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ジェームス=ディーンに憧れて

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第二章

 ジェームス=ディーンのその映画を観た、そうして勿論観ているダグラスに言った。
「実際によかったぜ」
「いい映画だったよ」
「特に主演のな」
「ジェームス=ディーンがよかったな」
「そうだろ、あれがな」
 まさにとだ、ダグラスは友人達に喫茶店でコーヒーを飲みつつ話した。
「ジェームス=ディーンだよ」
「恰好いいな」
「別に戦う訳じゃないけれどな」
「青春の中の若者か?」
「反抗してるって感じでな」
「世の中とかに」
「その独特の反抗がな」
 まさにそれがとだ、ダグラスは喫茶店に流れる流行の音楽を聴きつつ話した。
「いいんだよ」
「今までにないな」
「戦争映画の恰好よさじゃないな」
「西部劇でもない」
「ちょっと違うな」
「そうだろ、そりゃ戦争映画も西部劇もいいさ」 
 アメリカを代表する二つのジャンルの映画もとだ、ダグラスは話した。
「どんな敵でも勇敢に向かってどんどんやっつける」
「ドイツ軍でも日本軍でもインディアンでもな」
「街のならず者でも牛泥棒でもな」
「何があっても勝つ」
「それが恰好いいけれどな」
「あの拗ねた感じで世の中とかに反抗していてな」
 そしてとだ、ダグラスは仲間達にこの時も熱い声で話した。
「若者の持っているな」
「そんな感じだな」
「社会に対する若者の反抗」
「そんなのだな」
「ロックだな」
 ダグラスはここでこの言葉を出した。
「つまりは」
「ああ、反抗だからか」
「ロックか」
「そうなるか」
「そうだよ、ロックだよ」
 まさにとだ、ダグラスは友人達に話した。
「これからはな」
「ロックか」
「ジェームス=ディーンみたいな」
「ああした感じか」
「本人は真面目で演技にストイックらしいけれどな」
 ダグラスはディーンのこのことを聞いていた、演技に対してこだわりがありかつ実は真面目な人間だとだ。
 しかしだ、ディーンのその恰好良さから言うのだった。
「それでもな」
「恰好よくか」
「ディーンの恰好良さを追い求めて」
「ロックでいくんだな」
「ああ、そうしていくな」
 彼は友人達に笑って話した、そうして理由なき反抗も観た。彼はこのままディーンがアメリカの若者達の象徴になると思っていた。
 だがその夢は破れた、ジャイアンツが上映されてすぐにだった。
 ダグラスはその話を聞いて愕然となった、ディーンが車を運転中突如前に出て来た対向車に正面からぶつかり事故死したのだ。
 このニュースを聞いてだ、彼はすぐに項垂れて言った。
「こうしたこともな」
「あるか」
「そう言うんだな」
「ああ、嫌なニュースだがな」
 職場の事務所のラジオで聴いた、丁度仕事から帰ったばかりだ。
「あるからな」
「人間何で死ぬかなんてな」
「わからないからな」
「戦争に行ってたらな」
 ここで社長が言ってきた、二次大戦の欧州戦線帰りだ。 
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