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森のささやき

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第二章

「じゃあドイツの森になるわね」
「狼とかがいる」
「赤ずきんちゃんとかの森よね」
「赤ずきんちゃんってイメージじゃないけれどね」
「ワーグナーの音楽ってね」
 かえでは友人達に赤ずきんちゃんは否定した。
「また違うわよね」
「どうもね」
「そこはまた違うわよね」
「赤ずきんちゃんかっていうと」
「また別の感じよね」
「けれど日本の森じゃないっていうのはね」
 その日本の森をいつも歩いているかえでとしてはだ。
「思ったわ」
「そこは仕方ないわね」
「だってドイツの人だしね」
「ドイツの森になるのはね」
「仕方ないわね」
「日本の森にも狼いるけれど赤ずきんちゃんの狼じゃないし」
 それにというのだ。
「ドラゴンとか妖精とか魔女もいないし」
「鬼や天狗はいてもね」
「色々妖怪いても」
「魔女じゃなくて山姥だしね」
「そうしたのがいて」
「全然違う感じがするわ」
 同じ森でも日本とドイツでは、というのだ。
「本当にね」
「そうよね」
「まあ日本の森の音楽だとね」
「童話のそれ?」
「金太郎とか瘤取り爺さんとか」
「そんなのよね」
 友人達はそうした童話の歌を思い出して話した。
「金太郎って山姥に育てられたし」
「瘤取り爺さん鬼出るしね」
「どっちも山だし」
「日本の山って本当に鬼とか妖怪よね」
「天狗とか山姥で」
「そうよね、けれど私としては」
 かえでは友人達に考える顔で話した。
「その方がいいわ」
「日本の森の方がいいのね」
「かえでちゃんとしては」
「そうなのね」
「ずっと中を歩いてきたから」
 それでというのだ。
「馴染みがあるから」
「日本の森の方がいいのね」
「あと聴いてわかったのね」
「ワーグナーがドイツの森だって」
「日本の森をよく歩いているから」
「それでなのね」
「日本の森ってね」
 かえではその森についても話した。
「四季があるでしょ」
「春夏秋冬でね」
「それぞれあるわね」
「本当に季節によって変わるわよね」
「例えは今だとね」
 今の季節のことも話した。
「秋でしょ」
「秋は紅葉」
「それよね」
「紅葉や銀杏が奇麗よね」
「日本の秋ならではよね」
「それがあるでしょ、それにね」
 かえでは友人達に微笑みを浮かべて話した。
「秋は食欲の秋で」
「実りの秋よね」
「だから山に色々な果物が出て来るのよ」
「柿とかね」
 まずはこの果物が挙げられた。
「栗、アケビってね」
「山葡萄もあるしね」
「色々あるわよね」
「日本の秋の森っていいわよね」
「ドイツの森とはまた違って」
「四季があってね」
「そうした実りもあるのよね」
 友人達も笑顔で口々に話した。
「夏は涼しくてね」
「緑の葉が奇麗で」
「蝉の声がして」
「カブトムシとかクワガタがいて」
「男の子が獲るのよね」
「私虫は興味ないけれどそうした声とか風景が好きだから」 
 かえでもまた話した。 
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