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オズのエリカ

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第四幕その六

「何かって思ったわ」
「日本語ってそこも複雑よね」
「どうにもね」
「というか僕達漢字もわかるけれど」
「オズの国の力でね」
 臆病ライオンと腹ペコタイガーも言います。
「けれどね」
「王と玉で同じってね」
「ややこしいね」
「どうにもね」
「漢字ならではで」
「日本では特にそうなっていて」
「漢字は中国で生まれたのよね」
 エリカは中国人の神宝を見つつ言いました。
「そうよね」
「うん、そうだよ」
 その通りだとです、その神宝も答えます。
「時代によって字の形は違ったりもするけれど」
「そうよね、それで日本でも使う様になって」
 エリカは今度は日本人の恵梨香を見て言いました。
「さらに変わったのね」
「片仮名や平仮名も使って」
 それでと言う恵梨香でした。
「読み方や字の使い方も日本独自になったの」
「そうよね、それでこれは日本独自なのね」
「日本では漢字では宝石を意味する玉が君主の意味でもあるのよね」
 ナターシャがここで言いました。
「そうなったのよね」
「そうだね、尊いからってことかな」
 カルロスはこう考えました。
「それで将棋にも同じ意味で王将と玉将の駒があるのかな」
「そういうことなのね、けれどね」
 また言うエリカでした。
「わかったら納得出来るけれど最初は何かと思ったわ」
「どうも中国の漢字より日本の漢字の方が使い方難しいんだよね」
 ジョージもエリカに言ってきました。
「どうもね」
「ええ、将棋でもわかるわ」
「何かとね」
「全く、英語よりも遥かに難しい言葉ね」
 これがエリカの日本語そして日本の漢字についての感想でした。そのうえで駒の国の中を歩いていきますが。
 ここで臆病ライオンがこう言いました。
「一つ気付いたけれど」
「どうしたのかな」
 腹ペコタイガーがその臆病ライオンに尋ねました。
「一体」
「うん、この国にもお店が多いけれど」
 それでもというのです。
「食べるものは売っていないね」
「あっ、そうだね」
 言われて腹ペコタイガーも気付きました。
「それはむしろ僕の方が気付くべきことだったね」
「食いしん坊だからだね」
「うん、けれど気付かなかったよ」
 臆病ライオンに言われるまでです。
「本当にね」
「そうなんだね、それでね」
「うん、確かにね」
「食べものは一切売っていないね」
「全くね」
「駒だからだね」
 ここでこう言った臆病ライオンでした。
「そのことはね」
「必要ないんだね」
「身体によって食べる必要がないんだよね」
 ここでジョージも言ってきました。
「オズの国の人は」
「そうだよ、かかしさんや樵さんがそうだね」
「つぎはぎ娘やチクタクもね」
 二匹の獣達はオズの国の名士達から食べる必要のない人達を挙げました。
「ガラスの猫も木挽きの馬もそうだしね」
「カボチャ頭のジャックやファイター大尉も」
「そうだね、それがオズの国だよね」
 少ししみじみとして言うジョージでした。
「だから食べる必要がない人もいることが」
「そうした国なのよ」
 まさにと言ってきたのはエリカでした。 
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