赤ワインとレアステーキ
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第二章
「ですから」
「かなり飲むのかしら」
「僕自身でもそう思うのです」
「そう、茜ちゃんお酒好きなのね」
「ワインと赤いカクテルが」
その二つがというのだ。
「好きです」
「そうなのね」
「じゃあ今からですね」
「ステーキ、ティーボーンのコースを注文して」
そしてというのだった。
「ワインはボトルでね」
「注文してくれるんですね」
「ええ、では今からね」
「はい、食べて飲んで」
「楽しみましょう」
客の内心の戸惑いは止まらなかった、茜の可愛らしい外見と性格からまだイメージ出来なくてそれでだった。
戸惑い続けていたがそこにだった。
サラダが来てスープが来た。そしてオードブルが来て。
ステーキだった、茜はそのステーキを見ていよいよ言った。
「ではなのです」
「このステーキをね」
「一緒に食べるのです」
「わかったわ、それじゃあね」
客も頷いた、そうして。
二人でステーキを食べたが美味かった、しかもボリュームがあり食べごたえがあった。客も食べたが茜もだった。
ステーキを満面の笑顔で食べる、レアの血の滴るそれを。そうして赤ワインも飲んでそれで言うのだった。
「美味しいのです」
「本当に好きみたいね」
「はいなのです」
その通りという返事だった。
「僕本当になのです」
「ステーキ好きなのね」
「焼き肉も好きなのです」
こちらもというのだ。
「そしてそちらもなのです」
「レアかしら」
「生肉も好きなのです」
「そうなの。生肉もなのね」
「はいなのです」
こう答えるのだった。
「大好きなのです」
「意外とワイルドね。それに」
赤ワイン、血に見えるそれをごくごくと飲む茜を見てまた言った。
「飲むわね」
「赤ワインも大好きなのです」
「だからなのね」
「ボトル一本はなのです」
それ位はというのだ。
「空けられるのです」
「二本はどうかしら」
「いけるのです」
それだけ飲めるというのだ。
「やっぱり大好きなのです」
「そうなのね、いや」
「いや?どうしたのです?」
「それも茜ちゃんなのね」
客は自分も飲んで食べつつ述べた。
「そうなのね」
「僕なのですか」
「そう思ったわ」
血の滴るステーキと赤ワインを楽しむ彼女もというのだ。
「そうね」
「そうなのです」
「けれどそれがね」
内心の戸惑いを何とか受け入れようと思いつつの言葉だった。
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