繰リ返ス世界デ最高ノ結末ヲ
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03.過去語
ー双子と王様ー
過去語ー双子と王様ー 五
「さて、次は痛い方の拷問にしようかなぁ」
地下の拷問室で、フランは拷問器具を準備しながら、楽しそうに呟く。
「………もう殺して下さい」
拷問室中央の椅子に、手や足、首等に枷を填められ、目隠しをされた琴葉が言う。カタカタと躰が震えていた。
「やぁだね。折角治療してあげたんだし、イイでしょ?」
「否々々! 此処で拷問為てしまったら治療した意味が無いじゃないですか!」
「拷問なら痛い方でってお願いされたからするんだけど、怖くなっちゃった?」
挑発を為るようにフランが言うと、琴葉は一瞬硬直する。そして、ゆっくりと問う。
「治療は……私に借りを作るためじゃ………無かったんですか」
するとフランも器具を弄る手を止め、琴葉の方に向く向き直った。琴葉には見えていないが。
「あはは、すっかり目的を忘れてたよー!」
愉快そうに笑いながら琴葉に近付き、枷と目隠しを外すフラン。琴葉はその間黙って大人しくしている。
そして、拷問室の外に居る構成員に聞こえない様、フランは琴葉の耳に口元を寄せて告げた。
「君はこのまま白猫に帰れ。そして、毎日イジメに遭って、毎日怪我をしろ。で、毎日彼の花畑に、今日と同じ時間に来い。そしたら、私が優しく治療して、沢山借りを作って、後で其れを一気に使ってあげる。良い? 此れは、彼の憎き白猫幹部の"黒華琴葉"へ向けた言葉じゃ無い。次期黑猫幹部の"黒華琴葉"への命令だ。良いね?」
「嫌だと言ったら?」琴葉が小さく言うと、フランは琴葉の頬に手を添える。若干琴葉がピクリと反応するが、フランは其れを楽しむ様に笑みを浮かべる。
「このまま、一生私しか見れない様にしてあげる」
◇ ◆ ◇
翌日、アリサとユリアは、フランに頼まれてまた彼の花畑に向かう。すると、其処には様々な所に怪我を負った琴葉が座っていた。
「……ん、嗚呼、こんにちは。お疲れ様です。アリサさん、ユリアさん」
琴葉はアリサとユリアに気付くと、小さく手を振る。アリサとユリアも、つられて手を振り返す。
「今日も派手に怪我してるね! 大丈夫?」
「………ウッ……今日、何か人間の男の臭いがする…………大丈夫?」
「大丈夫ー……じゃないかもデスね。歩くのはちょいと時間掛かるし、おぶってもらう訳にも今日は本当にいかないですから」
苦笑いを浮かべる琴葉を、ジーッと見詰めるアリサとユリア。暫くした後、揃ってはぁぁぁあああと、長い溜息を吐いた。
「落ち込んでそうに見えるけど、ずっと棒読みだし。昨日もそうだった。感情が分かり難いじゃない」
「ええっ?」
「一緒に、楽しいことしたり、悪戯したり、遊んだり為て見ようよ」
「え、あ……うん」
「はっはっはー! 未だお主は若いのだから、沢山経験をしようー!」
「え、ええ?」
「じゃあ、先ず拠点へれっつごー!」
「え?」
そして、今日はユリアが無理矢理琴葉と背負い、拠点へと急いだ。
数十分後、黑猫の医務室にて。
「ヒッ……ぎゃあぁぁぁあああああ!!?」
「ハーイ、消毒くらいで騒がなーい」
「い、いい痛いです!! や、やめっ……」
「もういっちょー!」
「わぁぁぁぁぁああああああああ!!?」
人生初の消毒液を使った治療に、琴葉は泣き叫んでいた。
此れが原因で、琴葉は消毒液嫌いになったとか。
「んふふー。何処を汚されたのー?」
「や、止めろぉ! へっ、へんな所、触んないで下さい!!」
「ほら、早くー!」
「ヒッ…………ぎゃあぁぁぁあああああ!!!」
一時間後には、琴葉は医務室のベッドで寝ていたそう。
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