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戦国異伝供書

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第十六話 天下の大戦その五

「せぬ」
「では、ですな」
「都から退いて頂き」
「そのうえで」
「出家でもしてもらってじゃ」
 そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「大人しくして頂く」
「これよりは」
「そうして頂きますか」
「そうした寺に入ってもらってじゃ」
 そのうえでというのだ。
「見張りも付けてじゃ」
「そしてそのうえで」
「もうですな」
「おかしなことはですな」
「されぬ様にする」
 織田家としてもというのだ。
「もうこれでよいわ」
「そして兄上」
 ここで都を守っている信行が言ってきた、この度の挙兵でもすぐに手を尽くしてそれで義昭の挙兵が大きくなることを防いだ。
「幕府はこれで、です」
「終わったな」
「はい、ですが」
「これからのことじゃな」
「今はこのままでよいわ」
 幕府のことはというのだ。
「とりあえずはじゃ」
「本願寺と諸大名の戦で」
「そしてじゃ」
 それからというのだ。
「天下布武の政を定めてな」
「それからですか」
「数年はこのままでよかろう」
「とりあえずは」
「うむ、そしてじゃ」
「天下の政が整ってからな」
「幕府のこともですか」
「考えよう」
「ではその時は」
「それはその時のことじゃ」
 信長は今は多くを語らなかった、あえてそうした。
「よいな」
「さすれば」
「しかし幕府の場所は大事じゃ」
「都に置くことは」
「やはりよくない様じゃ」
 室町幕府の様にというのだ。
「朝廷、そして公卿の方々や寺社の影響をよく受ける」
「だからですか」
「他の場所に置きたい」
 次の幕府はというのだ。
「そうしたい」
「そうされますか」
「うむ、そしてじゃ」
 そのうえでというのだ。
「ここはな」
「これよりですな」
「都は収めた」
 義昭の挙兵、それはというのだ。
「次は本願寺じゃ」
「わかり申した、では」
「お主はこれまで通りな」
「後ろをですな」
「爺と共に頼むぞ」
「お任せを」
 強い声でだ、信行は兄に応えた。
「この度の戦も」
「それではな、ではな」
「はい、本願寺ですが」
 佐久間が述べてきた。
「石山に籠りさらに」
「その守りをじゃな」
「固めそして」
「武器や兵糧をか」
「毛利家から入れるつもりの様です」
「ならば一つじゃ」 
 織田家の執るべきことはというのだ。 
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