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リュカ伝の外伝

作者:あちゃ
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言い争っても平行線

 
前書き
リュカ伝3.5の最終話手前と最終話の間のエピソード。 

 
(グランバニア城)
ウルフSIDE

何とかリュカさんを動かす事が出来た。
俺が『自分の命を犠牲にする』的な事を言ったから、渋々受け入れてくれた。
ホント渋々……もう表情も渋々……態度だって渋々……ってか渋々言ってる。

我が国の最新兵器“アサルトライフル”を謁見の間で打っ放す訳にはいかないから、渋々言うリュカさんの後に付いていき、武器開発室へ大移動。
客人たるヘンリー陛下等やルドマンさん等は『やれやれ』って感じ。
慣れてないカボチ村代表やルラフェン代表達は目を丸くしていた。

武器開発室に着くと責任者のザイル部長が居ない。
研究室で更なる研究でもしているのだろうか?
居合わせた(って言うか居るのは当たり前)武器開発室士官のリブとバレルに試作型を持ってこさせる。

基本的にアサルトライフルは厳重に保管しており、武器開発室の地下の一番奥に仰々しい金庫を設置して保管されている。
因みにこの金庫は普通の金庫。厳重ではあるが変な仕掛けは無い。
その中から桐の箱に入ったアサルトライフル試作型を二人は持ってきた。

「随分と大切に保管して居るみたいだな」
我が国の箱入り息子(発射するから息子だろう)に、興味津々のルドマンさん。
あまり余計な事は言わない方が良いのに……

「やっぱ見せんのやめた」
ほらぁ……持ち主がヘソ曲げちゃった。
俺知らね!

「おいリュカ……いい加減にしろ! お前の我が儘にこれ以上付き合っていられないぞ」
「じゃぁ帰れよ、馬鹿ヘンリー」
子供だな、まるで……

「父さん……もう観念しましょうよ。取り敢えず見せるだけ見せれば、もう二度とこの話題に触れさせなければ良いんですから」
流石実の息子。気苦労が絶えないねぇ……

だがヘソを曲げた王様は、そう簡単に思い通りにはならず、そっぽを向いて口笛を吹き始めた。
堪らずガミガミ言い出すヘンリー陛下とルドマンさん。
珍しく兄妹協力して説得する義理の兄貴と義理の姉貴。

すると突然……
歌い始める我が主。
イライラが溜まって気が触れたかと思ったが、そうでは無い様だ。
何故なら歌詞が……

♫なんでも かんでも アイツ♪
♫イタズラしまくっているよ♪
♫ベッドの中から「ピョコン」と♪
♫嫌いなカエルが登場♪
♫いつだって 忘れない♪
♫ヘンリーは 王子様♪
♫そんなの不自然♪
♫ラ ラ ラインハット♪
♫ヒーこら ヒーこら 御家騒動♪
♫ヒーこら ヒーこら 命狙われ♪
♫ヒーこら ヒーこら 王位はいらな~い♪
♫ラ ラ ラインハット♪
♫ヒーこら ヒーこら 身柄攫われ♪
♫ヒーこら ヒーこら 売られる王子♪
♫ヒーこら ヒー 奴隷になったよ~♪

♫いつでも どこでも コイツ♪
♫へらへら暮らしているよ♪
♫大きな岩場の影から♪
♫奴隷の王子が登場♪
♫いつだって 大迷惑♪
♫ヘンリーは 働かない♪
♫そんなの有名♪
♫ラ ラ ラインハット♪
♫ヒーこら ヒーこら 俺はサボってない♪
♫ヒーこら ヒーこら ムチで打つな♪
♫ヒーこら ヒーこら アイツを咎め~♪
♫ラ ラ ラインハット♪
♫ヒーこら ヒーこら いつか逃げる♪
♫ヒーこら ヒーこら いつか泣かす♪
♫ヒーこら ヒー 友達選ぼう~♪

♫グチグチ ブツブツ 常に♪
♫不平を喋っているよ♪
♫貰ったお金で「ビシッ」と~♪
♫買い物してたら激怒♪
♫いつだって 口煩い♪
♫ヘンリーは 小言多い♪
♫そんなの常識♪
♫ラ ラ ラインハット♪
♫おいこら おいこら 無駄に使うな♪
♫おいこら おいこら お金は大事♪
♫おいこら おいこら お前が言うな~♪
♫ラ ラ ラインハット♪
♫たたかえ たたかえ お前も戦え♪
♫たたかえ たたかえ サボるな戦え♪
♫たたかえよぉ! 激弱王子~♪

最悪だ。
本人だけならまだしも、その息子や息子の嫁……果ては他国のお偉方まで居る前で、この歌を歌い切りやがった。

流石に俺もティミーさんも、ピピン大臣等だって総出で国王の口を塞ごうと襲いかかったけど、無理だよ……このオッサン強いんだもん。
歌いきるまで飄々と逃げ切りやがったよ。

恐る恐る客人等の方に視線を向けると……
大半は唖然としていた。
でも爆笑してる連中も居る。
ヘンリー陛下の息子の嫁とヘンリー陛下の秘書の女性だ。

「お前……つくづく俺を馬鹿にしてるな!」
「馬鹿にしてないよぉ~。今流行ってるんだよぉ~。我が国では知人を歌う事が流行ってるんだよぉ~」
そんな訳ねーだろ!

「そっかそっか! だから『ウ~ルポンポン』って歌を、皆が歌ってるのね(笑)」
俺を見てポピー義姉さんが涙を流して笑う。
だから早々にこの歌を禁止にさせたかったんだ!

これ……国際問題に発展か?

ウルフSIDE END



 
 

 
後書き
期待されると頑張ってしまう男……それは あちゃ!
田鰻さん、どうですか?

一応、本歌は『おどるポンポコリン』です。 
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