繰リ返ス世界デ最高ノ結末ヲ
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06.そうだ、刑務所に逝こう。
第27話
前書き
琴葉視点
さて、試していくか。
「【能力無効化】」……変化なし。
「【能力消去】」………変化なし。
「【能力具体化】」…………変化なし。
「【能力操作】」……………変化なし。
「【消」
「ストップ!! 琴葉、早まらないで!?」……フランさんか。あ、無意識の内に私は自殺を………危なかった。
「………治癒能力は?」………変化なし。
「改変系」………変化なし。
「【消」
「一寸待って! さっき注意したばっか!!」……ハッ、仕舞った。
「………私は一体何を」
「いきなりの記憶喪失!? ……生きるためには如何為たら良いかって、考えてるんでしょ?」
「あーそうそう、其れです………って、何で知ってるんですか」
「キュラル君が震えてた」
「…………」
…………方法が思いつかない。もう遣える能力全部遣った…………
「いっその事、一回死ねば」
「駄目! 絶対駄目。私が許さないし、止めるから」
「………じゃあ如何為ましょう」
もう手段は無いかな!
「…………矢っ張り、死ぬしか無いですかね」
…………しんみりした空気になるが、首領室の扉の前に立つ構成員達の殺気が半端ない。もう怖いんですけど。
「弱音を吐かない! 最終手段として、君を吸血鬼に為てあげるから」
「………私を、吸血鬼に?」
「何言ってんだ此奴みたいな顔しないで?」
そう言う顔してました?
「………まぁ君が、私の血を飲むことが必要だけど」
「何度か、フランさんの血を入れませんでしたっけ? 私の中に」
「口から口へ入れる必要があるの。牙で唇切って、接吻するだけのとっっても簡単な作業」
「怖っ……」
でも、確かに吸血鬼になることが出来れば、此の変な痛みも消えるだろう。そんな検証結果、聞いたことも無いが。
「あ、でも、結婚するんだから、吸血鬼である必要があるな……でも、私程となれば我が儘も通るし、大丈夫だよね………って、如何為て笑っているんだい?」
笑ってました?
「………もう、明日以降の話ですか」
「だって、琴葉は死なないから」
力強い声。落とした視線をもう一度上げる。
「琴葉は絶対に死なせない」
………もう、嬉しいことばかり。
良い感じの雰囲気になったところで、いきなり来たのである。
バァァァアン!!と言う、恐ろしい扉の音は。
「琴葉さんっ! 糸見るんで、手を出して下さい!!」
バァン!して首領室に入ってきた聖月さんは、直ぐに私の手を取り、糸を見ている。何度も瞬きをして、大分糸を絞っているようだ。
暫く静かな時間が流れた後、聖月さんが漸く口を開く。
「あったぁ……」ボケたような声だったが。
「何があったの?」
「キュラルさんとグレースにしか無かった、可笑しな色の糸です! きっと、此れを切れば………」
糸が見えたら、念じるだけで切ることは出来るのだが………切れないようだ。赤い糸同様に。
「お願い、切れて………」………何故聖月さんはこんなにも焦っているのだろうか。「こ、琴葉さん、何でそんなに落ち着いてるんですか!? もう、後三十分も持たないって、輝さんが言っていたじゃ無いですか!!」
聞いてない。ナニソレ。
「能力で、三十分後の未来を視たらしいんです……そしたら、既に琴葉さんは死んでて………」
「首領、失礼します! 御客人の命はもう数分と、七星上級構成員が………」
マジか。
「………あれ、初めて」ぽつりと呟く。其れに反応して、聖月さんとフランさんが此方を向く。そして、息を呑む。
「死が怖い……のかな?」
涙が溢れ、引き攣った笑みが零れる。
「早く、早くしないと………!!」
「琴葉、未だ待って、もう少し……!!」
あれ、死ぬ時って、大体分かるんだけど、全然死ぬ感じが為ない。
本当に死ぬからなのかな?
折角、ラルに怒られずに済んだのになぁ。
折角、又此処に来られたになぁ。
折角、フランさんに気持ちを伝えられたのになぁ。
「…………貸して!」
横からそんな声。其の声にぼーっとしていた意識を取り戻し、声を為た方を向く。
其処には荒い呼吸を繰り返すラルとグレースが。
「……はい、切れたよ」
「全く、矢っ張り迷惑な首領ですよね、貴女」
…………え?
「ラル君に、主がもう一寸で死にそうって言われたから……必死に糸の能力結晶を探して来たんだよ?
ラル君もラル君で、七星弟君の能力出力調整をしたり、此の糸を見付けたりして、頑張ってたんだからね? あのラル君が」
「馬鹿に為てるんだったら殴りますよ?」
あ……………………
「二人が同じ立場なの、すっかり忘れてたわ」
「「阿呆か」」
◇ ◆ ◇
「……此れで、本当に終わったのだろうか?」
「僕が知ってるわけ無いじゃん。でも、二十四時間を過ぎると勝手に死ぬらしいけど」
「其れが回避できてれば良いですね。それで目出度し目出度しです」
「………私のお姫様を救ってくれたのは嬉しいんだけどぉ? ……何でそんな琴葉にくっついてるの?」
「はぁ? 主は僕のだし」
「私は逆ハーは漫画だけで良いんだけど」
「「知るか」」
「えー………」
嗚呼、する事が無い。
「寝て起きて、しっかり明日が来てると良いなぁ」
「怖いこと言わないでくださいよ、琴葉さん」
「聖月さん……! でも、此の立場に立ってみると、絶対心配になるから」
寝るかな。
「あ、一寸待って琴葉! 何か今にも消えそうな感じがするんだけど!?」
「え、消えるわけ無いじゃないですか」
「否、だって、未だお昼寝の時間でも無くない!? 未だ世の中寝てる人居るんだよ!? 大半の構成員の出勤前だよ!?」
「え?」
「今寝たら絶対其のまま永遠の眠りについちゃうから!! せめて私が御伽噺の様な眠り姫を起こす目覚めのキスを習得してからに………」
「何言ってるんですか」
……寝るか。
「あー! 琴葉さん、駄目です!! 早まらないで下さい!!」
「たかが暇だから寝るってだけで大袈裟な……」
「先程から死亡フラグ的な物が立ちまくってる中寝るなんて、良く出来ますね!?」
「否、別に寝なかったら此処が射撃されそうで怖いから寝たいんだけど……」
「こ、怖いこと言わないで下さい!」
「扉の隙間から爆弾をぽいっとか、気付かぬうちに呪いを掛けられて其のままぽっくりとか……」
………寝よう。
「主、絶対寝ない方が良いって。朝起きたら振り出しに戻っちゃうかもよ?」
「振り出しとは」
「死ぬんじゃ無くて、そうだなぁ……拷問される辺りとか?」
「………無いな」
「あるかも知れないんだって!」
…………寝たい。
「時の旅人なら良くあることじゃないですか、ねぇ、分かりますよね?」
「分かるけど……」
「折角此処まで来たのに、また最初からですか? 時間の無駄遣いですか?」
「否、今は死ぬか生きるかで、戻るって選択肢は無いでしょ」
「どれだけフラグを立てれば気が済むんですか………」
………………おやすみ。
皆が騒いでいるのを気にせず、私は深い眠りへとつく。
終点は今日じゃ無い。
後書き
…………オチが……思い浮かば、な…………
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