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バレンタインに聞くと

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第四章

「バレンタインデーも実は昔のローマの祭りだったんだよ」
「そうだったのか」
「ローマの祭りがはじまりか」
「何かキリスト教もそうした日多いって聞いていたけえどな」
「昔の宗教の祭りを祭日にした日が多いって」
「それでバレンタインデーもなんだよ」
 二月十四日もというのだ。
「実はな」
「ローマの祭日か」
「それだったんだな」
「女の人を鞭打って回って多産を願ったらしいな」
「SMか、マニアックだな」
「凄い祭りもあったな」
 二人はこのことには思わず目を顰めさせた、そのうえでの言葉だった。
「古代ローマは凄いな」
「色々そっち方面で凄い話あるみたいだがな」
「大体聖バレンタインが何時死んだか」
 このことをまた言う新島だった。
「二月十四日じゃないとかも言われているだろ」
「強引なこじつけなんだな」
「実は」
「それが現実なんだよ、チョコレート以前にな」
 二月十四日がキリスト教の特別な日になったそれもというのだ、新島は二人に話したのだった。幼馴染みで言うならば同業者である彼等に。
 三人はここから色々とお互いに色々と宗教の話をした、そしてその話が進むうちに何時しか外に出てだった。
 居酒屋で酒を飲みつつそれぞれの宗教について明るく話をした、酒はすぐに回って三人共店を出た時にはしこまた酔っていた。
 それで三人で肩を組んでいた、そうしつつお互いに言い合っていた。
「いや、宗教違ってもな」
「こうして仲良く出来るのは日本だからだな」
「そうだな、宗教が違ってもな」
「わし等もずっと付き合ってるしな」
「一緒に遊んで飲んできてるからな」
 そうした付き合いが出来ているというのだ。
「今度天理教の人も誘うか」
「ああ、山下さんな」
「あの人は二つ上だけれどな」
「昔からよくしてもらってるしな」
「今度飲みに誘おうな」
「何ならこっちから酒持ってお邪魔してな」
 夜の京都の街を歩きながらこんな話をしていた。
 そしてだ、繁華街からほど近いホテル街の方にだ。
 カップルが向かうのを見ていた、若い男女だが男の方が女の肩を抱きながら酔っていて如何にもスケベそうな顔で言ってきた。
「じゃあ今からな」
「ええ、ホテルに入ってね」
「あれしような」
「あれしてくれるのね」
「今から行くホテル鞭あるんだよ」
 男はこれ以上はないまでにだらしない顔で言った。
「だからな」
「その鞭でなのね」
「可愛がってやるよ」
「いいわね、私ぶたれるの好きなのよ」
 女の方も酔いがあって凄まじくいやらしい顔になっている、その顔で男に対して言っていた。理性は既にない感じだ。 
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