ENDLESS
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第一章
ENDLESS
まただと思った、私は心の中で溜息をついてから彼に言った。
「今日もなの?」
「駄目かな」
「前もそうだったでしょ」
こう彼に言った。
「前もこうしたことになったでしょ」
「好きだからね」
彼はトランプを出しつつ私に話した。
「それでだよ」
「今日も私の部屋でトランプをするのね」
「僕の部屋でもしてるじゃないか」
「だからどうしてそんなにトランプが好きなのかしら」
「何ていうかね」
出したトランプのカード、五十二枚のそれを切りつつ私に話した。
「小学生の時から好きで」
「とにかくそれで遊んでいて」
「うん、暇だとね」
それこそ手持ち無沙汰になるとすぐにだ、彼はいつもトランプを持っていて電車の中でも読む本がなかったりするとはじめる。
「こうしてね」
「やっているわね」
「好きだから」
「それで一旦はじめると」
「うん、もうね」
私が言うのはこのことだ、彼はとにかくトランプが好きで一旦はじめると遊び方をどんどん変えていってだ。
もうそれこそ何時までもやっていく、終わるのは彼も私も疲れ果ててお互いに寝ようと言った時にだ。
そんなのだからだ、私は彼に言った。
「また?ってなってるわ」
「トランプに飽きた?」
「飽きた以上よ」
「というと」
「他のはないのかしら」
「他のっていうけれどもうお酒もないし」
買い置きしていたのが丁度なくなった、ワインもブランデーも今全部飲んで買うには近所のコンビニに行くしかない。
「プレステも今はやるゲームがないし」
「それなら」
「そう、もう一つしかないじゃない」
「トランプね」
「だからはじめようと思ってるけれど」
「全く、トランプばかりして」
私は彼に呆れつつ言った、今度はそうした。
「何処まで好きなのよ、それは変わらないのね」
「変わらないだろうね」
カードを切るのを終えて遊ぶ用意をしつつ私に話した。
「実際に」
「やれやれね、それじゃあ」
「君が嫌なら一人で遊ぶし」
一人で出来るトランプのゲームをするというのだ、彼は一人の時はそうした遊び方をしてそれで時間を潰しているのだ。
「そうするからね」
「いいのね」
「そう、じゃあ今からね」
「今日もトランプね」
「寝るまでするよ」
こう言ってだ、彼はトランプをはじめた。私は飽きたとも思いつつも今日は付き合った。それは寝るまで続いて。
次の日はお酒を買ってそうして二人で飲んで寝た、その後はゲームを買ったし話題の本も買った。とかく彼が出すトランプは嫌でだ。
私はトランプ以外のことをしようと励んだ、けれど。
彼は他にすることがないと思うとすぐにトランプを出そうとする、それでまた彼に言った。
「また出すの、トランプ」
「うん、他にすることないだろうし寝るまでに時間がありそうだから」
それでというのだ。
「だからね」
「トランプを出して」
「そう、そうしてね」
そのうえでというのだ。
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