DQ3 そして現実へ… (リュカ伝その2)
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裏プロローグ
<グランバニア>
魔界の魔王ミルドラースを倒してから7年の歳月が流れた…
ここグランバニアでは国民に絶大な支持を得ている国王が、今日も気ままにメイドをナンパしている。
「やぁ、エルフィーナちゃん。今日もキレイだね!今夜あたり僕とどう?」
とても国民に絶大な支持を得ているとは思えぬチャラさで、メイドを口説く国王…
「リュカ!いい加減にしなさい!また愛人増やすつもり!?」
「やや!?違うッスよ、ビアンカさん!!これは僕流の挨拶ッスよ!」
王妃に叱られるも、全く堪えない男…それがグランバニア国王リュカである。
リュカとビアンカの間には3人の子供がいる。
長男のティミー17歳、長女のポピー17歳、そして次女のマリー7歳。
ポピーは半年前、友好国のラインハットの王子コリンズの元へ嫁いだ為、現在はティミーとマリーが正式なグランバニア王家の血筋である。
現在ティミーは身分を隠匿し、城の兵士として働いている。
またマリーも城下の学校へ平民として通っている。
そのティミーが国王直属の近衛として配属されてから半年、今日も執務室で父親にからかわれていた…
「ねぇ~ティミー…いい加減彼女作れよぉ…一人で良いからさぁ~」
「僕の好みの女性が居ないんです!ほっといて下さい」
以前から繰り返されたやり取り…しかし、娘の一人が嫁ぎ親元を離れた事もあり、以前よりしつこく彼女を作る事を進める父…
そんな何時もと同じやり取りに、何時もと違う事態が訪れる。
「あれ?何だこれ!?」
それは、執務机に山積みになった書類の中から出てきた1冊の分厚い大きな本である。
その性格に似合わず綺麗好きなリュカは、整理整頓はきっちり行っていた為、机の上に置かれた見慣れぬ本に違和感を憶えていた。
「何だよ!誰だよ、勝手に置いていったのは!?て言うか、何処から持ってきたんだよ!?」
そう文句を言いながらも、本を開き読み始めるリュカ。(基本、読書好きである)
本には前書きがあり、そこには…
【人生という物語には各々主役が存在する。主役は別の主役と出会い、そしてまた新たな物語が紡ぎ出されて行く。この物語はそんな物語の一つである。】
そして次のページにタイトルが…
【そして伝説へ…】と…
「何だ!?随分と面白そうじゃないか!!」
リュカは書類の山には手を付けず、本の続きを読もうとしている。
しかしページを捲り終えた瞬間、大声で激怒し始めた。
「何だこりゃ!?続きのページには何も書かれて無いじゃん!!バカにしてるの!?偉そうなタイトル付けやがって!」
ページを何枚か捲り、全てが白紙である事を確認したリュカはタイトルページに戻り、徐にペンを手にする。
「何が【そして伝説へ…】だよ!現実なんてこんなもんだよ!!タイトル直してやる!」
リュカはタイトルの【そして伝説へ…】にペンで2本線を引くと、自らタイトルを書き直した…【そして現実へ…】と…
すると本が突然輝きだし目の前のリュカを吸い込み始めた!
慌てたリュカは手近にあった物を掴み難を逃れようとしてみたが、掴んだ物が常用している『ドラゴンの杖』だった為、杖ごと一緒に吸い込まれてしまった。
<アリアハン>
(ドサッ!!)
リュカは地上3メートル程の所に開いた穴から吐き出され、受け身をとることなく地面に落ちた。
「いたたたた…何だよ…乱暴に吸い込んで、乱暴に吐き出すって!しかも此処、何処だよ!?何で僕がこんな所に来なきゃいけないんだよ!!」
そこは先程まで居た執務室とは明らかに違う。
まずそこは外だった。
そして目の前には16、7歳くらいの少女が驚いた表情でリュカを見ている。
「やぁ、こんにちは」
どう見てもそこはグランバニアとは違い、過去の記憶から別世界へ迷い込んだ事を察したリュカは、目の前の少女を脅かさない様に話しかける。
「見ていたら分かると思うけど…僕、違う世界から来たんだよね!でも、怪しい者じゃないよ!出来れば帰る手立てを探したいんだけど…その前に、此処どこ?」
青年と少女の冒険の物語が始まろうとしている。
後書き
『プロローグ』『裏プロロ-グ』2話セットで1つの話し!
長い道のりになりますが、どうかお付き合いくださいませ。
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