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第二章
「確かに凄い収入になってて今も印税入ってますけれどね」
「それでもなんだ」
「お金はいいです、ただ」
「休業中だからかな」
「はい、ですがちょっとゲーム見せてくれます?」
光人はこのこと自体に興味を持って部長にお願いした。
「一体どんな風か」
「うん、じゃあ今日の放課後うちの部に来てね」
「演劇部にはちょっと遅れるって言っておきます」
「よし、じゃあ見てね」
「そうさせてもらいます」
二人で話してだ、そのうえで。
光人は部長に案内されてゲーム部の部室に入ってそのゲームを観た、正直言って彼が思っていたより遥かにいい出来だった。
それが踏み出すまでにはかなり迷う彼を後押ししてくれた、それで彼は部長に顔を向けてこう言った。
「あの」
「どうかな」
「面白いですね」
「そう言ってくれるんだ」
「このゲーム話題になりますよ」
「発表すればだね」
「同人ゲームの世界で」
部長にはっきりと言った。
「間違いなく」
「僕達にとって会心の出来だしね」
「はい、ただ」
「音楽がないね」
「これで音楽があったら」
いいそれがあればというのだ。
「完璧ですよ、そして」
「ひょっとして」
「そのひょっとしてです、マジで心動きました」
光人は部長に顔を向けたまま答えた。
「ですから」
「作曲してくれるんだ」
「その場面その場面で相応しい曲を」
作曲するというのだ。
「ゲームの容量との関係もありますけれど」
「うん、音楽はやっぱりね」
「結構容量食うんですよね」
「三十年ちょっと前のゲームは七曲で驚かれたんだよ」
「多いってですね」
「だからね」
それでというのだ。
「同人ゲームだしね」
「普通の企業のゲームじゃないから」
「だから容量の問題があるけれど」
「それでもですね」
「音楽も出来るだけ多く入れたいから」
「だからですね」
「うん、宜しく頼むよ」
「わかりました、それにこっちの音楽は」
光人はゲーム音楽についてこうも述べた。
「昔やってたヒットさせないといけないって曲と違うんですね」
「いい曲を作曲しないといけないことは同じだよ」
「それでもですね」
「その場面に一番相応しい音楽」
「それが大事ですね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
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