| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

逃げ切った先

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

第三章

「御前は強い、獣も狩れるし戦でも強そうだ」
「だからなのね」
「御前にはいて欲しい、弟さんも強いな」
「ええ、私がずっと護ってきたけれど」
 それでもとだ、カレラは弟のことも話した。
「あの子も戦えるわ」
「そうだな、戦士が欲しい」
「それでなの」
「御前達さえよかったら」
 それでというのだ。
「来てくれ」
「考えさせて。ただ」
 ここでだ、カレラはこうも思って言った。
「もうここには追手も来ないし安住出来そうね」
「だからか」
「ええ、ここで住むことも」
 それもというのだ。
「悪くないわね、じゃあ」
「ここで暮らすか」
「弟と相談させてもらうわ」
 カレラは宴の中で弟と話した、弟もそれならと頷いた。
 そうしてだ、二人でだった。
 この村で過ごすことにした、それを男に伝えてだった。
 カレラは弟と共に村で暮らすことにした、ジャングルの中まで追手が来ることはなかった。そもそも二人の所在すら掴んでいるかどうかだった。 
 それでだ、カレラは村の中で弟に言った。
「もうここでね」
「ずっとだね」
「ええ、あの国の誰にも知られずに」
「そうしてだね」
「生きていきましょう」 
 こう言うのだった。
「そうしていきましょう」
「そうだね、それがいいよね」
 弟も姉に答えた。
「逃げていくだけより」
「そうね、ここは誰にも知られていないから」
「いてもね」
「いいわ。じゃあ」
「これからはね」
「ここで二人で暮らしましょう」
 こう話してだった、二人は完全に決意した。
 そのうえでこの村で二人でずっと暮らしていった、未開だが他の誰にも知られていない村は二人の安住の地となった。ようやく辿り着いたそうした場所だった。


逃げ切った先   完


                 2018・10・23 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧