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赤ワインとレアステーキ

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第三章

「人間なのかも知れないわね」
「どういうことなのです?」
「人間は色々な面がある」 
 ここでこう言うのだった。
「そういうことね」
「よく言われる言葉ですね」
「そうね、そしてね」
 そのことはというのだ。
「貴女もね」
「僕もですね」
「誰だってそうということね」
 ここでだ、客も内心でようやくだった。
 自分でこのことを受け入れることが出来た、それで言うのだった。
「わかったわ」
「わかったのです?」
「ええ、よくね」
 こう言うのだった。
「私も」
「そうなのです」
「ええ、ではね」
 それならと言ってだ、客も。
 ステーキを食べてワインを飲んで言った。
「確かに美味しいしね」
「いいステーキハウスなのです」
「元気が出そうね」
「はい、食べものの中でもなのです」
 まさにと言う茜だった。
「ステーキは最高になのです」
「元気が出るものね」
「赤いものは情熱なのです」
「血の滴るステーキは」
「そうなのです、そしてお酒ではなのです」
「ワインね」
「それも赤なのです」
 このワインだというのだ。
「それが一番なのです」
「一番元気が出るから」
「だからなのです」
 それ故にというのだ。
「元気に食べてなのです」
「そうしてっていうのね」
「お仕事も頑張れるのです」
「そうよね、じゃあ私も食べて」
 そして飲んでというのだ。
「そのうえでね」
「お仕事頑張るのですね」
「私のお仕事をね」
「では」
「ええ、今日は最後まで食べましょう」
 楽しんでとだ、こう言ってだった。
 客は茜が気持ちよくステーキを食べてワインを飲むのを見守った、デザートは赤い苺やすぐりを使ったケーキだったが茜はそのケーキも楽しんで食べた。そうして次の日も頑張って働くのであった。客はそんな彼女を見てついつい笑顔になった。


赤ワインとレアステーキ   完


                     2018・10・24 
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