| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

異世界転移した最強の俺、追放されたSSS級冒険者(美少女)を拾う

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

新商品、お試し中-4

 こうしてプリンアラモードを彼女たちの前に置いた俺は、ようやく自分の席に座る。
 この時期、外の方が涼しい風と緑のにおい、そして木漏れ日を楽しめるので、外に案内したのだが……先ほどの説明の関係で、どうやらエリカにはまったく楽しんでもらえていないようだ。
 一応は、来たお客さんの反応も良く、また来るよと言ってきてくれたお客さんもいたりするのだが……やはり女神やら何やらが衝撃的な説明だったのかもしれない。

 どうしよう、早く食べてもらわないとアイスが溶けてしまう……と俺が思っているとそこでルーシーが、アイスを口にして、

「う~ん、このミルクの味がたまらない! エリカもはやくはやく!」
「え、ええ……! 何、これ。ミルクに砂糖を加えて冷やしたもの? それにほんのりと香りづけがされていて……この香辛料は、何?」

 驚いたように呟くエリカ。
 とりあえずはアイスを食べてもらえて、そして夢中で次々に口に運んでいくのを見て、食べてもらえず溶ける心配はなさそうだと俺は思いながら、

「南の方にある“バナバナバニラ”という香辛料だ。甘くていい香りのするもので、これは香りのない蒸留酒で抽出したものを加えている。そこにあるやや肌色がかった黒いソースのかかったもの……プリンも、それが加えてある」
「そうなのですか。……こんなもの、食べたことがないです。美味しいです。……果実を凍らせたものは口にしたことがあったのですが、こういった食べ方もあるのですね」

 エリカがそう、感心したように呟く。
 気に入ってもらえてよかったと俺は思う。
 とりあえず女の子二人に気に入ってもらえたから、今後のメニュウーに加えて大丈夫だろうと俺は思う。

 やはり異世界なので、俺が想像もつかないような理由で“気持ちが悪い物”認識されてしまっては困る。
 そこでルーシーがプリンに手を付け始めた。
 もちろんクリームと一緒に食べるというぜいたく使用である。

 と、ルーシーが一口味見をして、

「うん、おいしい! ……でもこの黒いソース、いつもと違う香りがする」
「ああ、今回はコーヒーを入れたんだ。どうだ?」
「この苦みは確かに癖になりそうです。なかなか美味しい気がします。それにプリンがいつもより硬い気が」
「今回は練乳を使ってみたんだ。俺たちの世界の、別の国で作られているプリンを参考にしてみたんだ。どうだ?」
「これはこれで美味しいですね。でもできればあのプリン、いつものと両方食べてみたいです」
う~ん、贅沢だが、小さくして二種類の盛り合わせというのも、変わっていていいか? 後で検討しよう」

 そう話しているとエリカが恐る恐るプリンに手を伸ばす。
 そして口にして、

「! これも美味しいです。プリン、というのですか? 材料は……ミルクや卵のようですが……それに、キャラメルがかかっている?」
「正解。卵と砂糖とミルクを熱して固めたものに、砂糖を焦がして作ったソース、それにコーヒーを入れた物が今回のプリンだ。味はどうだ?」
「美味しくてまた食べに来たくなります」
「よし、これで新メニューの完成だ。あ、もしおかわりが欲しかったらすぐ作れるぞ」
「い、いえ、こんなに盛りがいいと十分です。それに飾られているフルーツですが、この白いリンゴのようなものは、超高級果物である“カラナナシ”というものに似ているのですが」
「ああそうだ、昨日野生に生えているのをとってきたばかりなんだ。ちなみに、それで種をまいて魔法をかけておいたから、もう食べられるような実が生っているんじゃないのか?」
「……まだあの果実は栽培方法が確立していなかったはず。だから貴重品だったのに……」

 エリカは震える声でそう呟き、“カラナナシ”を口にして、やっぱりあの果実の味がすると小さく口にしていたのだった。

 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧