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異世界は神皇帝と共に

作者:黒鐡
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第1巻
  国王暗殺未遂事件

「もしかしたら俺らが追ってた魔物かと思ったけど違ったみたいだ」

「一真殿が追ってる魔物だと拙者達が倒せないと思ったからでござったか」

「これってギルドとかに報告した方がいいんだろうけど、ここがかつての王都なら国家機関に知らせた方がいいかと。公爵様に話してみましょう」

で、ゲートを使ってアルフレッドのとこに行った。

「そうか、旧王都にそのような遺跡が・・・・」

「これは王家に関わる事かもしれんが、残念な事に地下遺跡の方は崩壊してしまってな。国から調査団出して調べても無駄に終わるかもよ」

「そうか、せめて壁画に何が書かれてるか興味があったのだが」

「壁画に興味あるならこれはどうだろうか」

「これは千年前の遷都の謎が解けるのかもしれん、だが短時間に絵を描いたと言うのか?」

俺はスマホアプリにある写真を使って記録、そして印刷してから本に纏めておいて正解だった。画像を記録させるのも神国でしかない技術、これを他国に渡す気は更々ないけど遷都された理由が分かればいいんだけどね。

「相変わらず神国の技術は凄い、技術提供は出来ないのかね?」

「残念ながらこれを他国に渡すべからず、と決められてるから。水晶の魔物も書かれてるかもしれんが、事後処理を任せてもいいかな」

俺らのターゲットであるドウターでは無かったが、核さえ取れば勝てる相手なのに旧王都は何故あのようなのを封印しといたのだろう?数日後、地下遺跡の分析をしてみたが結局のところ分からない事だらけだ。

『黒鐡様』

「ん?どうした」

『何やら王都で黒鐡様を呼ぶ声が聞こえまする』

「・・・・なるほど、王都で何かあったか」

俺は出かけるが、皆に声をかけずに行く訳にはいかないんで王都へ行ってくると伝えといた。アルフレッドに会うのはどうも緊張するらしい、貴族と庶民との差なのかもしれんが。ゲートで公爵家の正門前へ出る。

「ああ、これは織斑様でしたか」

「その様子だと慣れたみたいだな、ところでアルフレッドは急ぎの用事か?」

正門が開くと中から馬車が出てきた、それを素通りするが何故か止まった。

「一真さん!?有難い!乗ってくれ!」

「何かあったんだな」

「ああ、このタイミングで訪れてくれるとは『何か王都で呼ぶ声を感じた』やはり神の僕らが呼んでくれたのだな」

「何があったかは予想できる、アルフレッドの兄である国王に毒を盛られたそうだな」

「その通り、だが対処が早かったので持ちこたえてる。このままでは・・・・」

犯人に心当たりがありそうだが、スゥが襲われた事もあるから同一犯の可能性が高い。アルフレッドの兄が国王だと言うのは知ってたが、あちらから何らかのアクションがない限り正体を明かす事はない。

「他国からの刺客?」

「それなら分かりやすいが違う気がしてならない。我がベルファスト王国は三つの国に囲まれている。西にリーフリース皇国、東にメリシア山脈を挟んでレグルス帝国、南にガウの大河を挟んでミスミド王国だ。リーフリース皇国は長年の付き合いで友好関係がある。帝国とは二十年前の戦争以来、不可侵条約を結んでるが友好的とは言えない。またこの国を攻め込んでいても可笑しくない、そして南のミスミド王国が問題なのだ」

「ミスミドは二十年前の帝国と戦争中に新たに建国された新興国だと、ここの国王はミスミドと同盟を結んで帝国の牽制と新たな交易を生み出す事も。それに反対する貴族もいて、ミスミド王国が亜人ばかりの国で獣人の王が治めてる。それが気にくわぬ貴族ら、最も古い考えを持つ貴族らを相手するのは面倒だよな」

「うむ。ただ亜人が気にくわぬから国益になる事を邪魔にする貴族なのだ。亜人達は下等生物とされていて侮辱対象であった、卑しい野蛮な種族だとされてたが私らの父の代になると認識を改める法を制定してから今のような風習がなかった。この国の城下町だと獣人達も表と裏で考えが違う者らが結構多いのだ」

要するに差別と認識させて卑しい獣人の国と手を結ぶ事に疑問をし、攻め滅ぼして自国の属国にするべきだと言う考えを持つ貴族だからそれを邪魔にする国王は邪魔者だと感じたとか。

今回の黒幕も古い考えを持つ貴族の仕業だと考えればだが、わざわざ自国の王を殺してまで排除したいのか?もし亡くなれば王位継承者は一人娘のユミナ王女に移る、王女に自分の息子か一族に婿として迎えるよう仕向けたのかも。

「王家と繋がった事で権力による亜人排除を考えてる愚か者がいる訳か、もしもスゥを誘拐してそれで脅迫した相手はアルフレッドではなく国王になる。ミスミドと国交を結ぶなと言う警告、警備も厳重のはず・・・・ところで俺に何すればいいの?」

「兄上の毒を浄化してほしい、周りに王族がいるから神の力を使ってもらいたい」

異常状態回復魔法ではなく神の力とされる回復、アレを使うには太陽光を吸収しなければならないが最近使ってないから問題ない。城門を潜り抜け、跳ね橋を渡って王都に辿り着く。

城の中に入ると拠点D×Dにある家より小さいが、アルフレッドと共に長い階段を進むとシャンデリアはロウソクではなく光属性の魔法付与されてるのか。電気とかない世界だとだいたい光属性の魔法使ってるのが分かる。

「これはこれは公爵殿下、お久しぶりでございます」

「ッ!・・・・バルサ伯爵!」

「ご安心下さい。陛下の命を狙った輩は取り押さえましたぞ」

「何だと!?」

「ミスミド王国の大使です。陛下はワインを飲んでお倒れになりました。そのワインがミスミド王国の大使が贈ったワインだと判明したのです」

コイツが犯人で間違いなさそうだ、俺には分かる、コイツがやったと言うオーラを見て。ハゲデブの貴族が言うにはミスミドの仕業だと言ってるが、アルフレッドにコイツと話してると毒が全身に回るからと言って行かせる。

「大使を別室に拘束してるらしいが、それを決めるのはお前ではなく国王が決める事だ。首を刎ねるようにな」

「何ですかな小僧風情が『やかましい、ただの貴族が我に刃向う気がいいのならここで斬首しようかゴラァ!』!?」

「一真さんの言う通りだ。大使はしばらく部屋に留まってもらうようにしろ、それから一真さんの事だけは侮辱するな」

「・・・・そうですか。獣人には勿体無いお言葉で、陛下にもしもの事があれば他の貴族も同じ事を言うかもしれませんよ」

卑しい笑みを浮かべるバルサ伯爵、コイツを睨みつけて立ち去ろうとしたので空間からハリセンを取り出して一発叩いたら足を踏み外して転がり落ちる。周りにいたメイドや警備も笑いを堪えていた。

アルフレッドは気にせず進むんで厳重な警備をしてる近衛兵が気付くと、頭を下げながら大きな扉を開ける。部屋の中にアルフレッドが飛びこむとベッドの周りに何人か集まっていた。

『全員が王族かその関係者か』

『はい。恐らく国王の手を握り締めてるのが王女、涙を堪えて椅子に座る女性と沈痛な面持ちで佇む灰色のローブを着た老人、黄金の錫杖を持って目を伏せてる翡翠色の髪をした女性と怒りに燃えてる軍服を纏う者』

『灰色のローブを着た老人に声をかけてるが』

「兄上の容体は!?」

「色々と手を尽くしましたが、このような症状の毒は見た事もなく・・・・このままでは・・・・」

老人は瞼を閉じて首を静かに横へ降る、するとかすれるような声で国王が口を開く。

「アル・・・・」

「兄上!」

「妻と娘を、頼む・・・・お前が・・・・ミスミド、王国との同盟を・・・・」

「一真さん、どうか頼む!」

「ではそうさせてもらおうか、ちょっとどいてくれ」

「何を『この方を連れて来たのは私であり、兄上の毒を浄化できる御方だ』そうなのか、ならやってくれ」

と言う事で早速赤龍帝の籠手を取りだし、背中から六対十二枚の翼を展開。いきなりの状況だが今は毒を浄化させるのが最優先、目と翼だけ神の力を発動して全身に回った毒の浄化と後遺症が無くなる治癒も一緒に。

終わると同時に顔色が変わり上半身を起こす程の回復力、死んだような目から生気が蘇った目でこちらを見た少女と女性が安心するかのように。さっきの苦しみが嘘のように消滅を確認、灰色のローブを着た老人は医者のようで手を取り脈を測ったりしてた。

「・・・・ご健康そのものです。まさかこんな事が・・・・」

「アル・・・・アルフレッド。この者は?」

「我が妻の眼を治された織斑一真様です。神の声を聞いて我が屋敷へおいで下さったのでお連れしました。一真さんなら兄上を救ってくれると」

「織斑一真です。この籠手を見れば正体が分かるかと思いますが」

「その赤き籠手と金色の翼と目、間違いなくプトレマイオス神国の大公ではないか!そうか、赤き籠手を持つ者がすぐ近くにいるとはこの事か」

「陛下、赤き籠手と天使のような翼に身に覚えがあるので?」

「将軍、先程陛下が仰ってましたがプトレマイオス神国の大公をしている者は二天龍の片割れを持つ神器『赤龍帝の籠手』を持ち、創造神黒鐡様の力を使える者として王族だけが知ってる事なのですよ」

将軍も噂は知っていてもプトレマイオス神国に関して無知のようだ。その代り黄金の錫杖を持つ女性が語ってくれた通り、アルフレッドはミスミド王国の大使について聞いていた。

国王暗殺の首謀者をバルサ伯爵が拘束してる事、国王を殺す理由はミスミドには無い事は明白である。邪魔者はやはりアイツだが、大使から送られたワインを飲んで倒れたらしく現場を全員が見てたそうだ。

「どんな毒については後回しだ、まずはミスミド王国の大使に会えば分かるかもしれん。俺が使う心眼で嘘か真か分かるのでな」

「そうだな。呼んで来てくれ、レオン将軍」

「は」

いくら主治医でも分からない事もある。様々な毒の検出方法を試したが、ワインから毒は入ってなかったらしいから解毒方法も分からず仕舞いだったと。何も出来ずに苦しんでる国王を見るしか。

回復魔法だと状態異常まで回復出来ないし、もしも俺がここに来なければ今頃死んでたろうに運がよかったと言う者もいるし神のお告げが来たから俺が来れたとか。大使の濡れ衣を着せられては困る。俺らで真犯人を見つけないとな。

「あの・・・・」

「ん?」

「お父様を助けて頂きありがとうございました」

「気にするな、俺の力によって助けられたのならよかった」

歳は俺より下だが、左右の瞳の色が違うからオッドアイか?深々と頭を下げられたが、当たり前の事をやっただけだから気にしないよう言っといた。大使に会う前に籠手と大天使化を解いた後だったが、ユミナ姫は俺の方を見つめ続けてた。

もしや一目惚れでもしたのか?年下も好きだが俺は正直言って大御所のような存在、その時レオン将軍とそれに続くミスミド王国の大使。あれ?あの人ってアルマの姉だっけか。

「オリガ・ストランド、参りましてございます」

「単刀直入に言う。そなたは余を殺すためにこの国へ来たのか?」

「誓ってそのような事はございません!陛下に毒を盛るような事は断じて!」

「だろうな。そなたはそのような愚かな事をする者ではない。信じよう、しかし大使から贈られたワインに毒が仕込まれたのは事実。これについてはどう説明する?」

「そ、それは・・・・」

「ふむ、心眼で見てもこの者は嘘を言ってる訳じゃないから。それに俺はオリガさんとは知り合いでね」

「あなたはあの時の・・・・」

心眼で見てる間は目の色は金色になる。それを見るミスミド王国の大使と他の者達、国王が倒れた場所は要人達と会食する時の大食堂で現場はそのままの状態らしい。ワインだけ持ち出してるらしく、今も毒の検出してるらしいがワインに毒が無い事を見抜いても言うと面白味が無くなる。

「現場検証のため、その部屋を調べる事は可能か。大使の潔白のため、俺が真犯人を見つけましょう」

「いいだろう。それにその眼はまさに神の力と言っていい代物だ」

レオン将軍に案内されると机に料理が残ったままで、国王が飲んだワインを持ってきてもらった。

「このワインは珍しい代物か?」

「よく分からんがそうらしい、大使が言うにはミスミドのとある村で造られた貴重品と聞いている」

「・・・・このワインから毒物は検出されない、恐らく別の方法で混ぜ込んだんだと思う」

心眼で見るとワインには入ってないが、別の物に反応があった。と言う事は犯人は一人しかいない、国王達全員をここに呼ぶよう言っといてバルサ伯爵も。全員がここに来てからバルサ伯爵が最後だったのか呼ばれて文句言おうとしたら国王を見て驚いていた。

「陛下!もうお身体の方は何ともないのですか!?」

「おう、バルサ伯爵。この通り何ともない、心配かけたようだな」

「そう、ですか。ははは、それはそれは何よりでございます」

「一時はもうダメかと思ったが、そちらにいる一真さんが毒を浄化してくれたのだ。余は運がいい、危ないところだった」

もう全員がコイツじゃね?と思ったに違いない、と言うか分かりやすいリアクションだからか。コイツ以外思いつかない行動をしたのだから。

「それで一真さん、皆を集めてどうするつもりですか」

「皆が知っての通り、国王陛下に毒を盛られました。現場はここであり倒れた後もこのままの状態となってますが、料理は流石に冷めていますけど国王暗殺未遂事件の犯人が分かったから集まってもらったのですよ」

黄金の錫杖を持っている翡翠色の髪をした女性は、予想通り宮廷魔術師のシャルロッテが俺に訊ねる。集められたメンツは国王・ユミナ姫・ユエル王妃・アルフレッド・レオン将軍・シャルロッテ・ラウル医師・オリガ・バルサ伯爵。

「この中に犯人がいる、まずこのワインだけど中に毒は検出されませんでした。俺が実際飲んでみても平気だったので」

「何だと!?」

「ここにあるワインは俺が知ってる製法で作られた最高級のワイン、これをレオン将軍に飲んでもらいます」

「うむ、これは美味い」

空のワイングラスに注いだのをレオン将軍に飲ませた事で、ワインに毒が入ってない物的証拠となった。で、国王が座る席に置かれたグラスにワインを注ぐ。

「これを飲んでもらいたい、バルサ伯爵に飲んでもらいましょうか」

「いやっ、私は・・・・」

国王はまだ体調が優れてない、なのでご指名させてもらった。ワインに入ってないのだからここはググッと飲んでもらいたい、レオン将軍にアイコンタクトするとグラスを無理やり伯爵の口に流し込んだ。

「う!うあ!うああ!た、助けてくれ!毒が!毒が回る!死ぬ!死ぬうぅぅぅ!」

「変な子芝居しなくて結構ですよ、バルサ伯爵」

「し、死ぬぅぅぅってあれ?何ともない?」

「そりゃそうだろうよ。だが何故これに毒が入ってると思ったのか?それを聞きたいもんですね」

「どういう事だね?」

「つまり毒はオリガが贈ったワインではなく、国王のグラスの中に塗られてたと言う事だ」

「グラスに・・・・?なるほど、道理でワインから毒が検出されなかった訳か」

俺は心眼を使って部屋全体を見渡して、実行犯はコックか給仕かのどちらかだと思ったがレオン将軍が現場を押さえてくれたお陰で真犯人を見つける事が出来た。すぐ真犯人見つけた、と言うよりコイツ以外有り得ないだろうと思ってたから。

「・・・・くっ!」

「逃がさん!オリガ、濡れ衣を着せられたのだ。俺が動きを止めている内に」

諦めが悪いバルザ伯爵、無能で後先考えずに行動した結果がこうなった訳。悪知恵の所為で国王が死ぬとこだったので罪の重さを知ってもらう、念力で動きと止めてる間に恨みを込めた蹴りが炸裂させた。 
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