龍天使の羽撃き
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09
アナハイム社 MSハンガー
駆けつけた比嘉を須郷が説き伏せ、イレギュラーフォースバトルの開始が決定した。
ARROWSとモノクローム・ナイツ、シビルジャッジメンター01のヴォジャノーイ、02アスナ、03キリトが一同に会している。
ARROWSの参加者はヴォジャノーイ、カトラス、メティ、サンディのフルメンバー。
モノクローム・ナイツの参加者はキリト、アスナ、ユージオ、アリス、リーファ、シノンの六人。
「おいおいハーレムキングさんよぉ、シリカちゃんとリズの姉御はどうしたんだ?」
『シリカは家族と外食らしい。
リズの方は……………………赤点補習』
「あー………。成る程」
そういいながら、ヴォジャノーイはカンヘルを歩かせる。
カタパルトに乗せ、ロックした。
「カンヘル・クレアード。ヴォジャノーイ、出る」
ヴォジャノーイがレバーを押し込み、カンヘルが射出された。
カンヘルが大きな弧を描き、右に旋回する。
続いて射出されたのはキリトのストライクノワールカスタム<ストライク・インカーネイト>。
こちらは大きく左に旋回。
続くはカトラスのバエル・ゼブルが右へ。
その次はシノンのケルディム。
各フォースの機体が交互に射出されている。
メティのAGEⅡEⅢライトニング、サンディのバーニングガンダムカスタム・ヘルメシエルが射出。
その次はアスナのストライクルージュ、アリスのスペリオル、リーファのストライクフリーダムカスタム<リベルテ>と続いた。
『ユージオ、ガンダム・ブルーローズ、出る』
最後に出てきたのは、各所に薔薇の意匠を施した西洋鎧風の装甲を纏った機体だ。
遠目にはわからないが、そのフェイスはアストレイ・ブルーフレームの物だ。
各機がフォースごとに集まり、互いに10キロの間隔を開け月面上空に滞空する。
「お前ら、相手はモノクローム・ナイツ。
近接戦闘のエキスパート揃いだ。出来るだけ白兵戦は避けるように」
『そんなんで勝てんのか?』
「さぁな。そも数で劣ってる以上正々堂々当たらなくとも文句は言うまい」
『兄様、シノンお姉ちゃんはどうするの?』
『未知数なの』
「そーなんだよなぁ……。ケルディムかぁ…。何とも言い難い機体だなぁ…」
ケルディムはデュナメスとサバーニャの中間にあり、どちらともつかない機体だ。
デュナメス寄りの遠距離か、サバーニャ寄りの中距離かは、パイロット次第だ。
「じゃー、シノンさんは置いとくとして、全員中距離戦を心がけること」
『『『OK!』』』
そこで須郷から通信が入る。
『よし、十分離れたね。では、始めようか』
全員のコンソールにカウントダウンが表示される。
『10、9、8………ひゃぁもう我慢できねぇゼロだぁ!』
「ふざけんなくそ須郷っ…!」
ARROWSは全員が自信の得物をモノクローム・ナイツの方角へ向け、トリガーを引く。
パッとスラスターの噴射光が広がるのを各機のカメラが捉えた。
「総員散会! かたまるなよ!」
ヴォジャノーイはそう言うと、モノクローム・ナイツの居る方向へ真っ直ぐカンヘルを進める。
『じゃぁ私は右なの』
『ついていくの』
ライトニングが右へ、ヘルメシエルがそれを追う。
『じゃ、左行かせてもらうぜ』
バエル・ゼブルは左へ向かった。
ヴォジャノーイがカンヘルを進めると正面からビームが放たれた。
「アリスっ…!」
一条、二条と放たれるビームは正確で、ヴォジャノーイは機体を大きく動かす。
『シネッ! ヴォジャノーイ!』
ヴォジャノーイはCAUTIONの表示を見て咄嗟に機体を止めた。
その目の前をユージオのブルーローズが突っ切る。
急降下しながらの突きだ。
「あぶねぇ…」
『相変わらず、すごい反応速度だね』
「キリトにゃ敵わねぇよ」
『それは嬉しい事を聞いたな!』
「なんで皆こっち来るかなぁ!?」
叫ぶヴォジャノーイがビームマグナムを向けた先にはインカーネイト。
背中の二本の剣を外したインカーネイトがカンヘルに斬りかかる。
それをマグナムを捨て、二振のGNソードⅤで受け止めたカンヘル。
その後ろをブルーローズが狙う。
「スラスター全開!」
00QのバインダーとアームドアーマーDEを後ろに向け、全推力を解放。
その勢いでブルーローズは押し返された。
ヴォジャノーイはレバーを押し込み続ける。
鍔競り合いをしていたインカーネイトを巻き込んで、月面へ急降下。
『なっ!? 自爆する気か!?』
「な訳ねぇだろ」
月面ギリギリで、アームドアーマーDEとバインダーを180度回し、カンヘルが離脱した。
ッドォッ! とインカーネイトが地表に叩きつけられた。
CAUTION !
「ソードビット!」
放出されたソードビットが後方にシールドを作った。
迫るビームはエネルギーシールドに防がれた。
「キリト…アリス…ユージオ…。
いや、三対一なだけましか…アスナ先輩まで来たら手がつけられん…」
『いいえ、四対一よ』
「何!?」
カンヘルに対して上方からスペリオルが斬りかかる。
ライフルは投棄し、サーベルだけだ。
カンヘルはGNソードⅤのクロスガードで防いでみせた。
が、しかし…
「ならさっきのビームは…!?」
ズガァン! という振動がヴォジャノーイを揺らした。
後方からだった。
「熱源反応なし…!? 実弾かっ…!」
幸いアームドアーマーDEに阻まれ、本体へダメージ無しなのがヴォジャノーイにとって救いだった。
続いて二射、三射。
スペリオルとの鍔迫り合いの最中、カンヘルが揺れる。
「出し惜しみできる相手じゃねぇなっ…!」
ヴォジャノーイがコンソールを操作する。
[ T R Y I N G system are you ready ? ]
「行くぞカンヘェェェェェェエル!」
ヴォジャノーイがコンソールに拳を叩き付けた瞬間、カンヘルを中心に力場が発生した。
『もう使うのか…!』
カンヘルの装甲が開いてゆく。
露出した内部フレームが純白の光を放ち、外装が赤く染まる。
さらにはフレームが燃えるように青い炎さえ吹き散らかす。
「お前ら相手に手加減とかしてられるか!」
ヴォジャノーイは二振のGNソードⅤを腰にマウントし、両手をフリーにした。
『NT-D、トランザム、ナイトロとか勝てるか!?』
カンヘルが瞬間移動もかくやという早さで地表近くで体勢を立て直したインカーネイトストライクに接近、ぶん殴った。
インカーネイトが再び月面に落ちる。
「ふはは!ふはははは! 遅い! 遅すぎるぞ!」
ヴォジャノーイは哄笑しながら、ブルーローズを蹴飛ばした。
『卑怯ですよアスハ君!』
「リアルネーム禁止だオラァ!」
12本のソードビットが全方位からスペリオルを襲う。
『きゃぁっ!?』
『アリス!』
ビットの一つが銃弾に弾かれた。
「芋スナみーつけ!」
アームドアーマーDEの先端が赤でも青でも白でもない光を纏う。
「トライング・ツインバスター!」
二つの光条が螺旋を描きながら一つになり、月面を焦がす。
シノンは迫り来る光条に、咄嗟にケルディムを上昇させた。
『どうして!? マズルフラッシュは無かったはずなのに!』
「何の為にアリスの『全方位』をビットで覆ったと思ってやがる」
『そんな!? 人間の認識を越えてるわ!?』
アームドアーマーDEを飛び上がったケルディムへ向けた。
メガランチャーをギリギリでよけるケルディム。
「それが出来るんだよぉ! トライングシステムならなぁ!」
『ヴォジャノーイ! 君この前それで熱だして学校休んだだろ!』
『皆! 耐えるんだ! 灯俊のアレは長くは持たない!』
「リアルネーム禁止だって言ってんだろうが桐ケ谷コックローチ!」
バルカンをインカーネイトに向けて乱射。
「それで! 新人さんの近接能力の程はどうなんだ!」
ケルディムとのキロ単位の距離を十秒程で詰めたカンヘル。
「必殺!ビスト神拳!」
カンヘルの抜き手がケルディムのコックピットに突き刺さった。
『嘘…!?』
「嘘じゃねぇよ。このハンドパーツの製作が一番難航したんだぜ。
バルバトス・ルプスレクスの攻性装甲とパルマフィオキーナ…。
この手に貫けない物は…ほぼ無い」
ヴォジャノーイは抜き手を食い込ませたまま、パルマフィオキーナのトリガーを引いた。
後書き
ぶっちゃけ最後のビスト神拳がやりたかっただけ。
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