転生とらぶる
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機動戦士ガンダム
2201話
俺の視線の先に広がっているのは、予想以上に大勢の人間だった。
それこそ、数万人規模には達しているんじゃないだろうが。
この全てが、シェリルのライブを見に来た観客達だとすれば……ライブについての宣伝CMとかは、大成功したといった感じだろう。
「正直なところ、こんなに来るとは思わなかったな」
「ハワイに住んでる人だけではなく、クレイドルに向かうHLV待ちの人も結構いるみたいだな」
そう告げたのは、スレイだ。
地球に降りてみたいという要望があり、それ以外にも今回のライブで何か問題が起きた時に対応出来る人材を……と考えていたところで、白羽の矢が立ったのがスレイだった。
とはいえ、スレイの能力を考えればそんなにおかしな話という訳でもない。
生身での戦いもエヴァによって十分に鍛えられているし、もしテロを起こそうとする奴がMSとかを用意しても……シャドウに乗ったスレイを、どうにか出来るとは到底思えない。
いやまぁ、地上用に改修されたJ型だろうと、それこそズゴックを持ってこようと、シャドウが1機いればそれで大抵は片付く。
ましてや、バッタやメギロート、量産型Wのシャドウといった具合に戦力が揃っている以上、テロをしようと考えても、絶対に不可能だと言ってもいい。
……そもそも、コバッタとかがいる時点で、テロとかの準備をするのも難しいという点があるのだが。
ちなみに、ハワイがルナ・ジオンの占領地となった以上、当然ながらハワイでもコバッタは運用されている。
何度かコバッタを盗もうと考えた奴もいたのだが……そういう連中は、即座に捕まって裏を調べた後でクレイドルの農場送りとなっている。
ともあれ、そんな訳で実際にテロが起こる可能性は少ないが……それでも、絶対とはとてもではないが言えない。
だからこそ、こうしてスレイを呼んだ訳だ。
「HLVか。……結構忙しく動いてるけど、それでもまだ足りないとなると……いっそ、増設するか?」
「止めておいた方がいいのではないか?」
俺の言葉に、スレイは即座にそう言ってくる。
俺を見る目に若干の呆れがあるのは……恐らく、俺の気のせいという訳ではないのだろう。
「何でだ? 宇宙に上がる施設は、多ければ多い程いいだろ?」
「……そうだな。普通ならそうだ。だが、アクセルは忘れていないか? このUC世界において、人口の9割は既に宇宙に出ている。つまり、地球に残っているのはたった1割でしかない。今はまだクレイドルやルナ・ジオン、シャドウミラーといった事が珍しいから地球から月に向かおうとしている者も多いだろうが、この騒動が一段落すれば、ハワイの打ち上げ施設を利用する者も少なくなる筈だぞ?」
「それは……まぁ、言われてみれば。ただ、ハワイをルナ・ジオンが使っている以上、ここに物資を降下させる必要もあるから、それを考えると打ち上げ施設は大きくても問題はないと思うんだが」
HLVの打ち上げ施設というのは、同時に宇宙から降下してくるHLVが着陸する場所でもある。
そうである以上、当然の話だが打ち上げ施設のある場所が広ければ、それだけ多くのHLVを降下させられる。
……シャドウミラーがシステムXNを公表して自由に使えるようになれば、HLVとかそういうので補充物資の類を降下させる必要もないのだが。
「ふむ、そういう意味でなら、ある程度あってもいいのか?」
どこか微妙な表情で呟くスレイ。
「まぁ、その辺については、後でルナ・ジオンの面々とも色々と相談をする必要もあるだろうな。ともあれ、今はこのライブを成功させる事だけを考えていればいい」
「うむ。シェリルも楽しみにしていたし、兄様も頑張っていたからな」
俺の言葉に、満足そうに呟くスレイ。
俺の恋人でシェリルとも文字通り深い付き合いをしており、フィリオの妹でもある。
今回の一件でスレイに白羽の矢が立ったのは、その辺りの理由もあったりするんだよな。
「シェリルもフィリオも張り切っていたからな。このライブは絶対に成功させたい」
それは、俺にとっても正直な気持ちだった。
今回のライブは、ルナ・ジオンとしてもかなり力を入れている。
具体的にどのくらい力を入れているかと言えば、月にいたルナ・ジオン軍の中から何人か精鋭を寄越すくらいには。
それに加えて、ハワイでアプサラス計画を進めているギニアスから、MSパイロットとしても腕を上げているアイナ、そのアイナと良い雰囲気のガトー、そしてガトーに目を光らせるノリスといった面々もこっちに回される事になっていた。
正直なところ、大勢が集まって特別なイベントを行う今だからこそ、アプサラス計画をやっている場所の防衛を厳しくした方がいいという意見もあったんだが……ぶっちゃけ、まだアプサラス計画は最初も最初といった感じなので、実際には重要な機密の類は研究所にも殆どない。
勿論、技術者達という重要な人材はいるが、その辺りの護衛はバッタやコバッタ、量産型W辺りに任せておけばいい。
その辺の普通の護衛よりは、よっぽど成果を出してくれるのは間違いないのだから。
「そうだな。……成功させよう」
スレイも俺の言葉に素直にそう答え……不意にお互いの顔を見つめていた事に気がつき、どちらからともなく笑みを浮かべる。
数分程が経ち、それでようやく笑いの発作が収まると、俺はスレイに手を伸ばす。
「じゃあ、行くか。今日のライブを成功させて、そして俺達も楽しむ為に」
フィリオとシェリル……それにハワイにいたそういう関係の技術を持っている者達と話をし、どのような舞台にするのかを決めたのだ。
ライブを成功させるというのもそうだが、同時にそれを見たいと思ってしまうのも当然だろう。
スレイは俺の手を取り、満面の笑みを浮かべる。
それは、スレイのいつもの強気な笑みではなく、本当に心の底からの嬉しそうな笑み。
俺とスレイは手を繋いだまま、その場から立ち去るのだった。
『私の歌を聴けぇっ!』
ステージの上にいるシェリルが、マイクに向かってそう叫ぶと、鞭を振り下ろす。
パシィンッ、という鞭の音が周囲に響くが、当然のようにこれは本当の鞭の音ではなく、効果音だろう。
この辺りの芸も細かいのは、さすがフィリオといったところか。
客席では、大勢の観客達がシェリルの歌に聴き入っている。
フィリオが前もって準備してあった通りに、何色ものライトがシェリルに当たって、蠱惑的で、そして魅惑的な印象を抱かせる。
そんな中でシェリルの歌声が響くのだから、観客達が一気に引き込まれるのは当然だろう。
だが、パフォーマンスはまだ続く。
俺の視線の先では、シェリルが床を蹴って跳躍し、そのまま空中を蹴りながらステージの中を自由自在に走り回る。
……虚空瞬動って、基本的には戦いに使われる技なんだが……まさか、それをライブに使うとはちょっと思わなかった。
当然のように観客達も、ステージ上だけではなく周囲の空間を自由に走りながら歌っているシェリルに、歓声を上げる。
もっとも、多くの者がこのシェリルの行動には何らかの種があると思っており、まさか魔力や気を使って空中を蹴る虚空瞬動という技を使っているとは思いもよらないだろう。
そうして空中を走り回ったシェリルは、ステージのすぐ外にある海に真っ直ぐに落ちていき……それを見た観客達の中には悲鳴を上げる者もいたが、次の瞬間にはタイミング良く海中から姿を現したズゴックの頭部に、シェリルは着地する。
あのズゴックに乗ってるのって、多分……まぁ、かなりズゴックを気に入っていたみたいだし、その辺は特に気にしなくてもいいか。
そして、ズゴックの周囲にはグーンやゾノ、キャンサーやパイシーズといった水中用MSがそれぞれ姿を現す。
それも、適当に姿を現したのではなく、きちんと等間隔に並んで水中から姿を現したのを見れば、これもライブの演出の一端であると、そう観客も理解するだろう。
同時に、これはルナ・ジオンがハワイにどれだけの水中用MSを用意してあるのかというのを示してこのライブに来ている観客達を安心させると同時に、ルナ・ジオンに対して敵対的な思いを抱いている者に対しての示威行為という一面もある。
少なくても、この一件によってルナ・ジオンに対して余計な真似をしようなどとは簡単には思わなくなった筈だ。
……寧ろ、逆に意地になってテロ行為を行ったり……といった真似をする奴がいる可能性もあるので、完全に安心出来る訳でもないのだが。
そんな風に思っている俺の視線の先で、シェリルの歌はまたまだ続く。
「凄いな」
俺の横に立っているスレイが、空中を自由自在に飛び回っている……いや、虚空瞬動だし、走り回っているという表現の方が正しいのか?
ともあれ、そんな感じでシェリルは様々な場所に姿を現しては、歌い続ける。
シェリルは以前マクロス世界で銀河の妖精と呼ばれていたが、今のシェリルは……言ってみれば、銀河の精霊とでも呼ぶべき存在だろう。
「ああ。素直に凄い」
スレイの言葉に短く返しながらも、俺の視線はステージを……いや、ステージ以外の場所をも飛び回るシェリルを追う。
そんな光景は、今の俺にとっては間違いなく素晴らしい光景だと、そう断言してもいい。
実際、先程小さく凄いと呟いたスレイも、俺の隣でそんなシェリルの光景に目を奪われているのだから。
シェリルは以前から実力のある歌手ではあった。
だが……それでも、ここまでの実力はなかった筈だ。
ここまで急激に歌の実力を伸ばした理由は、やはりシャドウミラーの生活も関わっているのだろう。
そもそもの話、歌手というのは思っている以上に体力勝負となる。
それは、こうしてステージ中を走り回っているシェリルを見れば、明らかだろう。
シェリルもそれを知っているからこそ、より激しく運動してもいいように、エヴァとの訓練を受けているという一面もある。
この辺り、シェリルの真面目さをよく表していると言ってもいい。
歌という一点に関しては、シェリルはストイックなまでにのめり込んでいる。
だからこそ、これだけのステージを作る事が出来るのだろう。
ともあれ、そんな風にライブに意識を集中していた俺だったが……不意に、通信機が着信の音を鳴らして、俺の意識を現実に戻す。
「何の要件だ?」
通信機のスイッチを入れ、そう告げた時に俺の機嫌が悪かったのは、ある意味当然の事だろう。
折角ライブに集中していたというのに、不躾に我に返らされたのだから。
『は……は! 実はその、今回のライブに便乗して爆弾テロを行おうとしていた者を数名、逮捕しました。それで、その……どうしたらいいのかと』
ルナ・ジオンの兵士……もしくは警察か? そんな感じの男が、俺の声に若干怯えながらもそう尋ねてくる。
あー……ちょっと機嫌が悪すぎた声だったな。
別に通信を送ってきた相手が悪い訳ではない。
いや、寧ろ自分の仕事をきちんとこなしているという点では、褒めてもいいくらいだ。
そうである以上、こちらとしても態度を改める必要がある。
「悪いな。ちょっとタイミングが悪かったんだ。それで? 爆弾テロ? よくもまぁ……」
俺の声が聞こえたのか、スレイがこちらに視線を向けてくる。
だが、俺はスレイにシェリルのライブに集中していてもいいと態度で示し、その場から離れる。
スレイは若干心配そうにこっちに視線を向けていたが、俺が大丈夫だと頷きを返すと、再びシェリルのライブに集中し始めた。
「それで? 具体的な被害とかはあったのか?」
スレイから少し離れた場所に移動し、俺に通信を送ってきた相手に尋ねる。
そんな俺の言葉に、向こうは恐縮したように口を開く。
『いえ、幸い爆弾を仕掛ける前に確保出来たので、被害はありません』
「そうか。……よくやった」
言わば、未然に防いだということなのだろう。
それに感謝の言葉を口にすると、映像モニタに映っている男は恐縮するように頭を下げてくる。
「それで、捕らえた奴に仲間はいないのか?」
『わかりません。一応本人は自分だけで考えてやったと言ってますが、それが事実なのかどうかも……このような真似をする相手である以上、もしかしたら自分が囮になって仲間を庇っている可能性もありますし』
「だろうな」
この手の連中は、自分達が少数派であると知っているからこそ、強固な絆を築いている。
もっとも、それだけに一度その絆に切れ目を入れれば、あっという間に空中分解したりするようになるのだが。
「取りあえず、尋問を続けてくれ。こっちはコバッタと量産型Wに、警戒を厳しくさせる」
『はい、分かりました。……よろしくお願いします』
その後、これからの事を色々と相談して、通信が切れる。
……折角のシェリルのライブ、邪魔をするような奴には容赦しなくてもいいよな。
そう判断し、俺は馬鹿な事を考える連中にお仕置きをする為に、行動を起こすのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1435
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