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レーヴァティン

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第七十六話 ローマに行ってその九

「独特だな」
「あの世界のな」
「ただ。俺達がいる島はな」
「いる人の種族は人間だけだ」
「俺達の世界と同じだな」
「そうなるな」
「人種は違ってもな」
 東の島はアジア系、西の島はヨーロッパ系だ。これは見てすぐにわかることだ。
「それでもな」
「人間は人間だな」
「ああ、何か人種の違いってな」
「大したものじゃないな」
「全くだな」
 こう英雄に言うのだった。
「本当に」
「人種の違いを意識する奴もいる」
 英雄は何処か軽蔑を込めてそうした人物のことを語った。
「中にはそれを絶対と思う奴もいる」
「所謂人種主義者か」
「しかしだ、実はな」
「人種の違いなんてな」
「どうということのないものだ」
「肌や目の色の違いだけだな」
「そんなものだ、確かに能力差はあるが」
「知能とか運動神経とかな」
 知能指数の国別の統計を意識しつつだ、久志も述べた。
「あるにはあるな」
「そうだな、しかしだ」
「個人差でしかないな」
「それも努力で補える」
「その程度だよな」
「下らないものだ」
 実に素っ気なくだ、英雄はまた言った。
「人種の違いはな」
「同じ人間だとな」
「あちらの世界では人は人間だけじゃない」
「エルフとかドワーフとか大勢の種族が一緒に住んでるんだよな」
「ゴブリンやリザードマンもな」
「色々な創作世界だと敵だけれどな」
 そうした立場で出て来る、所謂邪悪な勢力の種族の一つとしてだ。
「けれどあっちの世界じゃ違うか」
「違ってな」
 そしてというのだ。
「同じ街や村で暮らしているな」
「そう思うとな」
「種族の違いもな」
「あちらの世界では大したことじゃないな」
「同じ文明の中で暮らしているんだからな」
「同じだ」
 能力に大した違いはない、そうだというのだ。
「あちらではな」
「そうみたいだな」
「出来れば俺もな」
「あちらの世界を救ってだな」
「人間以外の人の種族見たいな」
「そして話もしたいな」
「そう思ってるんだよ」
 こう英雄に話した。
「俺としてもな」
「俺もだ、ではな」
「お互いにな」
「島を統一してな」
 そしてというのだった。
「海の魔神を倒してだ」
「その世界を見ような」
「是非共な。それでだが」
「ああ、御前の冒険の話を聞かせてくれるか」
 久志は英雄に笑って頼んだ。
「俺も話したからな」
「勿論そのつもりだ」
「さっきから話している通りだな」
「そうだ、しかしな」
「しかし?」
「その前に行きたいところがある」
「何処だよ、それって」
 久志は英雄の今の申し出に怪訝な顔で問うた。 
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