転生とらぶる
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機動戦士ガンダム
2178話
「残念です。正直なところ、このような事が起こるとは思っていませんでした」
連邦の視察団の代表を務める男の前で、セイラは残念そうに言う。
その表情にも残念そうな色はあるが、それは心の底からそう思っている……という訳ではなく、シェリルによって行われてた演技の指導のおかげだろう。
連邦の視察団を受け入れると決まった時、恐らくこのような問題が起きるという可能性は十分に考えられていたのだから。
……そう、連邦の視察団がコバッタを半ば無理矢理にでも確保し、連邦に持ち帰ろうとするというのは。
視察団の何人かがコバッタを確保した。
それはいいのだが、コバッタというのはネットワークで繋がっている。
当然そうなれば、捕まえられたコバッタからはその旨が他のコバッタに知らされ、それを知らされたコバッタからの報告によって、コバッタを確保しようとした連邦の視察団の人員は捕らえられる事になった。
「それは……その、何かの間違いとか、そういう事なのでは?」
視察団を率いてる者は、セイラの言葉に何かの間違いだったのではないかと、そう告げる。
まぁ、そういう事にしたいという気持ちは分からないでもない。
今回の一件で、連邦はシャドウミラーに対して大きな……非常に大きな借りを作ったようなものなのだから。
そのような借りを作らない……もしくはそれは無理であっても、出来るだけその借りを小さいものにしたいと思うのは、連邦の視察団を率いる者として当然だった。
……ちなみに、俺がこの場にいるのは、コバッタはシャドウミラーからルナ・ジオンに貸し出しているからというのもあるが、セイラの護衛という意味もある。
もっとも、セイラの護衛という意味でなら量産型Wがいればそれで十分なのだが。
正直なところ、俺がこうしてここにいるのは、半ば連邦がどう反応するのかを見たいというのもあるし、俺が……シャドウミラーの代表たる俺がいれば、連邦としても無茶は出来ないだろうという認識がある。
この男はそうでもないようだが、視察団の中には連邦という大国に比べると、ルナ・ジオンは所詮小国だと……いや、連邦としてはまだ国とすら納得していないと、そう思っている者も多いのだから。
とはいえ、シャドウミラーの保護国である以上、その言葉は決して間違っているという訳ではない。
だからといって、それを表に出すのは視察団の人間としてどうかとは思うが。
「いえ、残念ながらコバッタの映像データに記録が残されています」
「それはっ! ……いえ、何でもありません」
恐らく作られた映像とでも言おうとしたのか?
それでも最後まで言わなかったのは、現在の自分達の立場を理解しているからだろう。
俺が同席しているというのも、この場合は大きく関係しているのかもしれないが。
「今回の一件を考えると、ルナ・ジオンとしても連邦との付き合いについて考えなければなりません」
セイラのその言葉に、視察団を率いている男の表情は引き攣る。
ルナ・ジオンという国だけならまだしも、俺達シャドウミラーのように異世界と繋がっている存在と接する、最初の大規模な……それでいて公式的な場所が、今回のこの視察団だ。
実際には、以前からルナ・ジオンと連邦は密かに接触してたりしたんだが。
特に、ハワイを入手した後は、連邦にとってもシャドウミラーと接触しやすくなったのは間違いないだろう。
だが、それはあくまでも非公式な……言ってみれば秘密裏での行動となる。
そういう意味では、やはり今回の一件は大きなものであると、そう言わざるを得ない。
その視察団を率いるという立場は、それこそUC世界の歴史に名前が残ると言ってもいい。
……だが、その名前が残るというのが、視察団が何の問題もなくその視察を終える事が出来たというのと、部下がコバッタを盗もうとして捕まった視察団を率いている者というのでは、歴史に名前が残る理由が大きく異なってくる。
それだけに、この男にしてみれば今回の一件は出来るだけ穏便に、それでいて表沙汰にならないようにして欲しいというのが、正直なところだろう。
俺が見る限り、セイラもそんな男の思惑は見抜いているように思える。
それを知った上でこのような事を口にしているのは……恐らく、相手を焦らしているといったところだろう。
ともあれ、今回の一件については、連邦軍に大きなダメージとなるのは確実だった。
「それは……申し訳ありませんが、何とかなりませんか? 勿論、今回問題を起こした者は、こちらで厳正に処分させて貰います」
こう言っている男の言葉が、トカゲの尻尾切りなのか、それとも本当に今回の一件を知らなかったのか。
その辺りの事情は俺には分からないが、今回の一件は連邦にとっての失策であると同時に、ルナ・ジオン側としては利益となるのは間違いない。
「そうですね。……こちらが納得出来るような条件を出して貰えるのであれば、検討しても構いませんよ」
あまり追い詰めすぎてもどうかと思ったのか、セイラは笑みを浮かべつつそう告げる。
視察団を率いている男に、それを断るような余裕は存在しなかった。
「随分と政治家……いや、女王も板に付いてきたな」
セイラにそう告げると、先程の男が出て行った後で書類仕事をしていたセイラは、そう? と不思議そうに首を傾げる。
その際に金髪が揺れ、目を惹き付ける。
実際、セイラはその生まれはジオン・ズム・ダイクンの子供ではあったが、別に帝王学とか、そういうのを習ってきた訳ではない。
セイラの兄のシャアは、子供の頃にサイド3から脱出した後でジンバ・ラルによって帝王学を教え込まれたようだったが、セイラはシャアが勉強をしている時も自由に遊んでいたらしいし。
そんなセイラだったが、今ではルナ・ジオンの女王としてこれ以上ないくらいしっかりと現在はこなしている。
恐らく、これが血の力というものなのだろう。
もしくは、セイラ本人は全く覚えていないが、それでも実は小さい頃に見た父親の姿を心のどこかで覚えていたとか。……もしくは、これがニュータイプの力って奴だったりするのか?
「ともあれ、セイラは俺なんかよりも余程1国のトップとしては有能だろうな」
「あら、それはちょっと言いすぎではなくて?」
「そうか? 実際、俺は政治とかの詳しいところには、エザリア達政治班に任せてるぞ?」
もし俺が政治をやれと言われれば……いやまぁ、やってもやれない事はないと思うが、だからといって俺が政治に向いている訳ではない。
それこそ砲艦外交とかそんな真似なら得意なんだが、それは政治ではあっても政治家や外交官といった者達がやる仕事であって、俺のように国のトップに立つ人物がやる仕事ではない。
……いや、そうでもないか? 国のトップが圧力を掛けに行くというのは、そこまでおかしな話ではないような気が……
ともあれ、何をするにしても俺がやるより、実際に政治班の面々にやらせた方が絶対に効率がいいのは間違いなかった。
これで政治班の面々を信じられないのなら、色々と細かくチェックをしたりといった真似もする必要があるんだろうが……シャドウミラーの政治班の中に、俺が信じられない相手はいない。
レオン辺りは微妙に信用出来ないが、それでもレオンの場合は魔法的な契約に縛られているので、その辺は全く心配する必要はない。
だからこそ、俺は基本的にエザリア達政治班が決済した書類とかを確認したり、どうしてもサインの類が必要な場合だけサインをしたりといった事で十分だ。
……というか、そういう風な政治体制でもなければ、俺が未知の世界に行ったりとか出来ないし。
寧ろ、今のこの状況こそが最善だと言ってもいい。
「私も出来れば、アクセルみたいにしたいわね」
しみじみと呟くセイラだが、シャドウミラーとルナ・ジオンは似て非なる国家だ。
例えば国のトップが選挙とかで選ばれた訳じゃなかったり、軍事力を重視していたりと。
もっとも、ルナ・ジオンはシャドウミラーの保護国であり、ラルを中心として協力を要請した多くが元軍人だったり、その関係者だったりするのが、影響しているのだろうが。
「ルナ・ジオンという国は、まだ建国してから1ヶ月程度の国だ。つまり、国がどういう風に成長していくのか、その辺りを気にするのはもっと先でもいいんじゃないか? こうして国を運営しているうちに、自然とどういう国になるのかといった事が明らかになるかもしれないし。それに国をどういう風にしていくかというのは、ルナ・ジオンの他の連中とも話した方がいい」
シャドウミラーが今のような形になったのは、俺だけで決めた訳ではない。
それこそ、シャドウミラーの幹部達がそれぞれ意見し合い、それを実行してきたからこそ、今のような形になったのだ。
……まぁ、そこに技術班の意見が強く反映されているのは、それこそシャドウミラーの性格を表していると言ってもいいのかもしれないが。
「相談は勿論するわ。……けど、アクセルに相談してもいいんでしょ?」
「俺か? いやまぁ、それは構わないけど……ただ、俺の意見が反映されるようになれば、それはシャドウミラーの意見が反映されているという風に捉える奴もいるぞ?」
今のルナ・ジオンの幹部達なら、そんな風には思わないだろう。
怪しいのはアンリが連れてきた政治家達だが、あの連中は何人かが横領やら何やらで捕まってしまった事もあり、今ではかなり大人しいのだから。
だが……今のルナ・ジオンはどうしても人が少なく、それこそ移住希望者の中からでも優秀な人物は次々に取り立てている。
そのような者達にしてみれば、自分達の国が俺達のようなシャドウミラー……自分達の後ろ盾であっても、その言いなりになっているように思えてしまい、それを許せないと思う者は絶対に出てくる。
勿論それは悪い事ではない。言ってみれば、それは愛国心なのだから。
生まれ育った国ではなく、自分で移住しようとして選んだ国。
それどころか、この国は建国してからまだ1ヶ月弱といった国でしかない。
そのような国を自分の故郷として選んだというのは、素直に凄いと思う。
だが、それだけに、今のルナ・ジオンの状況を許せないと思う者が出てきても、おかしくはないのだ。
……とはいえ、それは別に新人に限った話ではない。
例えば、アンリ。
ジオン・ズム・ダイクンに対して強い忠誠心を抱いていたアンリは、ルナ・ジオンはルナ・ジオンとして、シャドウミラーの援護といったものはないままに国家を動かすべきだと考えている。
だが、そうは思っても、それはあくまで自分個人の思いであって、実際に今の状況でシャドウミラーがルナ・ジオンから手を引けばどうなるのかといった事は当然のように理解している。
つまり、現実を見据える事が出来ていると、そう表現してもいい。
だからこそ、アンリは今のところシャドウミラーと敵対的な行動を取る事はない。
……もっとも、俺とセイラの間が近すぎると、そう思っているのは間違いないが。
ただ、それとこれとは微妙に違う話だしな。
もしアンリが短絡的な男であれば、それこそ自分の考えこそが正しく、ルナ・ジオンの為にはシャドウミラー討つべしといった行動を起こしていたかもしれないが……今のところ、そんな様子はない。
それは、アンリがルナ・ジオンにとって、シャドウミラーがどのような存在なのかをきちんと理解している為だろう。
「うーん、そうね。分かったわ。もう少し相談してみる」
「そうしてくれ。……そう言えば、今度時間があったら魔法球に入ってみるか?」
「……え?」
セイラは、不意に俺の口から出た言葉に意外そうに目を見開く。
当然だろう。セイラにしてみれば、まさか自分が魔法球に誘われるとは思ってなかったのだから。
もっとも、他のルナ・ジオンの幹部達と違い、セイラは魔法球の存在は知っている。
俺がこの世界にやって来て、最初にセイラと触れあった際に入り込んだ、あの妙な空間……そこで、セイラは俺の記憶を見たのだから。
それでも今までセイラが殆どその件に触れなかったのは、純粋にセイラがシャドウミラーの事を考えていたからだろう。
だが、そんなセイラだからこそ魔法球で少し休ませてやりたいと思ったのは、事実だ。
「魔法球は外の1時間が内部では48時間になる。ルナ・ジオンを率いるセイラでも、1時間程度であれば時間を作る事も可能だろう?」
「それは……やろうと思えば出来るでしょうけど……本当にいいの?」
若干恐る恐るといった様子で尋ねてくるセイラに、俺は頷きを返す。
それを見たセイラは、ルナ・ジオンという国の女王ではなく……17歳の女として、嬉しそうに笑みを浮かべるのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1435
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