オズのエリカ
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第三幕その六
「毛づくろいはじめたんだ」
「ええ、少し待ってね」
「それが終わってからだね」
「中に案内してね」
「そうさせてもらうよ。身支度を整えてから王宮に入ってくれるんだ」
「あっ、私がそうしたいからよ」
これがエリカの返答でした。
「だからよ」
「それだけなんだ」
「そう、それだけよ」
しれっとした返事でした。
「私がね」
「ううん、それはちょっとね」
「ちょっと?どうしたの?」
「我儘かな」
こう思ったというのです。
「どうもね」
「だって猫だから」
「猫だから我儘なんだ」
「それじゃあ説明になっていないかしら」
「納得する人は少ないと思うよ」
「そうなのね、けれどね」
それでもと言うエリカでした。
「それが私でね」
「猫なのね」
「そう、説明しようにもね」
「それが猫ってことで」
「納得してね」
これがエリカが兵隊さんに言うことでした。
「猫はしたい時にしたいことをするのよ」
「そうした生きものなんだ」
「自由に生きる生きものだからね」
「じゃあそうした生きものだってね」
「納得してくれるわね」
「うん、もうそれが習性ならね」
猫のそれならというのです。
「いいわ」
「それじゃあね、毛づくろいが終わったら」
「君も他の人達も案内するよ」
この国の今の王様そしてそれぞれの精霊の首長さん達のところにというのです、こうお話して実際にでした。
兵隊さんはエリカが毛づくろいを終えると皆を王宮の王の間に案内しました、するとそこにはでした。
様々な元素が合わさっている壁の部屋の奥、二十段程の階段がありその上の場所に幾つかのそれぞれの元素で出来ている玉座がありそれぞれの精霊の立派な服を着た人達が座っていてその真ん中にでした。
黒い人がいました、髪の毛も見事な服も王冠も全て黒です。その人が様々な元素が合わさって出来ている玉座に座っています。
その人がです、一行に言ってきました。
「よく来られた」
「貴方がこの国の今の王様なのね」
「如何にも」
その黒い王様はエリカに威厳のある声で答えました。
「私がこの国の今の王だよ」
「そうよね」
「普段は闇の精霊の首長だが」
今はというのです。
「交代で王になるからな」
だからだというのです。
「今は王を務めている」
「そうなのね」
「そうだ、だから今は闇の首長であり」
「この国の王様なのね」
「そうなのだよ」
王様はエリカに微笑んで答えました。
「私は」
「そういえば座が空いているわね」
一つ空いている席があります、それは黒い闇の座でした。玉座に似ていますが大きさは少し小さくで様々な元素が合わさって造られてもいません。
「そこが普段の貴方の席なのね」
「残念だが私も身体は二つではない」
「だから玉座に座っているとなのね」
「闇の首長の席は空くことになる」
そうなるというのです。
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