DQ5~友と絆と男と女 (リュカ伝その1)
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72.ハッピーエンドは廃れない。
<天空城>
気が付くとそこは天空城だった。
目の前にはプサンが偉そうに座っている。
「何だよ!こんなに凄い事が出来るのなら、手伝ってくれても良かっただろ!こんな所でふんぞり返りやがって!」
(ドカ!)
ものっそい衝撃が後頭部へ走る!
「お前、マスタードラゴン様に何って口きいてんだ!」
ドリスの拳がクリ~ンヒット!
「はっはっは!良いのですよ!」
「そうだよ、僕とプサンは友達なんだから!砕けた会話は普通なの!」
だいたいコイツに恭しくしたくない!
「私が友人ですか!?」
「あれ?違ったの?じゃぁ…恭しくしようか、マスタードラゴン様!」
「止めてくれ…気持ちが悪い。友のままでいてくれ!」
そこまで言わなくても…
「じゃぁ…僕達は帰るよ!ヘンリー達にも平和が訪れた事を知らせたいし」
「では、私の背に乗るが良い。お前達を縁ある者達の元へ運ぼうぞ」
「え!?本当に!?いやぁ~悪いね。じゃぁ…お願いするよ!順序はプサンに任せるから!」
みんな喜んでくれるかな?
リュリュやリューナは幸せになれるかな?
<グランバニア城>
ティミーSIDE
魔王ミルドラースを倒してから3年の月日が経過した。
世界は概ね平和である。
グランバニアも平和そのもので、ベビーラッシュが巻き起こっている。
中でも、現グランバニア国王周辺のベビーラッシュは当事者達を悩ませる。
王妃であるビアンカ陛下(僕のお母さん)との間に3歳になる娘が一人。
名前を『マリー』
そしてイマイチ立場の分からない女性、スノウとの間に3歳の娘が一人。
名前を『リューノ』
さらに皆を驚かせた人物も出産。
お父さんの騎士として剣を振るっていた女性、ピエールとの間にやはり3歳の娘が一人。
名前を『リューラ』
そしてサンタローズのシスター…リュリュのお母さんであるシスター・フレアとの間に4歳になる娘が一人…
名前は『フレイ』
計算が合いませんよね!
『何時の間に!』って、みんな叫びました。
お母さんを救出して、挨拶に赴いた時にはお腹に居たという事ですね。
とても重大な使命を帯び旅を続けている人の行動では無い気がしますが…
従って今の僕には妹が7人居ます。あちらこちらに…
「お父さん、もう居ないですよね!」
不安に駆られ訪ねると…
「さぁ…居ないんじゃないかなぁ…確認してないだけで居るかもしれないね」
本当…不安です…
もしかすると…もしかするかもしれません。
マーサ様も怒るどころか呆れて何も言えません。
しかし女性関係で問題のある人ですが、国王としての実力は皆が舌を巻く程の人物です。
長きに渡る魔族との諍い、それに乗じた光の教団の勢力拡大。
それらの事象によって衰退した国家を再建させるべく、幾つかの法案を実行する。
国民への衣食住を確保する為、商業・工業の発展を促す為の新たなる開拓事業を発足。
海運業の発展を促す為に、港の新規建設。
海路の確保の為の、海軍発足。
グランバニアの森を切り開き、港と王城への道を整備。
その為の物資運搬等への利用可能な運河を、グランバニア山から海まで開河させ開拓事業へのサポートと共に、運河沿いに新たな営みの場を築き人口増大へ拍車をかける。
以上の開拓事業を行う為に財政確保の一環として、貴族への課税法案を強行。
一時、貴族達が武力による抵抗を見せたが1週間で鎮圧。
理由は簡単。軍の高級士官達は貴族だが、一般兵達は平民である。
武力発起後も纏まった戦力が集まらず、戦場へゴレムスの肩に乗って姿を現した陛下を前に、あえなく投降。
これにより、財政難は一挙に解消。
新たなる国造りへ向けて、国家全体が動き出しました。
また、未来を担う子供達の育成をスローガンに、義務教育法と言う法案を実行する。
義務教育法とは、その年に6歳になる子供から15歳になる子供を対象に、無料(全額国家負担)で教育を受ける為の法案だ。
今までグランバニアでは…イヤ、他国でも、教育を受けられる者は一握りで、家族内に博学な者が居るか、家庭教師を雇うだけの裕福な家柄の者しか教育は受けられなかった。
これにより、貧富の差を少しでも無くし、国家の未来を安定させ、国力を向上させるのが陛下の狙いである。
ふざけている様に見えても、やっぱり凄いな!お父さんは…
僕とポピーも義務教育を受けている者の一人である。
身分を秘匿し、一般平民として学校に通うのは結構楽しい。
友達も幾人か出来たし…
彼女は………まだだけど…
僕とポピーが学校から帰ると、オジロン国務大臣がポピーに泣き付いてきた。
「おぉぉ!ポピー!!済まぬがリュカを…いやいや、陛下を連れ戻してきてはくれぬか」
どうやらまたの様だ。
お父さんは真面目に政務を行うのが性に合わないらしく、度々城を抜け出してはルーラで何処かへ逃げてしまう。
世界でルーラを唱えられるのはお父さんとポピーだけな為、度々ポピーに泣き付いてくる。
「このところ毎日ですね…」
「陛下にも困ったものだ!」
あまり勝手にふらつかれると、弟妹が増えるやもしれない…
正直やめてもらいたい。
「昨日はラインハットだったし、今日はサンタローズかな?」
僕の提案にポピーは、
「そんな単純な人じゃないでしょ!今日もラインハットへ行ってみましょ」
嬉しそうに答えるポピー。
「そんな事言って、コリンズ君に逢いたいだけじゃないの?」
コリンズ君とは、ラインハット王国の兄王陛下、ヘンリー様のご子息で、僕の親友…
「何よ!悪い!!」
認めちゃったよ…
気付いたら、この二人は付き合っていた。
お父さんが執務を抜け出して、ちょくちょくラインハットに行っていたからポピーもコリンズ君と親しくなったんだ。
「何、アレ?ティミーは彼女が出来ないからって、私に嫉妬してるの?」
ポピーはだんだん性格がお父さんに似てくる。
きっとコリンズ君は苦労する。
可哀想に…
「あ!?それともアレ?リュリュに逢いたかったのかしら?愛しいリュリュに!?」
リュリュは外見はお父さんを女性にした感じの美人だが、性格は母親のシスター・フレアの様に優しい女性に成長してる。
僕の初恋の女性だが、よりによって腹違いの妹だった。
早めに判って良かった。
あと2.3年後だったら………
「手ぇ~出しちゃいなさいよ!お父さんの自業自得なんだから!構う事無いわよ!ピエールみたいに思い切って踏み出してみなさいよ!何だったら駆け落ちでもしちゃいなさいよ!応援するわよ♥」
も~コイツ最悪…早くラインハットへ嫁げよ!
妹には不自由してないから、一人くらい嫁いでも悲しく無いよ!
「分かったから黙れ!じゃ、ラインハットへ行こうよ!」
疲れ切った僕と、ニヤけ顔のポピー。
テラスまで出てポピーがルーラを唱える。
ルーラで空を飛びながら思う。
僕はとても幸せな人間だと…
お父さんとお母さんの子供に生まれて良かったと…
ティミーSIDE END
人が居て、営みがあり、人が増える。
他人が友となり、男女が恋をする。
絆を以て人々は繋がり栄えて行く。
ハッピーエンドへ向けて…
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