FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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堕ちた二人
前書き
すみません・・・更新が非常に遅れました。
そして今回のお話・・・かなり短いです。
非常に申し訳ない気持ちでいっぱいってことにしておいてください。
尻流「しておいてくださいじゃねぇ!!」
冷温「反省しろ!!反省!!」
「なんだ?今の魔力は・・・」
突如周囲に巻き起こった魔力の風。それは被害を及ぼすほどではなかったが、何か嫌な予感をもたらすものだった。
「これまた面倒くさいことになってきたな」
風が吹いてきた方向を見つめているティオスは怪訝そうな顔をしていた。このタイミングでのこの風は、彼にとっては悪影響しか及ぼさないのである。
「黒魔導士が妖精の心臓を手に入れたか。シリル、悪いがこれ以上お前に構っている時間はなさそうだ」
この世界を消し去り新たな自分へと進み出そうとしているゼレフ。それももちろんありではある。だが、ティオスにしてみればそれでは意味がない。自らの行ってきた行動も、ましてや人々を平等の立ち位置にするという意味でも。
「俺の目的のためにここで死んでくれ、シリル」
「悪いがレオン、死ぬのはお前だ」
睨み合うかつての親友。だが、彼らはもうそんな風に相手を見ていない。己の最大の敵である両者に対し、情けをかけるようなことは一切しない。
「5分だな。5分だけナツが粘ってくれればいい」
そう呟いたかと思うと、ティオスは一瞬のうちにシリルの背後へと回る。
「水竜の盾!!」
振り上げた拳を振り下ろしたティオス。だがそれを、シリルは振り向くこともせず、背後に水の壁を一枚作り出しそれを防いだ。
「氷神の・・・」
「やらせない!!」
水の盾を破壊して続け様に攻撃を試みようとしたティオス。だったが、シリルがそれよりも早く技を繰り出した。
「水竜の翼撃!!」
クロスさせていた腕を広げて技を繰り出すシリル。広範囲に放たれたその技を、ティオスはアクロバティックな動きで難なく交わした。
「氷神の・・・怒号!!」
距離を取りながらティオスはもっとも自信のある技を繰り出した。かつて世界を支配した絶対の実力者たちをも遥かに凌ぐ威力を持ったその技を。
「水竜の・・・」
シリルもそれに負けじと対抗しようと頬を膨らませた。だが・・・
(速い!!)
魔力を溜め終わるよりも早く、ティオスのブレスは彼を直撃する。
ガガガガガガガガガ
地面を抉りかつての友を吹き飛ばしたティオス。彼は砂煙が立ち込めるその場所を、静かな目で見据えていた。
「これくらいで終わるわけではないのだろ?」
「当たり前だぁ!!」
砂煙の中から血だらけになっている少年が飛び出してきた。間違いなく大きなダメージを与えることはできていた。しかし、それが決定打になるとは微塵も思っていない。
「相変わらずしつこい。いや・・・天使の子故の防御力なのか?」
猪突猛進のシリルを最小限の動きでやり過ごす。シリルの全体重が前に進んでいる中、ティオスは彼の腕を掴み容易く投げ飛ばした。
「わぷっ」
激しく地面に叩き付けられた水の竜にティオスはエルボーを食らわせる。その瞬間に小さな彼の体から鈍い音が微かに聞こえた。
「ぐはっ・・・」
あまりの激痛に立ち上がることすらできなくなる。ティオスはそれを確かに感じ取ったのか、さらなる追撃を食らわせた。
「氷神の握撃!!」
先程は腹部へと攻撃だった。その分致命的なダメージを与えたとは言い難かった。しかし、今度の一撃は違う。ティオスは今度は彼の顔面目掛けてその拳を振り下ろした。
ゴンッ
鈍く、痛々しい音が周囲に響き渡った。地面にわずかに埋もれていた少年は、より深くまで沈んでおり、拳を上げるとそこには完全に白目を向いている水竜の姿があった。
「勝負あったようだな」
ライバルの重たい一撃により失神したシリル。それを見届けたティオスは、足早に妖精の尻尾へと向かったのであった。
その頃、先程までギルドにいたこの三人は・・・
「・・・ってぇ・・・何だ今の・・・」
「ギルドの方からだよ」
全魔力を解放したゼレフの波動を受けたことにより突っ伏していたグレイとハッピーが立ち上がりながらそう言う。
「ルーシィ、大丈夫か」
「うん・・・」
金髪の女性もようやく立ち上げる。その手に握られている一冊の本を大事に抱えながら。
「飛び出してきた文字は!?」
彼女の持っている本・・・それはENDの書だった。彼らはナツの命を握っているその本を持ち出し、彼を助ける方法を考えていたのだ。
「本の中に収まってるみたい」
「一体どうなってやがる」
三人はまずは本の中身をということでそれを開いたのだが、突如無数の文字が飛び出してきて困惑した。ちょうどそのタイミングで魔力の波動を受けたことにより倒れてしまったが、結果的には文字が本の中に戻ったと言える。
「超高度生体リンク魔法・・・たぶん、この本とナツは生体リンクで繋がってる」
「え?」
作家を目指しているルーシィは本のことには異常に詳しい。彼女はこの本を手に取り、文字が飛び出したことを見てその本の役割を感じ取った。
「もし・・・書き換えることができたら・・・」
「書き換えるって・・・あの量をか!?」
ルーシィの言葉に驚いたのはグレイ。しかし、彼の驚きはもっともである。
「1ページ開いただけであの情報量だぞ!!しかもあれでもまだ圧縮された量だ!!」
それを書き換えるのはあまりにも膨大な時間を擁することは目に見えている。しかし、その言葉を聞いていたルーシィは至って冷静だった。
「全部じゃなくていいと思うんだ。きっとどこかにナツを助ける為のページがある」
ルーシィはわずか1ページ開いただけでそんなことまでも読み取ってしまった。
「見つけなきゃ。それがきっとあたしたちにできること」
ゼレフを倒した後もナツを行き続けさせるためにルーシィたちが戦っている最中、肝心の彼は絶対の魔を手にいれた男と相対していた。
「初代、もうダメだ・・・消すしかねぇ」
魔力を吸い取られたことにより意識を失っているメイビス。抱き抱えていた彼女を床に寝かせながら、ナツは闘志を燃やしている。
「消す?この僕を?」
そのナツの言葉にゼレフは不敵な笑みを浮かべた。無理もない。それだけ強大な力を彼は手にいれてしまったのだから。
「他に誰がいるって言うんだよ!!」
全身が文字通り燃え滾っているナツは拳を握り締め突撃する。
「君にできないからこうするしかないんじゃないか」
向かってくる弟の姿。それを見つめるゼレフは冷静そのものだった。
「炎竜王の・・・」
ドラゴンフォースを解放したことにより自身の持てる最大限の力を生み出せる状態のナツ。それに対し、ゼレフは表情を変えることなくその姿を見つめている。
「崩拳!!」
ドゴォ
けたたましい爆音と共に粉微塵にされるゼレフ。すべての力を出し切ったナツは大きく空けられたギルドの穴を見つつ、息を切らしていた。
「すまねぇ、じっちゃん。またギルド壊しちまった。ゼレフもろともな」
存在ごと敵を蹴散らすことに成功したナツは満足げな表情を浮かべるナツ。しかし、その顔はすぐに絶望へと染まることになった。
フワッ
崩れ落ちた瓦礫が宙に浮かび上がっていく。それが次第に集まっていくのは、崩れ落ちたはずのギルドの扉だった。
「なっ!!」
崩れ落ちる前の状態に戻ったギルドの壁。そしてその前に現れたのは、倒されたはずのゼレフだった。
「元に・・・戻った・・・」
「これが妖精の心臓の力さ。時と空間は全て僕のもの。尽きることのない無限の魔力・・・ありとあらゆる"魔"の頂点と言ってもいい」
動揺しているナツに一歩、また一歩と歩み寄っていく。魔力を使いきり、動くことのできない弟を射程圏内に捉えると、迷うことなく兄はその拳を振りかざし・・・
「がっ」
弟の胴体を貫いた。
「最後に一つ、言い忘れていたね」
力を失い、地面にゆっくりと崩れ落ちていくナツ。ゼレフはその肉体から腕を引き抜くと、すれ違うように通りすぎていく。
「マカロフに謝る必要はないよ。もうこの世界はなくなるんだから」
ゼレフの最終的な目的・・・それを聞いていたナツはその野望を阻止することができなかった悔しさ・・・自身の力の無さに絶望し、涙を流していた。
「また次の世界で会えるといいね。
さよなら、ナツ」
白目を向き意識を失ったナツ。二人のドラゴンが地に落ちた妖精の尻尾。果たして彼らに逆転の目はあるのか。
後書き
いかがだったでしょうか。
なんか思ったより全然短い・・・
ストーリーが出てこなくなってきた・・・
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