| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

嗚呼海軍婆ちゃん

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五章

「旭日旗を掲げることは日本人の権利、いや」
「義務?」
「そうだろ」
「あなたも案外そうした考えなのね」
「悪いか?」
「悪くないけれどらしくないから」
 その外見から見るとだ。
「そう思ったのよ」
「そうなんだな」
「ええ、それであなたはなのね」
「反対どころか賛成だぞ」
 妻にあっさりと答えた。
「というか他の国の国旗にいちゃもんつけるな」
「それはそうね」
「そうだろ?そもそもはじまりはな」
 この旭日旗反対運動のそれはというと。
「向こうのアホなサッカー選手が日本との試合の後で言いだしたんだろ」
「確かあれよね」
 稲穂もこの話は知っていて言った。
「その時に日本人を馬鹿にする仕草をして」
「それが抗議受けてな」
「それでよね」
「言い逃れで言いだしたんだよ」
「それであっちの人達も言いだして」
「そうした話だよ、馬鹿なはじまりだよ」
 周平は温厚で大人しい彼にしては怒って述べた。
「全くな」
「だからお義父さんお義母さんとなのね」
「ああ、耕平が言うのもな」 
 それもというのだ。
「いいことだろ」
「何か学校の先生が反対しそうだけれど」
「それはその先生が間違ってるんだよ」
 その場合はというのだ。
「その場合はな」
「そうなるのね」
「ああ、だから三人が怒って主張してもな」
「あなたは止めないのね」
「旭日旗を掲げるのなら掲げればいいさ」
 三人、特に耕平がそうしてもいいというのだ。
「俺は絶対に止めないからな」
「そうなのね」
「全く、何が戦犯旗だ」
 周平はむしろあちらの主張に怒っていた、そのうえでの言葉だった。
「ふざけるのもいい加減にしろ」
「確かにおかしな主張だしね」
「そうだろ、ハーケンクロイツだの何だのってな」
「その前からあってね」
「ナチスと当時の日本は違うんだ」
 周平はこうも言った。
「誇り高い帝国海軍、海自さんの旗だぞ」
「何かあなたもね」
 夫の怒った主張を聞いて妻もわかった、それで言うのだった。
「お義母さんの息子ね」
「そうだろ、僕だってな」
「お義母さんに教育を受けたから」
「それでなの」
「ああ、海軍は凄いって思って尊敬しててな」
 智美がそうである様にというのだ。
「こうしたことには怒るからな」
「そういうことね」
「そうだ、そしてな」
「耕平もお義母さんもなのね」
「親父もな」
 彼等もというのだ。
「あれでいいんだよ」
「そういうことね」
「ああ、僕もネットで主張するぞ」
 実は周平はブログをやっている、普段は日常を書いているがそこでというのだ。
「旭日旗反対運動に大反対だ」
「そうしてくのね」
「お袋や耕平みたいに街角でも言わないがな」
「旭日旗持って」
「旭日旗の画像ブログにアップしてな」
 そうしてというのだ。
「堂々と主張してやる」
「まあ私も変な話と思うし」
「反対しないな」
「何だかんでお義母さんって」
 一連の話、耕平に強力に海軍精神を叩き込んできている智美のことも思うのだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧