ダンジョン飯で、IF 長編版
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短編集編
IFのIF 最近勘違いされてます
前書き
なぜか、ライオス・ドラゴンキメラが迷宮のラスボスだと勘違いされる話。
迷宮の主は、ファリンです。
「ファリン、ファリン。」
「どうしたの、兄さん?」
「最近の冒険者達の噂をたまたま聞いたんだが…。」
「うんうん。」
「どうも、俺の方が迷宮の主だと思われてるみたいなんだ……。」
「えー?」
ファリン達が、迷宮の主、狂乱の魔術師を倒した。
迷宮の王座には、ファリンが座った。それにより、トールマンを超えた寿命を手にいれ、キメラと化した兄・ライオスと一緒に生きられるようになった。
迷宮の主であった、魔術師を倒したことで、迷宮の呪縛から解放されたライオス・ドラゴンキメラは、自由の身になったのをいいことに、あちこちの階層を飛び回っていた。
センシから魔物食を教わり、色んな階層の魔物を、キメラとなって格段に強化された身体能力で狩り、調理して食べるのが楽しみだ。
たまに冒険者パーティーに出くわし、魔物食を勧めては、逃げられるということを繰り返していた。
時々、ファリンのいる階層までたどり着くほどの猛者が現れることもあるので、その時は、迷宮の主の使い魔ライオス・ドラゴンキメラとして、他の魔物を使役して立ちはだかった。
たいていの場合、ライオス・ドラゴンキメラの姿と、冒険者パーティーのごとく連携を取った魔物に動揺した相手を全滅させるのが通常だが、間一髪で逃げるパーティーもいた。そういうときは深追いはしない。もっと強くなって戻ってきてくれるといいなぁという、元冒険者だった頃の思いがそうさせた。
そんなことを、月日を数えるのを忘れるくらい繰り返した。
そして、気がつけばこれだ。
本当の迷宮の主のファリンではなく、ライオス・ドラゴンキメラの方が迷宮の主だと思われるようなってしまった。
「なんでこうなったんだ?」
「兄さんが強いからじゃないかな?」
「そうか? 俺はそんなに強いつもりはないんだけど。」
「私より、ラスボスっぽいし。」
「そ、そうかな?」
「カッコいいしね。」
「そうかな…。」
ファリンからのお世辞に、ライオス・ドラゴンキメラは、気恥ずかしそうに頬を掻いた。
「あ…。兄さん、冒険者が来たわ。」
「数年ぶりにこの階層まで来たな。行ってくる。」
「頑張ってね! 死んでも生き返らせてあげるから。」
「善処するよ。」
ファリンからのエールを受けてから、ライオス・ドラゴンキメラは、出陣した。
たいていの場合は、ファリンがいる部屋まで来る前に、冒険者パーティーは全滅してしまう。もしくは、逃走する。
「さあ、君達は、俺に勝てるかな?」
下半身のドラゴン部分の分だけ頭が高いライオス・ドラゴンキメラは、腕組みして、冒険者パーティーを見おろしながら言ったのだった。
冒険者パーティーは、ライオス・ドラゴンキメラを迷宮の主だと思っているので、これが最後の戦いだと言わんばかりの構え方をしていた。
勘違いとは恐ろしいモノで……、ライオス・ドラゴンキメラは、ひっさびさに三途の川を見かけた。そして、なんとか勝って、ボロボロになってファリンのところに帰ったのだった。
「次は…、負けるかも。」
「次からは私も一緒に戦うよ。」
「いや、迷宮の主が直々に出るなんて…。」
「兄さんをここまで追い詰めた冒険者さん達には、挨拶したいもの。」
「…ふぁ、ファリン?」
「うふふふふ…。」
ニコニコと笑っているファリンを見て、ライオス・ドラゴンキメラは思った。
なんとしてでも、自分が冒険者パーティーを、ファリンに近づけさせないようにしないと…っと。
じゃないと、死ぬより恐ろしいめにあってしまう!!
後書き
なぜ勘違いされたのかは謎。
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