ハイスコアガール 前世がゲームオタクの俺がラブコメを展開するのは間違っている件
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灰皿ソニックは基本的に敵に当たらない
あのお嬢様の大野がゲーセンにいて、そしてスト2が滅茶苦茶うまい事に驚いた。そして、大野とは何故かマルミヤ以外の行きつけのアーケード筐体が置いてある駄菓子屋や穴場のゲーセンなどに頻繁に遭遇する事が多くなった。初めはお嬢様故の家の稽古に我慢が出来なくなって、その勢いもあってゲーセンにいたと思ったが、駄菓子屋のアーケード筐体でプレイしている所を見ると、大野は俺と同じようにゲームが好きなんだなと理解させられる。
「やっぱ大野は可愛いよな」
「普段は何してんだろうな。何が趣味なんだろう?」
「遊ぶ暇がないほどに家に帰って英才教育を受けてるって噂だぜ」
「遊ぶ時間があってもきっとお上品な遊びなんだろうな」
俺のクラスの男子たちが大野話題で盛り上がっている。つうかこいつ等が大野の趣味を知ったら驚くだろうな。お上品な遊びじゃなくてヤニ臭いゲーセンでスト2で大人のプレイヤー達をごぼう抜きしてますよ。ファイナルファイトでハイスコアを更新中ですよ。
まあ、大野に勝手なイメージを抱いているこいつ等からは想像もしないだろうな。
「なあ、ハルオ。お前はどう思ってんだよ」
て、俺に話が回ってきたよ。
「さあな。興味ないね」
アイツが実はゲーセン好きでアーケード好きなのは黙っといてやろう。
「なんでだよ。お前も男なら大野といいことしたいと思うだろ!」
「興味ないなんて嘘だろ!」
「うるせえな……俺はゲームが出来ればそれでいいの」
つうか音量がデけえよ。お前らが大野に対して変な妄想話してるせいで、女子たちから白い目で見られてんぞ
「や~ね男子達は……」
「いやらし~」
「……(じ~)」
俺まで巻き添えだよ。てかいい加減に何か喋ろよ大野。
「……(プイ)」
だから何で俺と目を合わせると直ぐに目をそらす。毎日じゃないけど、ゲーセンで遭遇したらそれなりに遊んだ中じゃねかよ。本当にアイツは何を考えているかわかんねえよマジで……。
ーーー。
「あ、大野」
「……」
何時ものように学校の帰りに行きつけの一つの駄菓子屋に大野がいた。外に置いてある筐体でスト2をプレイしていた。大野が使用しているキャラはザンギだ。これまでの大野キャラ選択基準は重量級キャラを使用する傾向が強いと認識した。基本的に格ゲーのキャラはスタンダードでキャラを好んで使用する俺とは全く違う傾向だ。一人用でも大野がどれだけ上手いかはわかる。途中からプレイを見学して見てもわかるように、大野は1ラウンドも落としてない。そして無傷でベガに完勝した。
そしてザンギのエンディング画面だ。ザンギのエンディングはロシア大統領と大統領との側近と一緒にコサックダンスするエンディングである。いつみてもシュールなエンディングだなと思う……これロシア大統領に怒られないのかな?
「相変わらず上手いな。対人でもCPU戦もそつなくこなすな大野」
「……(むふ~)」
自慢気な表情の大野。大野はじゃべりはしないが、感情表現だけは豊で、大野の表情で現状の機嫌や何を言いたいことはここ最近になってわかった。学校だと基本的に俺を無視する大野も、ゲーセンや筐体が置いてある駄菓子屋だと感情表現で俺と接してくれるんだよな。
「そういや聞きそびれたんだけど、お前の家ってハード何もってるの?王道でスーファミ?アーケード好きだからPCエンジンとかか?」
「……(フルフル)」
「え、持ってないの?」
「……(こくこく)」
「あ……その悪いこと聞いたな」
なるほど。だからゲーセンや駄菓子屋で一人遊びに没頭しているのか。ゲームは好きでも家の方針で家庭用ゲーム機を購入させてもらえないのか……。家の稽古で自由がない鬱憤をゲーセンで晴らしているわけか
「よし!」
「……?」
「大野。俺の家で家庭用ゲームやらねえか?お前さえよければだけど」
「!?」
大野は驚いた表情だ。その瞬間に目を光らせた表情に変わった。
「直ぐもやりたいって面だな。家庭用ゲーム機の性能はゲーセンに劣るけど、それでも数多くの名作がいっぱいあるんだぜ。来るか?」
「……(こくこく!)」
スゲー嬉しそうだな……今までゲーセンでしかゲームをプレイ出来なかったから家庭でやるゲームに興味が満々なんだろうな。大野の今の表情を見ると前世の俺を思い出すな……初めて家庭用ゲーム機をプレイしたときは凄い感動を覚えたもんな。
ーーー。
「ハルオがこんな可愛い子を家に招待するなんて、お母さん凄く感動だわ!」
「大げさだろおふくろ」
家に帰ってそうそうに大野を家に連れてきた事におふくろが凄く感動していた。前世でもそうだけど、母親ってなんか女子を家に招待すると凄くテンションがあがるんだよな。
「ハルオがせっかく可愛い子を家に招待したんだからおもてなししなくちゃ」
「いいからあっち行ってくれよ」
大野もどう反応していいか困ってんぞ。おふくろはそんな俺を無視して台所のほうに向かった。
「まあ、いいか。俺の部屋は二階だからついてこいよ」
「……(こくこく)」
大野を俺の部屋に入れる。そして大野のお目当ての家庭用ゲーム機を大野の前に並べた。
「見ろ。これが家庭用ゲーム機だ。これがファミリーコンピューターで通称ファミコン。こっちにあんのがアーケードの移植が多いPCエンジンだ」
おうおう大野も表情がキラキラしていてるな。
「大野。まずはFCからやってみろよ。FCは任天堂が開発した家庭用ゲーム機で現在の家庭用ゲーム機で主流となったパットコントローラーが採用されたゲーム機だ。名作はとても多くマリオ、ゼルダ、ロックマンを筆頭に他には……あいた!」
大野に横っ腹を殴られた。説明に夢中になった俺に対して早くやらせろよといった表情だ。
「悪い悪い。さっそくやるか……まずはこいつからだ」
俺が大野に見せたのはドンキーコング。
ドンキーコング。1981年に任天堂から発売されたアーケードゲームで1983年にFCにも移植された1980年代を代表する人気ゲームであり、今現在もゲームキャラクターで高い知名度を誇る主人公マリオのデビュー作である。
FCを起動すると大野は目をキラキラと光らせた。
「ドンキーコングは全部で四面まである。四面全てをクリアすると最初のステージに戻るけどな難易度が上がる仕組みだ。先ずは気楽にやってみろよ。ゲーセンと違って金をかける必要もないからな」
「……(こくこく)」
いつもは無表情でゲームをプレイしている大野も、何だかわかりにくいが微笑みながらゲームをプレイしているように思えた。ゲーセンだと神憑り的な天才プレイもパットになった瞬間に初心者プレイになっていた。
「飛ぶタイミングを間違えたな。お前にしちゃ珍しいな」
「……(むが~)」
「ヒートマンのステージはブロックが突然消えるんだよ。合わられるタイミングを間違えないようにな」
「……(ぐぐぐ)」
「魔界村だめ?そんなに怖くないだろ」
「……(びくびく)」
FCだけでも色々なゲームをやった。ドンキーコングだけじゃなくて、スーパーマリオブラザーズ、ロックマン2、パックマン、ギャラガ、イーアル・カンフー、グラディウス……etc。途中でおふくろ特性のホットケーキを食ってスゲー満足な表情だった。
そういえば、ゲーセンでもそうだがこうやって気兼ねなくゲームを楽しみ関係って転生してから大野が初めてなんだよな。これまでゲーム関係でつるんで遊んだやつ等はいたけど、どこかよそよそしい感じはしたし、大野と一緒だとゲーセンで少し緊張感もある対戦もあるけど、こうやって気兼ねなく楽しんでゲームするのもいいのかもな……。
そうやって俺達は時間を忘れてFCに没頭した。だけど数時間もすれば流石に日が暮れてきた。流石にこれ以上はまずいな。というか大野の執事のじいやは俺の家を知らないし、いまごろ大野が寄り添うなゲーセンあたりを探してるだろうな。
「そろそろ帰んないとじいやが心配しないか?」
「……(う~)」
「まだやりたいの?」
「……(うんうん)」
「やりたきゃ俺の家に来ればいつでも出来るぜ。FCやPCエンジンがやりたいならいつでも俺の家にこいよ。俺とお前はもう立派なゲーマー仲間じゃねえか。あんまり家の理解者を心配させるような事をさせんなよ」
俺がそう言うとしぶしぶながらも大野は納得してくれた様子だ。その後はおふくろに「女の子に一人で夜道を歩かせるな!」とぶん殴られた理不尽だ。
なんつうか美少女と歩くと役得というけど、俺はロリコンじゃないし……精神年齢考えれば俺は三十路をとっくに過ぎてるおっさんだからな。だけど今の俺が大野と歩いてもロリコン扱いされないよね、されないで欲しいな(汗)
ちなみに予想通りに大野の執事のじいやは大野の行きつけのゲーセンや駄菓子屋の周辺を必死に探し回っていた。
「お嬢様。心配しましたよ!業田先生がカンカンですぞ」
じいやは大野の所に走って寄ってくる。
「ごめんじいや。大野は俺ん家でゲームしてたんだ。大野の家に連絡入れようにもな……」
「いえいえハルオぼっちゃま。ぼっちゃまのお気遣いは理解できます」
じいや。本名は不明だけど大野の屋敷で執事をやっており大野の理解者の一人。最初は俺の事を目にもかけていなかったが、大野と一緒にゲーセンで遊んでいるうちに、じいやは俺を大野の友人と認めた人物だ。まあ、いい人ではあるんだけど、運転があらっぽく頻繁に俺をリムジンでひき殺しかねない危ない運転をやらかすから俺も気が抜けない。
「なあ大野」
「……?」
「家でも言ったけどよ。FCやPCエンジンがやりたかったらいつでも俺ん家にこいよ。おふくろも大野の事は気に入っているからさ」
何でだろうな。今日も大野を家に遊びに誘ったんだろうな。最初は家庭用ゲーム機を買ってもらえない大野に同情しただけだと思ってた。でも、何だろうな……大野といると何故か楽しい自分がいる。
ダメだ……わからん!
後書き
簡素なゲーム用語
FC 任天堂が発売した家庭用ゲーム機ファミリーコンピューターの略。ファミコンとも略されている。
ドンキーコング 1981年に発売されたアーケードゲーム。主人公のマリオのデビュー作品でもある
マリオ 一般人でもしっている人気ゲームキャラクター 一時期はアメリカではミッキーマウスを凌ぐ程の知名度を誇った時期でもある。
ロックマン2 カプコンより販売されたロックマンシリーズの第二作。ボスキャラがボスキャラ応募ハガキによって決定された事は有名であり、エアーマンが倒せないという歌の元ネタは、このシリーズのボスキャラのエアーマンでもある。
パックマン ナムコより発売されたアーケードゲーム。1984年にファミコンに移植される。1980年代男性プレイヤーばかりだったゲーム業界に女性やカップルといった客層にターゲットを絞ったゲームであり、いまでもナムコの看板キャラである。
PCエンジン 1987年に発売された家庭用ゲーム機。同世代で販売された中でも高性能が目立ち、ゲーセンで稼働していたアーケードゲームの移植の再現度がとても高く、販売台数こそファミコンやスーファミに負けたが、その高性能のお陰でアーケードの移植の再現が高い事から当時のゲーマーからは高い評価を得ている。
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