バレンタインに聞くと
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第五章
「それじゃあね」
「思いきりぶってやるな、それにな」
「それになのね」
「蝋燭に木馬にアイマスクもあるからな」
「思いきりやってくれるのね」
「気持ちよくさせてやるよ」
「素敵ね。じゃあ私が楽しませてもらった後は」
今度は女から言ってきた。
「私がね」
「ああ、やってくれよ」
「女王様になるわね」
「俺を存分にいたぶってくれ」
「縄で縛ってあげるわ」
女も理性を失った顔で言う。
「そうしてあげるわね」
「いいな、バレンタインには早いけれどチョコも食ったしな」
「チョコレートケーキね」
「勿論バレンタインにもだよな」
「用意してるから」
そのチョコレートをというのだ。
「楽しみにしておいてね」
「俺もホワイトデー凄いの渡すぜ」
「そうしてくれるのね」
「それで今からはな」
「ええ、一緒にね」
「ハードに楽しもうな」
「そうしましょう」
カップルはこうした話をしてだった、そのうえで。
ホテル街の方に姿を消した、その二人を見てからだった。まずは西田が言った。
「バレンタインだな」
「そうだな」
吉田もこう返した。
「完全なな」
「鞭だからな」
「外で堂々と言うのはあれだけれどな」
「バレンタインなのは間違いないな」
「そうだよな」
「本当にな」
「特殊な趣味だけれどな」
新島も言ってきた、三人共まだ肩を組んでいる。
「純粋なバレンタインだな」
「今と昔のそれが合わさったな」
「それになってるな」
「まさか今それがこの目で見られるとかな」
新島はこうも言った。
「何ていうかな」
「奇遇だな」
「けれどあれでな」
「あのカップルが楽しんでるならいいな」
それはそれとだ、三人で話してだった。
それぞれの家に帰った、そうしてバレンタインデーにそれぞれ妻や娘や檀家の人や親しい人達からチョコレートを貰ってそれで笑顔になりチョコレートの甘さとほろ苦さを楽しんだ。バレンタインの真実はともかくとして。
バレンタインに聞くと 完
2018・9・14
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