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永遠の謎

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314部分:第二十一話 これが恐れその四


第二十一話 これが恐れその四

 そしてそのうえでだ。こんなことも話した。
「女性なのですから。ですから」
「女性だから?」
「それでなのですか」
「はい、従妹とも呼ぶべきなのでしょう」
 こんなことも話すのだった。
「正しくは」
「正しくはですか」
「あの方はですか」
「そうだというのですか」
「そうなのでしょう」
 皇后もだ。バイエルン王がわかっていた。だからこそだ。彼女は彼のことを考えてだ。今周りの女官達に対して話すのだった。
「そこに男性的なものはありません」
「そういえばそうですね」
「あの方の嗜好はどうも」
「女性的です」
「男性的なものはありません」
 こう話すのだった。女官達もだ。
「嗜好だけ見ればですが」
「そうなりますね」
「女性なのです」
 また言う皇后だった。
「あの方の心は」
「しかし御身体は男性です」
「それは紛れもない事実です」
「そのことは」
「それもまたどうにもならないことです」
 そのだ。王の身体が男性であることはだ。否定できないのだった。
 皇后はそのことを話してだ。その整った顔を曇らせた。
 そしてその曇った顔でだ。話すのであった。
「今回の結婚も」
「非常にまずいことになりますか」
「このままでは」
「やはりそうなりますか」
「無論幸せになることを願っています」
 皇后もだ。それはなのだった。
 それがどうしてなのかもだ。彼女は話すことができた。
「バイエルン王も。そしてゾフィーも」
「どちらの方もですね」
「幸せになるべきですね」
「やはりそう思われていますか」
「ゾフィーは我が妹」
 まずはだ。彼女についてから話した。
「妹が幸せにならないことを願わない姉はいません」
「肉親として。姉として」
「そうなのですか」
「そうです。ゾフィーは他の妹達と同じく」
 皇后には多くの妹がいる。四人だ。そしてゾフィーはその末妹なのだ。
 その末妹についてだ。彼女は話すのである。
「幸せになってもらいたいのです」
「そしてバイエルン王もですね」
「肉親としての愛情故に」
「それでなのですね」
「そうです。あの方は従弟です」
 ここでは従弟だと話す彼女だった。
「ですから。あの方もです」
「その為にもこの度の御成婚は幸せにならなければならない」
「従弟の方と妹君の御成婚ならばこそ」
「どうしてもですね」
「はい、そう願っています」
 また話すのだった。
「願ってはいるのですが」
「それでもですか」
「あの方の御心が女性故に」
「この度は」
「この言葉は許されないでしょうが」
 それでもだとだ。つい言ってしまうのだった。
 
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