| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

異世界は神皇帝と共に

作者:黒鐡
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 目次
 

第1巻
  新たな外史への旅立ち

「まさか雷落とした相手が相棒だったとはのぅ」

「こっちにもドライグいるが紛らわしいわ」

「まさか俺の声をした記憶共有者がいるとはな」

頭を下げる老人、背後に広がる雲海と言う雲の絨毯で俺らが座ってるのは畳の上。四畳半の部屋が雲の上に浮いてる状態、ちゃぶ台に茶箪笥とレトロなテレビと黒電話は懐かしいと思える部屋。

目の前にいるのは俺の相棒ドライグの声をした管理者でありこの外史での神様、が、俺は創造神黒鐡なので死なないままここに来た訳だ。蒼い翼本社からの帰宅途中に手違いな神雷を下界に落とすのも神格を失うぐらい、落ち度があるなら謝罪なりさせるけど今回は異世界に呼ばれたから。

「今回もだが、相棒を呼んだのは他でもない面白味のある異世界があったのでな」

「見た目爺さんなのに声が同じとは、で?面白味のある異世界とは」

「それに俺以外は眠ってるようだから今回も呼ばれたのは相棒と俺とゼロだけか」

今回行く外史は俺らがいた世界より発展途上の世界で、スマホやパソコンが無い時代らしいが俺のみ使えるようにしてくれた。各銃器とエクスカリバーも持っていけて、制限無しに使える。

バッテリーはソーラーパネルでもよかったが、俺の魔力で充電する事も出来れば通信機も使えるのだから。そろそろ行くが、本来なら神様と言う呼称だけどドライグと声が同じで紛らわしい。

「本来なら神様と呼ぶらしいが、紛らわしいんでドライグのままで構わんか?」

「別に構いませんし、貴方は創造神黒鐡と呼ばれし者なのですから」

「相棒、そろそろ行こうぜ」

そう言って俺の意識が無くなる事はなかったが、まばたきしたら無事に異世界へ到着。すると電話が鳴る、相手は相棒だが神界から掛けているから神界ドライグと登録した。

「もしもし俺だ」

『繋がったと言う事は無事に着いたようじゃな』

「まあな。ところでマップや方位とかも異世界仕様なのか?」

『その通りじゃよ。一真様を送る場所を街中より騒ぎになると面倒だったから人目のないとこへ送ったのじゃ』

「文字は?『サングラスの翻訳モード使えば読めるぞい』なるほど、拠点から使ってるこれも起動できるのか」

一応グラサンのモード切替しても使えるから電話を切ったが、ここでの出身地をプトレマイオス神国にして大公及び神国王の名はティグルヴルムド=ヴォルン。王族か王族関係者は赤龍帝の籠手を見せれば俺が誰なのか分かるようにしたとか。

そして通信の電波塔はトレミーを介して使われる、今回も俺とドライグだけかと思ったが静観してるみたいで。何かあれば通信してくるが、こちらから無い限り通信しない。

「ここから街まで結構あるから早速ゼロを呼ぶか」

「俺の背に乗ってもいいのだが」

「お前を出すと目立つ、ここはスナイプ・ゼロを出した方が得策だ」

「それと金はあるのか?『既に創ったから問題ないだろうよ』流石相棒だな」

スナイプ・ゼロを空間から呼び出してバイクに乗って数時間が経過、馬車が来るはずがバイクで進んだのか一度も遭遇しなかった。俺の服を追い剥ぎするような輩に触れてほしくないと思ったし、追い剥ぎするのなら異世界にある服装で我慢だ。

スーツとかが珍しく見た事もないデザインや縫製、服飾関係の仕事も経験がある俺にとって異世界=スーツや学生服とは珍しい服装なのだと。バイクはリフレットの町付近で空間に入れる。

「ここがリフレットの町か、門番も挨拶と軽い質問だけで通されるとは。早速だが宿屋にでも行くか」

『俺を戻したのはこういう事か。確かに小型ドラゴンが頭上に乗ってるだけで怪しさ一杯だ』

「金は空間に入れてある、金貨・銀貨・銅貨を持ってれば心配なさそうだ」

宿屋に向けて歩くと本来起こる出来事をスルーした店『ファッションキングザナック』の中にオーナーザナックがいたが。俺が向かう宿屋は『銀月』と言うところでマップ確認。にしても残念なネーミングセンスな気がする。

宿屋『銀月』の看板が見えてきた、三日月のロゴマークは分かりやすく見た目も三階建ての建物。作りも頑丈そうだけど一階は酒場食堂=ってのは前と変わらず。

「いらっしゃーい。食事ですか。それともお泊りで?」

「宿泊を頼みたいが、一泊いくらだ?」

「ウチは朝昼晩食事付きで銅貨二枚だよ。あ、前払いでね」

「とりあえず一ヶ月で頼むよ、前払いだからこれで」

「一月ね、最近お客さんが少ないから凄く助かったわ。ありがとうございます、銅貨六十枚丁度頂きます。銀貨切らしてから助かったわ」

金貨一枚で銅貨百枚と言う計算になり、例えば金貨十枚で五百日は遊んで暮らせる事になる。金貨一枚=銅貨百枚。カウンターにいた看板娘は赤毛ポニーテール、年齢は二十代前半かな。

「じゃあここにサインをお願いしますね」

「サインね、はい、これでいいかな?」

「織斑一真・・・・もしかしてイーシェンの生まれかしら。これが部屋の鍵だから無くさないように、部屋は三階の一番奥だから陽当たりが一番いい部屋。トイレと浴場は一階、食事はここになるけどお昼どうする?」

「丁度良い時間だから頼むよ、朝から何も食ってないからね」

「じゃあ何か軽いのを作っておくから待ってて。今の内に部屋を確認して一休みしてきてもいいから」

「分かった」

鍵を受け取って階段を上り、三階の一番奥の部屋に行く。鍵を開けると六畳ぐらいの部屋で、最低限の家具は置いてあるみたいだ。窓を開けると宿前の大通りが見えて眺めがいい、これは当たりを引いたと思い階段下りるといい匂いがする。

「はいよー。お待たせ」

食堂の席にはサンドイッチとスープにサラダが運ばれてきた。相棒を外に出せないが、俺が食った感触伝わるだけでもいいらしい。拠点もいいが今回来た外史の味も良い味だ、さてこれからどうするか。

「ミカさん、ちょっと散歩に行ってくるよ」

「はいよー行ってらっしゃい」

町を散策しながらスマホを取り出し、マップと店名を記録しながら歩くがやはり武器を携帯してる者が多い。剣に斧、ナイフから鞭まで持つ者もおるが俺はいつも通りにすればいい。

「一応アクセサリー化してあるエクスカリバー使えばいいけど、銃はまだ使えんか」

『相棒、大通りの外れに何やらトラブル発生のようだぞ』

「そのようだ。もしかするとアイツらかもしれん、ちょいと行ってみるか」

言い争いは裏路地の方で、突き当りで四人の男女が何やら争いが起きそう。男二人と少女二人、男はガラの悪くて少女は可愛いが強そう。容姿がそっくりだから双子か?

「約束が違うわ!代金は金貨一枚だったはずよ!」

「何言ってやがる。確かにこの水晶鹿の角を金貨一枚で買うと言ったさ、ただし傷物でなければの話であって見れば分かるがここに傷があるだろう?だからこの金額な訳なのよ。ほら受け取れ、銀貨一枚な」

ロングで絶対領域な子とショートで黒タイツな子、男らはニヤニヤ顔が気持ち悪と思うぐらいだ。小さな傷ぐらいで傷物に入らず、初めからこうなる事だったのだろう。金はいらないから角を返せと言っても男らは受け取ったから渡す気は更々なさそう。

「おいお前ら。ちょいといいか」

「あ?何だテメエは?俺達に何か用か?」

「用事なのはお前らゲスではなく彼女らに用があるのさ」

「え?あたし?」

「その角を金貨一枚で俺に売ってくれんか?」

突如声を掛けられたのか動揺しながら強気で俺に視線が集まり、睨みつける男らを無視して話を聞いてた彼女らはポカン顔にする。が、時間が経つと理解したのか俺の提案に乗ってくれた。

「売るわ!」

「テメエら、何勝手な事言ってやがる!これはもう俺達のもん『バンっ!』・・・・!?」

男が水晶の角を頭上に持ち上げた瞬間、思わずハンドガンを取り出して撃ち放った弾丸が粉々に砕け散る。四人共銃器を見た事ないのか、砕け散った品物よりも銃器の音に驚く。

「なッ・・・・!?今何しやがった!」

「ついつい抜いてしまったがな、まあいいとしてそれは俺のもんだが金は支払うから」

「この野郎!」

「この武器を見ても向かって来るとはな」

男の一人が懐からナイフを取り出して襲い掛かるが、避ける事なく蹴りを放つ。身体能力強化しなくとも既に強化されてるから問題無し、ハンドガンを警棒代わりにして打ち込んだからか気を失った。

蹴りはフェイクだが、振り返るともう一人の男はロングの少女が戦ってた。手斧対籠手、ガントレットでの踏み込んだ右ストレートが顔面に炸裂。二人の男はあっと言う間に倒されていて見事と言いたい。

「約束の金貨一枚だ」

「・・・・いいの?あたし達は助かるけど・・・・」

「粉々に砕いてしまったのは俺だけど、商談成立後だから何も問題無い。受け取ってほしい」

「じゃあ・・・・遠慮なく」

揉め事の一つや二つ片付けて財布から金貨一枚取り出して彼女らに渡す。ロングの子はガントレットの手で金貨を受け取るが、その手で受け取って不便さを感じないのだろうか?

「助けてくれてありがとう。あたしはエルゼ・シルエスカ。こっちは双子の妹、リンゼ・シルエスカよ」

「・・・・ありがとうございました」

「俺は織斑一真と言う、名前が一真な」

「名前と名字が逆って事はイーシェン出身なの?」

「違うが、まあ似たようなとこから来たから余り詮索しないと助かる。俺もさっきこの町に来たんだ。君達は?」

宿屋のミカさんと同じ反応に違うと言って、詮索されないよう頼んだ。髪型と服装で覚えたが、たまにどちらが姉でどちらが妹なのだと判断できない事もある。ま、俺の場合はオーラを見て判断してるから。

「ここが宿屋ね、私達も早速泊まらせてもらうわ・・・・うん、私達もこの町に来たばかりなのよ」

果汁水を飲みながらエルゼが答える、宿屋を探してたと言う事で俺が引っ張ってきた形になるけど。ミカさん曰く新たな客を連れて来たから嬉しそうにしてた。夕食からのティータイム、ここでさっきの輩を教えてくれた。

「あたし達もアイツらの依頼でここに水晶鹿の角を届けに来たんだけどね。酷い目にあったわ、何か胡散臭いなーと思ったんだけどさ」

「・・・・だから止めようって私は反対したのに・・・・お姉ちゃん、言う事聞いてくれないから」

「ところで二人は何故アイツらの依頼を受けたんだ?」

「ちょっとした伝手があってね、あたし達、前も水晶鹿を倒して角を手に入れたんだけど欲しいって話が来たからちょうどいいかなって。でもダメだねー、やっぱギルドとかちゃんとしたとこから依頼受けないとトラブルは付き物だと分かったから」

「この機会にギルドに登録しよっか、リンゼ」

「その方がいいと思う・・・・安全第一だから明日にでも登録に行こうよ」

この外史にもギルドがあるのか、姉のエルゼは暴走気味な性格があって手綱を握るのが妹のリンゼ。明日行くなら俺もギルドに用があるから付いて行っても?と聞くと承諾してくれた。

ギルドに行けば仕事を貰えたりするから稼げるけど、そん時は二人と別れて自分の部屋に戻る時にドライグを外に出す。ここが新たな外史の空気を感じてから寝たが、服を売らないで宿屋に泊って少女らを助けて輩を排除する

スマホにある目覚ましアプリの音で目覚める、顔を洗いながら量子変換機でパジャマから普段着へと着替え終わる。食堂に降りると既に二人が起きていて食事しようとしてたとこだったので、俺も同じのを頼む。

『朝食はパンにハムエッグ、野菜スープにトマトサラダね』

『起きてたのかティア』

『僕らも起きてたよ、ただ今回は主にドライグ目線らしいんだよ』

僕ら?と言う疑問に答えるとグレンデルら三体もいるが、今回は主にドライグのみ活躍する事になってるから。ティアとサマエルは話し相手にしてくれるが、外に出せるかは今後の展開がどうなるか。

その間に食べ終わり、早速三人でギルドへ向かうが町の中央付近にあるからそこそこの賑わいを感じた。ギルドの一階は荒くれ者がいると思ってたけど、その心配はいらなかったらしい。 
< 前ページ 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧