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永遠の謎

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248部分:第十七話 熱心に祈るあの男その十二


第十七話 熱心に祈るあの男その十二

「回る。そしてだ」
「そして?」
「ドイツに生かそう」
「宮殿を見たことをですか」
「そうする。それでだ」
 ここまで話してまた言う王であった。
「騎士に教えてもらった世界をドイツに再現しよう」
「お話を聞きますと」
 ホルニヒは王の話を聞いてだ。考えてからだ。こう述べたのであった。
「その騎士殿は芸術家だったのでしょうか」
「そうだな。芸術家だな」
 そう言われるとだ。まさにその通りだというのだ。
「素晴らしい騎士だった」
「左様ですか」
「私の運命を教えてくれた」
 そこまでの人物だと話すのである。
「ならばだ。私はだ」
「その騎士殿のお言葉に従われるのですね」
「そうする。それではだ」
 こんな話をしてからだった。王はだ。
 あらためてだ。ホルニヒに話した。
「さて、そなたもだ」
「神に祈りを捧げても宜しいでしょうか」
「そうしなければならない」 
 信徒としてだ。そうしなければならないというのである。
「そなたもな」
「はい、それでは」
「それからだ」 
 ホルニヒは王の言葉に従い礼拝堂の前に跪いてだ。そのうえで祈りを捧げた。短いがそれでもだ。信仰の篤さが窺える礼であった。
 それをしてからだ。彼は立ち上がりだ。王に述べた。
「有り難うございます。それでは」
「他の場所に行くか」
「どちらに行かれますか?」
「まずは食事にしよう」
 王は微笑みと共に述べた。
「そうしよう」
「昼食ですか」
「ワインもある」
 それもだというのである。
「それも楽しもう」
「フランスのワインをですね」
「そうだ。シャンパンがいいだろうか」
「シャンパン。それは確か」
「ビスマルク卿の好物だ」
 こう話す。そのシャンパンについて。
「今はそれにしよう」
「そうですか。だからですか」
「ビスマルク卿は偏狭な愛国者ではない」
 それは少なくともその通りだった。彼は確かにドイツの為に邁進している。しかしなのだ。彼の視野は決して狭くはないのである。
 むしろかなり広い。その嗜好もなのだ。
「だからだ。シャンパンも飲まれるのだ」
「陛下と同じくですか」
「シャンパンはいい」
 また言う王だった。
「もっともフランスのワインはそれだけではないがな」
「シャンパンだけではない」
「フランスの美酒は一つではない」
 そうだというのだ。
「多くの美酒を飲みたい。そして味わいたい」
「フランス料理もですね」
「全てを楽しもう。そのうえで」
「そのうえで?」
「バイエルンに戻ろう」
 そのだ。彼の国にだというのだ。
「私の運命を実現させる為にだ」
「実現ですか」
「そうだ、実現させるのだ」
 遠くを見る目になる。教会の中でもだ。
 
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