レーヴァティン
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第七十七話 八丈島その六
「しかしそれもです」
「一気に冷凍してやな」
「氷の中に置いていれば」
それでというのだ。
「中の虫もです」
「死ぬな」
「そうなりますので」
「ええねんな。こっから冷凍技術確立してけば」
耕平は枝豆を食べつつこうも言った。
「それでな」
「はい、お刺身も山の中でも食べられて」
「肉もな」
「普通に焼いたものが食べられます」
「ステーキも食えるぜよ」
当季が笑って言ってきた。
「わしは実はあれが好きでのう」
「牛肉のか」
「豚も鶏肉も羊も好きぜよ」
「羊もか」
「勿論鯨もぜよ」
幸正にも笑って言う。
「ステーキならどれも大好きぜよ」
「そうなのか」
「羊、マトンだとあの匂いがいいぜよ」
「マトンは匂いに癖があるでござるな」
智は焼酎を飲みつつ当季に応えた。
「それで実は拙者の実家では」
「マトンはぜよ」
「あまり人気がありません」
「じゃあラムぜよ」
「羊の時は」
この肉を食べる時はというのだ。
「そうなっています」
「ラムもええがのう」
子羊の肉だ、成人した羊の肉がマトンなのだ。
「マトンのあの匂いがじゃ」
「当季殿はお好きでござるか」
「あれを焼いてワインをぐい、じゃ」
当季は言いつつ今は焼酎を一気飲みした。そうして自分で杯に焼酎を入れてそのうえでまた飲みはじめた。
「これが最高ぜよ」
「そうでござるか」
「安いしカロリーも低い」
当季は羊肉の美点も話した。
「その脂肪は自分の脂肪を燃やしてくれるしダイエットにもいいぜよ」
「そうでござるか。実は拙者の母上は近頃」
「ダイエットにぜよ」
「関心があるでござる。まだ痩せているでござるが」
しかしというのだ。
「何でも若い時に比べて太ったと」
「よくある話じゃのう」
「そのせいで」
「痩せるのにいいものをじゃな」
「食べようとしていますが」
「なら羊じゃ」
まさにとだ、当季は智に笑って答えた。
「お肉はな」
「そうでござるか」
「というかバランスよく食べてよく身体を動かしたら」
それでとだ、こうも言った当季だった。
「適度に痩せるがのう」
「拙者もそう思うでござるが」
「女心じゃな」
「太っていると思って」
もっと言えば思い込んでというのだ。
「そしてでござる」
「ダイエットを考えてるんじゃな」
「左様でござる」
「まあ肉はさっき言った通り羊でぜよ」
「そしてバランスよく」
「甘いものと炭水化物は減らしてぜよ」
当季はこの話もした。
「間食も控えるぜよ」
「後は運動でござるな」
「そして水分をいつも大量に摂るぜよ」
このことも忘れるなというのだ。
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