悲しい青髭
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第三章
「本当にな、そして服は常にその日の気温や気候に合わせた服も用意する」
「服もですか」
「冷暖房も入れる、絶対に快適で安全な暮らしをおくってもらう」
こう言ってそしてだった、ロシナンテはマリーにそうした何から何まで慎重というか厳重に護られた暮らしを過ごさせた、彼は束縛はしなかったがそうした何から何まで安全になる様にしていた。特に外出の際に乗る車は。
リムジンの様に大きな車だ、しかも。
何と装甲車の様に装甲が施されしかも窓は防弾ガラスだ、尚且つ周りにはいつもボディーガードがいた。
それでマリーを常に厳重に警護させていた、そのあまりもの警護にだ。
マリーは驚いてだ、ある夜仕事から帰ってきた夫に言った。
「あの、あの車と警備は」
「何もない様にだ」
夫は妻にその沈みきった様な顔で答えた。
「あの車を用意してだ」
「ボディーガードもですか」
「雇っているのだ」
「私の為に」
「そして言い忘れていて申し訳ないが」
ここでだ、こうも言った彼だった。
「防弾チョッキがある」
「まさか」
「そうだ、外出の際は必ずだ」
「防弾チョッキをですか」
「これからは付けて欲しい」
「防弾チョッキもですか」
「それを付けてないと外出は控えて欲しい」
マリーに実際に防弾チョッキを渡した、それでマリーはいつも外出の際は防弾チョッキを着る様になった。帽子までデザインはともかくそうした処理が為されていた。
ロシナンテはその他にも何かとマリーの身の回り、健康や安全に神経質な程配慮していた。それでマリーは健康かつ安全に暮らしていたが。
ある日だ、彼女は夫のそのあまりもの配慮について彼に長年仕えているという執事に尋ねた。すると。
執事はマリーにだ、静かな声で答えた。
「まずは噂からです」
「あの噂ですか」
「はい、お話させて頂いて宜しいでしょうか」
「私の前にですね」
「旦那様は九回結婚されています」
このことを話した彼だった。
「それは事実で」
「そして九人の方々は」
「どの方も結婚されてです」
「一年も経たないうちに」
「亡くなられています」
「そのお話は真実でしたか」
「はい、しかし噂とは違い」
執事はその声を暗いものにさせてマリーに話した。
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