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繰リ返ス世界デ最高ノ結末ヲ

作者:エギナ
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08.イベントに盛り上がる者達の観察日記(?)
HAPPY HALLOWEEN!!
  琴葉と涼花のDEADレース! ①

 
前書き
皆様、HAPPY HALLOWEEN!!
長く書き溜めていたハロウィンの小説を一気に出します。
更新が止まっていたのも其れが原因です、すいません。

世界としては、
「06.そうだ、刑務所へ逝こう。」の一度目の最終回が終わり、聖月達がフランに召喚され、琴葉とフランの喧嘩が無く、二人の仲が良いまま柳瀬一家に会い、涼花に嫉妬する事無く、逆に仲良くなった状態です。簡単に言うと、一度目の最終回以降の事件が一つも無い状態です。でも、キュラルとグレースは居ますが。

今回はそんな感じの世界なので、よろしくお願いします。
06の世界から分岐した世界のハロウィンを、どうぞ!!

ここからはキュラル視点で、プロローグです。
あ、本編は琴葉視点でスタートです!


  ◇◆◇◆◇


 さて、今日は待ちに待ったハロウィン前日ですね。
 これで、漸く溜まったストレスを思いっ切り首領にぶつけられるかもしれません。

「と言う訳で、グレース。悪戯を仕掛けましょう」

 黑猫の拠点の地下室で、こっそりとグレースに言います。首領は一応もう帰宅したそうですが、彼の神出鬼没な人を止められる人は居ませんから。何処かで聞かれているかも知れませんしね。

「おー。そのために協力者まで頼んだんだからね」

 そうなんですよ。流石に二人ではキツいかと思って、協力者を雇ったんです。
 あ、でも協力者は未だ言いませんから。
 かなり明日が楽しみです。

「では、準備しましょうか」
「……の前に、一つ良い?」
「何でしょう?」

 僕が首を傾げると、グレースは冷たい視線を向けてくるんです。
 酷いですね。何故でしょう。

「さっきから誰に向けて話してんの?」
「あ、声に出てました? あれです、画面の向こう側に居る人です」
「誰それ」
「僕が知ってると思います?」
「思う」
「冗談は要りませんよ」
 

 
 朝だ。
 カーテンをバサッとやって、バッッサッとやる。意味が分からない? 嗚呼、カーテンをバサッと開けて、バッッサッと閉じたんだよ。何故かって? そりゃ……

「窓に巨大蜘蛛が貼り付いてたら、誰だって見なかったことにするだろ」

 と言う訳で、時計を見ると六時一寸前。このままだと、朝御飯の後、此のマンションの住民全員に「とりっくおあとりーと」って言って回れる。

 そう、「とりっくおあとりーと」と。

「今日はHalloweenなのである! あはははは」

 ―――吸血鬼のコスプレの準備はバッチリです。

「取り敢えず、拠点に着いたらアレだな。先ずいつメンを脅そう」

 そう、脅す。御菓子をくれなきゃ悪戯するぞ、と。
 私の悪戯は並大抵のものではない。もっと、最高に楽しんで、楽しんで楽しんで、楽しんでから、一気に終わりまで持って行く。終わる前につまらなくなったらつまらないからな。

「次は幹部だな。で白猫幹部、フランさん、私の下僕達(ラルとグレース)……あ、今日柳瀬さん来る日じゃん。あ、そう言えば聖月ちゃんとかも居るな。ノアさんも居る日だっけ。よし、そこも脅してやるぞへへへ」

 言っておくが、私は金欠では無い。
 給料日前に、実験で使った御菓子の余りを徴収するような、金欠な生物では無い。
 寧ろ、金なら沢山ある方だ。収入があっても、支出が少ないからな。

 ただ、人から貰った御菓子は美味しいと言うだけだ。

 ―――まぁ、取り敢えず拠点に行かなきゃ話は始まらない。

「……よし行くか。御菓子を貰」

 ―――ぴんぽーん。

 非常に嫌な予感がする。部屋のチャイムが鳴った。
 真逆、真逆……!!

「おはよう、おねえさん! "とりっくおあとりーと"!!」

 あらあら、下の階のお子さんじゃ無いですかやだぁ。
 前までは人間の敵だった私に、御菓子を貰いに来る何てぇ!


 …………………………最近の子供、本当にやばい。


「…………………はい。お姉さんの手作りクッキーあげる」
「わあい! ありがと、おねえさん!!」


 ―――こうなると思ってクッキー焼いといて良かった。


  ◇◆◇◆◇


 結局、クッキーは焼いた分を全て配りきってしまった。
 朝から子供達に散々な目に遭わされたからな。仕返しはたっぷりとしなきゃだな。

 てか、何故高校生っぽいのまでウチに来たんだろ。不思議すぎるんだけど。

「……だぁッしゃぁぁああ!! やるでえええええ!!」
「朝からうるせえな。"Trick yet Treat"」

 拠点に来た途端此れだ。
 気合いを入れ直していたところに吸血鬼の仮装をした涙が来て、即行御菓子を要求…………

「おい、今なんて言った?」

 少し可笑しかった気がしたのだが?

「"Trick yet Treat"」
「おいそれ"御菓子はいいから悪戯させろ"ってヤツじゃん!」

 どんだけストレス溜まってんだよ。如何為て私が関係ないとこで溜めたストレスを私で発散するんだよ!

「ストレス原因お前だわ」
「あ、声に出てた?」
「ばっちりとな」


 ―――此の後、執務室の机の上に涙の仕事が乗っかっていた。


  ◇◆◇◆◇


「あ、琴葉さん。お早う御座います」
「あ、おはよう!」

 ▽元気な七星姉弟が話し掛けてきた!

「嗚呼、おはよう……」

 執務室を片付けて、其処を出ると、可愛らしいお化けの仮装をした七星姉弟が居た。

 もう、マジ彼奴なんなん?
 苛ついて書類の山崩したら、"此れ全部順番だから、気を付けてね"ってメモが出て来て、端に書いてある番号を頼りに全部並べ直す羽目になったんだけど?

 涙とかマジ許さん。

「ねぇねぇ琴葉! "トリックオアトリート"!」

 輝、お前…………
 普通に可愛いんだけど?

 私のハロウィーン対策御菓子第二弾、チョコレートを輝と宙にそれぞれ二個ずつあげると、満足為たのか、輝は宙を連れて去って行った。


 ―――おい、私は何時仕掛けられるんだよ。


  ◇◆◇◆◇


「……お早う御座います! 琴葉さんっ!!」
「はよ…………」

 もう誰かが来るのを待つためにする執務室に戻ると、暫くして木乃伊男の仮装をしたレンが入ってくる。
 ………もう疲れた。早く言って終わりに……

「ええと、"とりっくおあとりーと"! 御菓子くれなきゃ悪戯しますよ……?」

 ―――早いて。

 私はまた二つのチョコレートを犠牲にしてしまった。くそ、年に一回の行事となると調子が狂う。
 普段だったら誰かが来た途端に、一秒もかからずに「ト」と言い始めるのだが………

 …………ハッ!! わわわ私はマゾじゃ無いからな!?
 御菓子を貰って貰いたいとかじゃないからな、御菓子が欲しいんだからな!!?

「あ、おはよ! コト!!」

 レンが喜んでいる後ろからリサとユリ。次は負けな…………

「コト、"とりっくおあとりーと"!」
「"とりっくおあとりーと"!」

 私ね、年下には優しくする人なの。大人げないヤツじゃ無いの。

「………ほい」

 私は四個のチョコを犠牲にし、悪戯を回避した大人です。


 ―――大人です。

 
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