとマリオンという名前でいいか?」
そう尋ねた俺に、青い髪の女は目を大きく見開く。
桃色の髪の女は、警戒心に満ちた視線を向けてきた。
まぁ、自分達が強引に連れ去られようとしていたところに、いきなり俺のような存在が……それも魔法を使う存在が現れたのだから、警戒するのは当然か。
とはいえ、今の俺は20代の姿。
それこそ、ルナ・ジオンの建国宣言を見ている者であれば、俺が誰なのかはすぐに分かりそうなのだが……そんなに前から、TVとかを自由に見られないような生活をしていたのか?
ともあれ、沈黙の中で最初に口を開いたのは桃色の髪の女だった
「クスコは私よ」
「となると、そっちがマリオンか。……この研究所の被検者になっていた子供達から、お前達を助けて欲しいと言われて来た」
その言葉がもたらした説得力は、劇的だった。
2人がこっちを見る視線から、警戒心がかなりなくなったのだ。
完全に警戒心がなくなった訳ではないが、先程よりは大分マシだ。
まだ若干ではあってもこっちを警戒しているのは、俺の言った事が真実かどうか分からないからというのも大きいのだろう。
「それで? 貴方はどこの誰? ジオン軍の研究所を襲うってことは、連邦軍の人?」
クスコが強い意思を宿した視線をこちらに向けてくる。
やはり、クスコとマリオンでは、マリオンは気が弱いのだろう。だからこそ、この2人ではクスコの方が主導権を握り、前に出て話をする訳だ。
「いや。……一応聞くが、俺はアクセル・アルマーだ。知ってるか?」
もしかしたら。
そんな思いから尋ねるが、2人は予想通りに首を横に振る。
代わりに……
「アクセル・アルマー!?」
そう叫んだのは、影のロープによって身動きが出来なくなった研究者の男。
どうやらクスコやマリオンと違って、この研究者は俺の名前を知っていたらしい。
「なるほどな。この研究所の被検者は、ずっと情報から隔離されていたのか。この研究所が本格的に動き出したのが今月からだというのを考えると……数ヶ月前から、お前達は被検者になっていたといったところか?」
「え、ええ。そうだけど。……貴方、有名人なの?」
研究者の言葉で、俺が具体的にどのような人物かは分からないが、有名人だというのは理解したのだろう。少し戸惑ったように、クスコが尋ねてくる。
「そうだな。少なくても俺の名前を知らない軍関係者はいない。そう思ってもいいくらいには有名人だぞ? ……なぁ?」
そう研究者に視線を向けて尋ねるが、研究者がそれに何かを言うよりも前に、不意にマリオンが倒れそうになり、クスコが支える。
あー……見るからに身体が弱そうだもんな。強烈な血の臭いがしてる場所にいれば、こうもなるか。
意識を失っているとはいえ、既に大量出血で瀕死と呼ぶのに相応しい警備兵を見ながら、そう納得する。
「取りあえずこのままここにいるのもなんだし……移動するか。近くに来い」
「え? ……何をする気?」
いきなりの近くに来いという発言に、クスコが戸惑ったように告げる。
まぁ、いきなり近くに来いって言われば、そうなるか。
ただでさえマリオンの方は気絶してるんだし。
「このままこの連中を放っておく訳にもいかないだろ? いやまぁ、正直なところ俺は別にこのままでもいいと思うんだが……そっちは、もうそろ死んでもおかしくはないしな」
手首から血を流している警備兵を見ながら、クスコに告げる。
クスコも気が強そうではあるが、それでも目の前で人が死ぬといった光景は見たくはないのだろう。
やがて、不承不承といった様子ではあるが頷きを返す。
「そうね。でも、それでアクセルの近くに行ってどうするの? 誰が人を呼ぶだけなら、別にそんな事をする必要も……」
「俺は魔法使いだ」
クスコに最後まで言わせず、そう告げる。
……当然のように、クスコは何を言ってるんだ? といった視線をこちらに向けてくる。
影槍を見せたんだから、魔法か使いだと納得してもいいと思うんだがな。
まだ若干疑問の視線を向けているクスコだったが、気絶したマリオンをこのままにしておけないというのもあってか、やがて渋々と俺の近くまでやってくる。
気絶している2人の警備兵と、影のロープで縛られている研究者も近くに寄らせる。
当然ながら、クスコにとって研究者というのは愉快な相手ではない以上、その視線は厳しい。
俺がちょうどここに来る前には、研究者か警備兵かは分からないが、殴られる音もしていたのを考えると、その態度も仕方がないのだろう。
ましてや、被検者の中には追い詰められる為に暴力を振るわれたり、性的暴行を受けた者もいるという話なのを考えると、尚更だった。
もっとも、俺が見たデータでは性的暴行を受けた者の名前はクスコでもマリオンでもなかったのを考えると、視線の厳しさはそれが原因ではないのだろうが。
全員が集まってきたのを確認すると俺は影のゲートを開く。
「きゃあっ!」
瞬間、真っ先に悲鳴を上げたのは、予想外な事にクスコだ。
影に沈んでいくという体験は初めてなんだろうから、それも当然だが。
せめてもの救いは、クスコが俺を警戒していたので、俺との間には幾らか距離があるという事か。
おかげで迂闊にクスコや気絶しているマリオンと触れずに済んだ。
正直なところ、俺がニュータイプ……もしくはその素質を持つ奴と触れあうと、何が起きるのか分からないからな。
セイラとの時のように妙な空間に意識だけが移動するというのであればまだしも、アムロのように恐怖を感じられるといった真似でもする事になれば、ちょっと洒落にならないし。
「落ち着け、これは影を通して転移する魔法で、危険はない」
「けど、だって! ちょっと、本当に大丈夫なんでしょうね!」
そう叫ぶクスコの声を聞きつつ……俺達は完全に影に身体を沈めるのだった。
「お?」
影の転移魔法で研究所の外に出ると、俺の視界に入ってきたのは、シグーやジン、バクゥといったMSが、サイド6の自警軍? とでもいうのか、そういう連中と睨み合っている光景。
ただし、自警軍の方はMSなどある筈もなく、使っているのは装甲車とかそういう感じの兵器でしかない。
『アクセル、あんたまた……一体、どこから出てくるんだい』
シーマの乗っているシグーから、呆れの声が発せられる。
ちなみに、自警軍の方でも俺達が影のゲートから出てくる光景を見ていた者がいたの、外に出ていた何人かは唖然とした視線をこちらに向けていた。
「まぁ、ちょっと急ぎだったんでな。ほら、そっちの警備兵。早く手当てしないと死んでしまう」
回復魔法が使えない以上、俺が治療するとすれば、それこそイクシール……とまではいかないが、魔法薬を使う必要があった。
だが、この研究所で働いていた警備兵を相手に、わざわざ魔法薬を使おうとは思わない。
それでも死なれるような真似をすれば、クスコやマリオンにトラウマを与える可能性もあるので、助ける必要があった。
……クスコの方はかなり気が強いので、警備兵が死んでも特にこれといった風に反応する事はなかったかもしれないが、マリオンの方はそうはいかないだろう。
近くの、ルナ・ジオンが用意した装甲車から何人かの兵士が走ってくるのを見ながら、俺は改めて周囲の様子を見回す。
ルナ・ジオン軍はこの研究所に立て籠もっており、サイド6側は研究所の敷地内に入らないようにして……それでいながら、研究所を包囲するような形を取っている。
そう言えば、コロニーの港のカトンボとかは、大丈夫か?
まぁ、サイド6が持つ武力を考えれば、カトンボを相手に迂闊な真似はしてこないだろうが。
不確定要素としては、連邦軍とジオン軍の存在か。
特に大きいのは、ジオン軍の存在だろう。
そもそも、この研究所はジオン公国が用意した場所だ。
それも、わざわざサイド3ではなく、中立――という事になっている――サイド6の、しかも恐らくは上層部の何人か、もしくは全員を買収するなり脅すなりといった真似をして。
それだけに、護衛のMSを20機程も用意する事が可能であって、こうして人通りのない寂れた場所に研究所を用意する事も出来た。
それ程重要な場所だけに、こうして俺達に襲撃されたと知れば、戦力を出してくるのはほぼ間違いないだろう。
……それが、研究所の奪還か、もしくは証拠の隠滅かは分からないが。
そして、連邦軍としては……一応サイド6は中立という事になってはいるが、実質的には連邦が強い影響力を持っている。
それだけに、自分の縄張りに手を出してきたといったことになれば……さて、一体どう思うだろうな。
権限を持っている者によっては、それこそちょっかいを出してくる事にもなりかねない。
一体、この研究所の襲撃がどのような結果を招くのか……少し、楽しみではある。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1435
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