| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

歌集「冬寂月」

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

六十一




 静かなる

  空に零るゝ

   月影に

 君そ見えなむ

     冬そ近しき



 しんと静まり返る夜空…そこに零れたように月明かりが注ぐ…。

 今はもう…全ては遠く、あの夜空に掛かる月のように手は届かない…。

 月明かりの中、あの人が見えた気がした…だが、落ちる影は一つだけ…。


 あぁ…寂しい冬が、またやって来るのだな…。



 宵闇に

  うつすは虚し

   思い出の

 待ち人もなき

    寝待ち月かな



 黄昏時を過ぎても、未だ月は姿を現さない…。

 そんな宵の暗闇は、あれこれと…遠く過ぎ去りし日々を映し出す…。

 後悔ばかりしているような…そんな人生を振り返ったとして、何になろうか…。

 月はじきに、その姿を見せてくれはするだろうが…もう、あの人は現れないのだ…。


 慰めてくれる月は…未だ昇らず…。



 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧