レーヴァティン
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第七十五話 霧の都その二
「やっぱりね」
「東の島でもか」
「船旅しているんじゃないかな」
「そうなんだな」
「まあ確かに僕達船旅結構しているね」
「南に下る時も船でな」
川を船で下った時のこともだ、久志は話した。
「セビーリャまでも船でな」
「これからもだからね」
「船多いな」
「そうだよね」
「ああ、本当にな」
「何ていうかね」
また言った剛だった。
「便利だからね、船での移動は」
「ずっと進めるからな」
「そうそう、寝ても覚めてもね」
船は常に進む、それでだ。
「だからね」
「陸地で馬とか徒歩で行くよりも早いな」
「そう移動出来るから。あと」
「ああ、船だと運べるものも多いしな」
「いいんだよ、それで僕達もね」
「船旅も多いか」
「特に今回は」
これからの船旅はというと。
「あれだよ、船でないと行けないから」
「それで余計にな」
「船頼りになるんだよ、それじゃあ」
「ああ、その船に乗ってな」
「ロンドンまで行こうね」
「それじゃあな、じゃあ霧も幽霊も見るか」
ここでもこの二つを言う久志だった。
「そうするか」
「ロンドンだからだね」
「ああ、それも見るか」
「それで食べるものは何かな」
「俺達の世界みたいにまずかったら遠慮するな」
自分達の起きた世界のロンドンの様にというのだ、もっと言えばロンドンというかイギリスの料理自体がそう言われている。
「紅茶だけ貰うぜ」
「それだけなんだ」
「それとティーセットな」
「ううん、食べものには期待していないのがわかるよ」
「ロンドンっていうとな」
どうしてもとだ、久志は剛に再び答えた。
「やっぱりな」
「食べものはよくない」
「その話があるからな」
「実際にロンドンの食べもの最悪だったよ」
淳二がここで言ってきた。
「もう火加減も味付けもね」
「どっちもか」
「酷いから」
「それでまずいんだな」
「フィッシュアンドチップスもローストビーフも」
こうしたものもというのだ。
「その味付けたるや」
「酷いか」
「日本だったらお店出来ないレベルだよ」
そこまで酷いというのだ。
「腕があんまりで。家庭料理もどうも」
「噂通りか」
「おいらホームステイでいたんだけれど」
「そこの料理もか」
「栄養補給だけだね」
それに過ぎないというのだ。
「ティーセット以外は」
「本当にまずかったか、あそこの料理は」
「もう何もかもが駄目で」
料理のそれがだ。
「イギリス行ったらそこは覚悟してね」
「世界帝国にもなったのに料理は駄目なんだな」
「元々土地悪いからね」
イギリスの料理を語るうえでの弱点だ、土地の質が悪くいい農作物が採れないのだ。
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