レーヴァティン
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第七十一話 南の港町その十二
「脳梗塞にしろ」
「そうさ、人間何時かは絶対に死ぬものでもな」
「病気は怖いか」
「それ自体が怖いさ、癌は特にそうで脳梗塞とかもな」
「だから身体には気をつけているんだな」
「そうだよ、冗談抜きでな」
久志は今は飲みつつ言った。
「だから水だって沢山飲んでるさ、脳梗塞になりたくもないしな」
「色々あるんだな、御前も」
「人間誰だって色々あるだろ、それぞれな」
「御前の場合はそうしたことがあったってことか」
「癌のこととかな」
「脳梗塞もか」
「他の病気もな」
糖尿病や痛風もその中に入っている、とかく久志は病気それも身体の異変になるものを恐れているのだ。
「そうなんだよ」
「そういうことか」
「だから明日の朝はな」
「風呂に入った後はか」
「水分も摂ろうな、そっちも飲んでな」
「はい、お水も飲みまして」
夕子も言ってきた。
「そして頑張っていきましょう」
「明日もな、さてパエリア食って飲んだ後は」
久志は明るい顔に戻って仲間達に話した。
「身体にいいデザート食うか」
「では果物を」
「ああ、それにするか」
夕子の言葉に頷いてそれをよしとした。
「身体にいい甘いものってなるとな」
「果物ですね」
「お菓子よりもいいよな」
「そう言えますね」
「じゃあそっちにするよ」
「では」
こうしてだった、最後のデザートも決まった。そうしてオレンジや林檎、バナナやメロンを切られたものが出されてきた。
その中のオレンジを食べてだ、久志は今度はこう言った。
「そういえばずっとオレンジ食ってなかったな」
「北の方じゃないからな」
芳直が言ってきた。
「それで北からこっちに来るまでもか」
「ああ、果物はそれに食ってきてもな」
「林檎とかか」
「あと果物じゃないが苺とかすぐりとかな」
「そういうものは食ってたんだな」
「あとさくらんぼとかは食ってたけれどな」
それでもというのだ。
「オレンジはな」
「南の方にある果物はか」
「ずっとなかったな」
「だから思うことがあるんだな」
「俺オレンジとかネーブル好きなんだよ」
そうした柑橘類がというのだ。
「それでな、久し振りに食えてな」
「思うところがあるんだな」
「ああ、美味いな」
瑞々しいそのオレンジを食べての言葉だ。
「本当に」
「そんなにいいか」
「ああ、他のも食うぜ」
他の果物もというのだ。
「メロンもな」
「メロンも北じゃないしな」
「あるかよ」
この果物もというのだ。
「寒いところにはな」
「そうだよな」
「それでな」
「オレンジもメロンもか」
「食わせてもらうな」
是非にと言ってだ、そしてだった。
久志だけでなく他の面々もデザートの果物の盛り合わせを口にして楽しんだ、そして酒も飲み終わったが。
久志は食事を全部終えてから言った。
「さて、明日はな」
「まずはサウナに行くぞ」
「それからだな」
正に酔い潰れる直前の顔で応えた、それから十一人目のところに行くと言うのだった。
第七十一話 完
2018・6・23
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